レミオロメン、切なく儚い空気感の中に強い意志を感じる最新シングル「恋の予感から」リリース大特集

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レミオロメン ブリヂストン ブリザックCMソング 最新シングル「恋の予感から」2009.11.25リリース特集

切なく儚い空気感の中に強い意志を感じる最新シングル 3人の根っこは地面に深く食い込み宇宙に向って枝葉を広げる これはレミオロメンの新たなるステップになる

INTERVIEW

――今年も残すところあと2か月を切りました。

藤巻亮太(以下、藤巻): 早いですね。

――振り返ると、5月にさいたまスーパーアリーナでツアーファイナルを迎えてから、夏の時期は制作に専念してましたね。

藤巻: そうですね。フェスやイベントに出たのは2本だけで。

――その間、曲作りは順調に?

藤巻: うん、すごくいいと思いますね。大きな意味での悩みがないというか、行くべきところがわかって作っているという感覚が久々にあると思うので。そういう意味では順調と言っていいんじゃないかな。

――ベスト盤を出した時に、これからはさらにバンド主体で進んで行くというような発言をしていましたよね。今回のニューシングル「恋の予感から」のサウンド・プロデューサーにトーレ・ヨハンソンを起用したのも、そういう気持ちの表われですか。

藤巻: そうですね。ずっと小林(武史)さんと音楽を作ってきて、タイミング的にも、自分たちが今何をやりたいのかを見つめなきゃいけない時期に来ていると思っていたので。そう思った時に、誰かとコラボレーションすることを自分で選ぶ楽しみを感じられたことは、トーレ・ヨハンソンがすごく大きかったですね。

――どんなきっかけで、トーレに依頼することになったんですか。

藤巻: 実は「恋の予感から」という曲は2007年からあって、夏フェスでも演奏した事のある曲なんですよ。でもその当時は、この曲の持っているものをうまく活かせなくて…。「恋の予感から」と言っているわりにはすごくストイックな、運命に向かっていろんな可能性を削りながら向かっていく二人みたいな、そういう息苦しさがあるような曲で。いわば「閉じていく」ような曲だったから、「これを出すのは今じゃないかもしれない」という空気になったんですね。実際、2007年や2008年は『風のクロマ』に向かっていく時期だったから、もう一回自分に向き合っていくという模索の時期で…。そのテンションとドンピシャすぎたのかな、逆に。この曲と一緒に、もう一回閉じて行ってしまうような気がしたんですよね。

――なるほど。

藤巻: それで去年、『風のクロマ』という4枚目のアルバムを作り上げられたことと、今年ベストアルバムを出して、さいたまスーパーアリーナで2DAYSもライヴができて。そういう大きな成功がちゃんとあった中で、一周した感じがしたんですね。音楽を始めて、バンドを組んで、ベストアルバムという節目を迎えた時に、これから自分たちが進んでいく道が少しずつ見えつつあるなと思って、「僕らは音楽を楽しむべくしてここにいるんだから、そこに向かって全力で行けたらいいね」という空気があって。まずは「Starting Over」を夏に出して、冬に出すとしたらどういう曲がいいかな? と思った時に、啓介が「恋の予感から」はどうだろうって言ったんですよ。確かに今だったら、全然違うアプローチで、閉じていた曲を開くことができるかもしれないと思って、それが5月か6月かな。

前田啓介(以下、前田): そうだね。6月ぐらい。

藤巻: 詞も変わったんですよ。恋の予感があって出会っていくまでのことよりも、恋の予感から始まって、二人が出会ったことによって未来が広がっていくことにフォーカスを当てた曲に仕上がって。「恋の予感」にするか「恋の予感から」にするか、すごく悩んだんですけど、この“から”がすごく重要なんじゃないかと思って、このタイトルにしました。

――確かに、ラストの「どれだけ追いつめられてもかまわない」というフレーズとか、そこだけ取り上げるととても鋭い言葉ですよね。フォーカスの当て方を変えると。

藤巻: そう、ある意味そこには狂気をはらますこともできちゃう言葉だから。でもそこに「積み上げていくんだ」とか「素顔のままの」とか、一歩前に向かっていく言葉を、そのあとに探せていったことがとても大きいと思うんですね。そういう言葉があるから、最後に「どれだけ追いつめられてもかまわない 怖くはない」という言葉が言えたというか、そこに向かって行った感はあったと思います。実はその歌詞は、最初は一番にあったんですよ。

――それはかなり鋭い歌になりますね。

藤巻: ちょっとストイックな響き方をしていて、それを言い切ったら終わり、みたいな感じだったから。そうじゃなくて、“から”というところをもっと描けていけたら、その言葉も違った響き方をするはずだという気持ちがあって。それが、この2年で変われたことなんじゃないかなと思いますね。

――啓介くんは、どんな気持ちでこの曲を「もう一回やろう」と言ったんですか。

前田: ずっと心のどこかにあったんですよ。すごい好きな曲だったし、「どれだけ追いつめられてもかまわない 怖くはない」という言葉がすごく残っていて。「Starting Over」を作ったあとに、「恋の予感から」を今のレミオが鳴らしたらハマるんじゃないかなと思って。で、これをやるんだったらトーレのストリングスがいいなと思って、そこから新しい流れが生まれていったんですよ。

――具体的に、トーレとの作業はどんな感じで進めていったんですか。

藤巻: 僕たちはストリングスのアレンジをお願いするつもりで、まず自分たちが作ったデモをトーレに渡したら、トーレが思う感じに曲が編集されて返ってきたんですよ。その編集がけっこうすごくて。トーレはエンジニアだから、ゴールまで見えてプロデュースする人なんですけど、彼ならではの音のカタマリ感がすごかった。特にヴォーカルの「甘さ」みたいなところをグッと引き出した感じが僕にはすごい衝撃でしたね。その甘さはこの曲にすごく合ってるし、この曲の持つ温かい部分を出してくれてる。言葉はすごく濃くて強いけど、そこに甘さがあるから安心して聴けるという感じになったし、そういうミックスの妙みたいなものにはすごく刺激を受けました。やっぱり、J-POPの感覚ではないですね。

⇒INTERVIEW part-2-

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