寺田恵子が語る「ハードな野音秘話」3/4

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第3回「ハードな野音秘話」

◆寺田恵子が語る「ハードな野音秘話」3/4 ~写真編~

──そのツアーを終えて、「ハードな野音」(4/29日比谷野外音楽堂)になるんですよね?

寺田恵子:流れ的には、そうだね。

──2008年は「ナオンのヤオン」が復活してたけど、2009年は「ハードな野音」に変わりましたよね?

寺田恵子:どういういきさつだったのかな(笑)。2009年の頭は、ナオンのヤオンをやるつもりだったんだよね。だけど、西寺実のツアー中に「ハードな野音」の話が出てきて、「マジ!?」って感じだった。やっぱり、みんな、楽しかったんじゃない? スタッフも、レコード会社の人も。ユニバーサルとエイベックスの人が仲良くなって、共同でやってくれるというから、「それは、いいな」と思ったんだよね。みんな、ロックを盛り上げたいんだと思う。形は何でもいいから、それがきっかけになってくれればと思ってるんでしゃないかな。SHOW-YA時代から、そういう気持ちはすごくあった。

──西寺実3人のバンドが集まれば、それだけでイベントは成立しちゃうもんね。

寺田恵子:まぁね(笑)。

──他にもいろんな人が出てましたけど。

寺田恵子:同窓会みたいなイベントにするのは、イヤだったんだ。せっかくみんな現役で頑張ってやってるのに、懐かしいだけにしてしまうのはもったいないじゃない。それで、SCREWとSuGという若手のロックバンドに、出てもらったんだよね。あと、河村隆一。

──河村隆一は、すごく意外でした。

寺田恵子:隆一くんは、本人が出たいっていってくれたんだ。「ハードな曲をやるから」っていってたんだけど、ふたを開けてみたら、本人も「僕、ハードじゃなかったです」っていってた(笑)。

──最近の彼は、しっかり歌を聞かせたいという流れになってるから。

寺田恵子:終わった後に、「次は、もっとハードな曲を作ります」っていってたよ(笑)。髪をふりみだしてロックというよりも、本当に王子様みたいだったもん。

──たしかに。

寺田恵子:でも、すごいなぁと思ったよ。ラウドネスとアースシェイカー、SHOW-YA、LUNA SEAは、少しずつ時代がずれてるけど、それぞれロックが盛り上がってる時代に活躍してた人たちだから、面白い組み合わせだよね。ポール(44マグナム)も、出られるかどうかわからないっていってたのに来てくれたし、(山本)恭二さんも来てくれたし、本当に嬉しかった。若いバンドのファンは最初「?」って思ってたかもしれないけど、百戦錬磨、みんなただ者ではないってことをわかってもらえたんじゃないかな。

──きっと若者バンドにも、刺激になったと思います。

寺田恵子:うちらはもう酸いも甘いもわかってるけど、彼らはこれからの人たちだから、ガムシャラな感じがすごい刺激になるよね。自分たちもこういう風に、まったく知らない人たちの前で、ぶつかっていった時代があったなと思うと、こいつらにも頑張ってもらいたいなと思うし、こいつらに負けちゃいけないとも思う。それが、イベントのいちばんの醍醐味なんじゃないかな。ナオンのヤオンの時もそうだったけど、まったく畑違いの人とか、年齢がすっごく違う子たちでも、「頑張ってる」部分が共通してると話ができるんだよね。基本的に自分の頭の年齢が若いせいか、そういう子たちと話してても嫌じゃないんだ。今でもメールのやりとりしてたり、遊ぶ機会があったら一緒に遊ぶし、楽しい。楽しいのが、いちばんだよね!

──それにしても、この豪華なメンバーで、よくDVDができましたね。

寺田恵子:ねぇ、びっくりしたね(笑)。(マネージャーに)苦労したの?

マネージャー:ええ、まぁ…。でも、もともと「映像化しますよ」って話だったので、なんとか。

寺田恵子:ユニーバーサルもエイベックスも大手なのに、仲良く手を組むなんてすごいよね(笑)。映像化することで、参加できなかった人にも楽しんでもらえるし、より広がるんじゃないかな。西寺実のツアーをエイベックスの人が見に来てくれたり、みんな喜んでくれてるみたい。今、映像業界の第一線で働いている人たちは、うちらの音楽を聞いて育ってる人が多いので、楽しんでくれてる雰囲気が伝わってきて、こっちも嬉しいよね。

──DVDを見た感想は?

寺田恵子:実際に上がった映像を見たら、昔の曲をオンパレードでやってるのに、古さを感じなかった。あれから何十年もたってるのに、みんな現役でロックしてるし、今を生きてるっていう風に見えたのと、逆に昔は見えなかった愛情みたいなものを感じちゃったの。それは裏側にいるからわかることなのかもしれないけど、スタッフしかり出演者しかり、みんながイベントを楽しもうとしている姿が見えたのが、すごく嬉しかった。昔は、ロックのイベントって裏でゴチャゴチャあったじゃない。

──ああ、誰がトリをやるかとか(笑)。

寺田恵子:そうそう。それはそれであの当時のロックの在り方だったのかもしれないけど、年を経て大人になってそのへんは丸くなりつつ、自分がやってる音楽は尖ってるっていうのがいいなと思う。それをちゃんと映像として残せたのは、大きいと思うね。

──西寺実プレゼンツだからできたっていうのも、あるでしょうね。

寺田恵子:そうだね。みんなちゃんと自分の音楽を持ってるし、それがなかったらできない話だと思うんだよね。全員揺るがないものを根本に持っているから、逆に何でもできると思うんだ。
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