U2、驚愕のステージと偉大なる音楽の融合

ツイート
U2が8月14/15日、ロンドン・ウェンブリー・スタジアムで2公演合計16万人以上を集めたマッシヴ・コンサートを開いた。

◆U2、未曾有のステージセットは宇宙ステーション ~写真編~

今回のマッシヴさは集客数のみならず、メンバーが“宇宙ステーション”と呼ぶ壮大なステージ・セットにある。ライトを点滅しスモークを吐き出す4つの大きな足“Claws”がそびえ立ち、その中に円形ステージ、それを取り囲むキャット・ウォーク、上空に360度のスクリーンを設置。<360°ツアー>というタイトル通り、スタジアムのどこにいてもスクリーンの映像が見れるだけでなく、ステージが組み立てられたアリーナより高い場所に位置するスタジアム席からはステージ全体を見渡すことができる。

ユニークなセットの中でも、特筆すべきなのがそのスクリーン。上下に移動するだけでなく、(仕組みは少し違うが)提灯のように伸縮可能で、4つの足が交差した天空から遥か下のステージまでを覆う巨大なスクリーンに変貌。夜空のもとそこに映像が映し出される様は、眩くフューチャリスティックで、まさに宇宙ステーションと呼ぶのがピッタリだった。

そして、この壮大なステージ・セット以上に素晴らしかったのがそのパフォーマンスだ。グレーテスト・ヒッツの要素を持ったセット・リストでは、彼らを世界的なビッグ・バンドに押し上げた『The Joshua Tree』(1987年)からの「With Or Without You」や「I Still Haven't Found What I'm Looking For」だけでなく、初期の彼らの作品を信奉しているファンには嬉しい「New Year's Day」や「Sunday Bloody Sunday」などもプレイ。とくに「New Year's Day」で4人のメンバーが向かい合って演奏していたのは印象的だった。大きなステージなのに、その瞬間はスタジオでくつろぎながらセッションしている彼らを覗き見たような錯覚も。1978年にU2と名乗り始めて以来、一度もメンバー・チェンジすることなく“不動の4ピース”として活動をし続ける彼ら。初期の作品でその結束の固さを目にできたのは嬉しかった。

新作『No Line On The Horizon』のトラックは、アルバムで聴く以上に実験的で斬新。これまでのU2のトラックと並べプレイされると、彼らが音楽に対し飽くなき探究心を持ち、進化し続けているのがよくわかる。ビッグになり過ぎたのと、ボノの政治的活動で色眼鏡で見られがちな彼らだが、音楽に対する生真面目な姿勢、そしてその音楽の偉大さも不動だ。

Ako Suzuki, London
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス