レミオロメン、切なく儚い空気感の中に強い意志を感じる最新シングル「恋の予感から」リリース大特集

ポスト

レミオロメン ブリヂストン ブリザックCMソング 最新シングル「恋の予感から」2009.11.25リリース特集

切なく儚い空気感の中に強い意志を感じる最新シングル 3人の根っこは地面に深く食い込み宇宙に向って枝葉を広げる これはレミオロメンの新たなるステップになる

INTERVIEW

――日本とスウェーデンとで、データのやり取りをしたんですか。

藤巻: そうです。トーレが「これはどうだ」っていう感じで出してきたものをみんなで聴いて、「ここはこういうふうにしたい」というものをまたトーレに送って、また新しいアイディアが返ってきて。レコーディング段階からミックスに至るまで、それをやっていきました。

――演奏についてはどうですか。

神宮司治(以下、神宮司): 一番のメインは、ラストのサビに向かっていくところだと思います。徐々に盛り上がっていく感じがあるので、僕も演奏していてすごい気合が入りますし、ラストのサビでピーク感を迎えるような演奏を心がけました。でも、全体の流れを聴いてほしいですね。歌詞や歌のメロディを楽しみながら、曲の流れでも楽しめる曲だと思います。トーレのおかげで、ドラムの音は東京で録った音よりものすごく太くて、あったかくて、まったく違う音と感じられるくらい変わったので。それが曲の雰囲気に合っていて、「すごいな」と思いましたね。

前田: 「トーレがいいんじゃないか」と、自分なりに思い描いていたところにドンピシャで入ったし、それをさらに超えていくようなところへ持って行ってくれましたね。おかげで「恋の予感から」は、今までのレミオの中で一番好きだと思えるぐらいの曲になったし、そういう曲をみんなに届けられるのがとても幸せだと思ってます。

――もともと、「トーレがプロデュースしたこの曲」とか、啓介くんがイメージしたものはあったんですか。

前田: ネタとしては、ボニー・ピンクの「Last Kiss」のストリングスとか、あとは、クラウドベリー・ジャムでトーレがやってきたイメージとか。カーディガンズではないんですよ。もっとロック・サイドの、「ウォール・オブ・サウンド」のイメージですね。ビートルズがやっていたような。僕はトーレのそういうサウンドが好きだったんですけど、スタッフの人たちにはなかなか伝わらなくて、「この曲のこういうイメージだよ」って、最初はかなり説明しました。どっぷりと深い何かが「恋の予感から」という曲には元からあったから、「これはトーレが得意なんじゃないか」って僕は思ったんですよね。

――やはりトーレは、ビートルズや60年代のロック・サウンドが好きなんでしょうね。

前田: めっちゃ好きだと思いますよ。この曲のストリングスって、ビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」の感じなんですよ。そういう流れもあって、ばっちりハマると思ったんですね。なかなか日本で、ああいうことができる人はいないなと思うので。

――今回のシングルは、ビートルズっぽさをかなり感じたんですよね。「恋の予感から」もそうだし、2曲目「オリオン」のイントロにも、サイケデリック期のビートルズを感じました。

藤巻: 「オリオン」は音楽的に冒険しているというか、旅をしてる感じの曲です。その旅を楽しんだ曲ですね。皆川(真人/Key)さんと一緒に作った曲ということもあるし。4年ぐらい前の曲で、転調感とか、ちょっと難解な感じだったんですけど、そこをわかりやすくしていって、独特なたたずまいになったと思います。好きな人は好きだなというタイプの曲だと思いますね(笑)。

――3曲目「ひまわり」は?

前田: これはさらに古くて、10年ぐらい前かな。亮太くんが前のバンドでやっていた曲で、僕がリハーサルに遊びに行って、一緒にセッションしたんだよね。

藤巻: その後、一緒にやるきっかけになった曲ですね。大学の部室で一緒にやったのを覚えてます。大学生になって、一人暮らしが始まって、親のありがたみがわかったりとか、「いつか自分もそういうふうになれたらな」と思ったり、当時思ったことをすごく素朴に書けていて。「自分はそういうところから始まったんだな」と思うと、ベスト盤が終わってちょうど一周した今、「ピュア度」で言ったら近いものがあるからできるんだと思うんですよね。もう一回自分たちの音楽を見つめ直した時に、今の自分たちに近い音が鳴っているのが一番リアルだし楽しいんだと思っていて、そういうことを「ひまわり」には感じますね。

――すごくフレッシュなシングルだと思います。曲自体は様々な年代に生まれたもので、それが逆にとても面白いです。

藤巻: どれも今のモードで作れたので、それが出てますね。リ・アレンジしたことでもう一度命が宿ったし、すごくいいと思います。

――最後に、同時発売されるライヴDVD『SPECIAL LIVE at SAITAMA SUPER ARENA』についても、紹介してもらえますか。

藤巻: その時期の集大成というか、『朝顔』から始まって『風のクロマ』まで行って、一周してきたようなリアルな感覚が詰まったDVDなので。音楽的冒険がたくさんあるので、曲を知らない人でも楽しめると思うし、見ごたえはあると思いますよ。

取材・文●宮本英夫

この記事をポスト

この記事の関連情報