スパンダー・バレエ、現代に於いてなお冴えるニュー・ロマンティックス

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19年ぶりにオリジナル・メンバーで再結成したスパンダー・バレエが、地元ロンドンのO2アリーナで3公演というマッシヴ・リユニオン公演を開いた。80年代にニュー・ロマンティックの旗手として、デュラン・デュランと共に人気を博した彼ら。会場には往年のファンだった40代のファンが集結。当時はそのルックスによりアイドル的人気もあった彼らだが、80'sリバイバルの影響もあるためか、女性ファンだけでなく男性の姿も多かった。

◆スパンダー・バレエ、現代に於いてなお冴えるニュー・ロマンティックス ~写真編~

80'sリバイバルの波に乗り、UKではその時代のミュージシャンを集めたフェスティヴァルや合同ツアーがいくつか行なわれているが、スパンダー・バレエがその類のものに参加しないでくれてよかった。彼らやデュラン・デュラン、ワム!やカルチャー・クラブは第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの中でも別格の存在。とくに演奏力に定評のあったスパンダー・バレエは、19年という空白のときを過ごした現在もそのテクニックを失っていなかった。

ヴォーカルのトニーは体重も増したが、その分、声に力強さと伸びが増しパフォーマンスもよりエモーショナルになった。そしてスティーヴのサックスは――彼がスポットライトから離れていたこの20年間何をしていたのかは知らないが――その演奏力は衰えていないどころか、80年代に聴いていた以上に存在感が増していた。

80'sの音楽に対する評価は2つに分かれるところだが、デュラン・デュラン同様、スパンダー・バレエのリユニオン・ツアーはただノスタルジックな気分を味わうというより、彼らの音楽、そして80'sの曲の構成やアレンジそのものを再評価するいい機会になったと思う。80'sはリアル・タイムで経験しているが、キーボードとサックスを多用するそのサウンドは懐かしいというより新鮮にさえ感じた。

ただひとつ言うならば、スーツ着用で往年と同じくダンディな姿で登場した彼ら(49歳)だが、ビッグ・スクリーンに25年前と現在の写真を続けて流すのは、どうか…。この手のリユニオンには欠かせないのかもしれないが、これはデュラン・デュラン以外やめたほうがいいと思う。

スパンダー・バレエの再結成はツアーだけに終わらず、新曲を含んだ20年ぶりとなるニュー・アルバム『Once More』もリリース。今週、UKチャートのトップ10入りを果たした。

この夜のセットリストは以下の通り。
「To Cut a Long Story Short」
「The Freeze」
「Highly Strung」
「Only When You Leave」
「I'll Fly For You」
「How Many Lies」
「Virgin」
「Love Like Diamond」
「Once More」
「Round and Round」
「Man In Chains」
「With The Pride」
「Barricades」
「Instinction」
「Communication」
「Lifeline」
「Chant #1/Paint」
「True」
アンコール
「Fight For Ourselves」
「Gold」

Ako Suzuki, London
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