BUMP OF CHICKEN、ダブルA面シングル「R.I.P./Merry Christmas」リリース大特集

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BUMP OF CHICKEN Double A Side Single 「R.I.P./Merry Christmas」2009.11.25リリース特集

最高傑作との誉れ高い アルバム『orbital period』から約1年ぶりの作品がここに登場

ギターだけとか、アルペジオだけ抜き出して聴いてもらったりするのは、すごく恥ずかしいんですよ。(藤原)

──バンプの場合、デモトラックで藤原さんが曲をほぼ完全に作ってますよね。たとえば「チャマ、ちょっとベースのリフ弾いてくれよ」みたいなところから楽曲の制作が立ち上がる、そういう過程って、今はないじゃない?

藤原: ないですね。

──だから過去にそういうことってあったのか、あるいはそういう頼りない合宿体験とかがあったことで、反省して「じゃあ、ちゃんと曲を俺が作るよ」みたいな型になったのか、そこが知りたいんですが。

藤原: うーん。なんだろ。今のスタイルになったのは、自然とそうなっていったとしか言いようがないんですけど、なんか明確なきっかけがあってデモテープ作りを一人でやるようになったわけでもないし。以前は(デモテープの段階で)ほかのメンバーもいたんですけど、そこで例えばギターでなんかコード弾いて…俺、やっぱ、変なんですよ、パズルのひとつのピースだから、ギターだけとか、アルペジオだけ抜き出して聴いてもらったりするのは、すごく恥ずかしいんですよ。全部が合わさって、こういう曲なんですっていう状態で聴いてもらいたいな、と。

直井: バンドって2パターンあると思いますよね。みんなでジャムって曲を作るのか、メンバーに一人ちゃんと書ける奴がいるのか。俺らはやっぱり、昔から藤くんが曲を作るっていうことを繰り返してきたから。もう、17才とかからそうなってたから、逆にジャムって作ってる人たちはスゲーなと思うんですよ。勢いでその日のうちに一回聴いただけで、ワンマイクで録っちゃおうよ、みたいな。それもすごいカッコいいと思うんですけど、なんか、このスタイルでずーっとやってきてるから、このスタイルの深みみたいなものを感じて、すごい楽しいんですね。自我がなければいいって、俺らよく言うんですよ。歯車になれればほんとに一番いいなっていうのの究極形になっている。当時はそれはそれは、みんなエゴが半端なくて、藤くんは超困ってましたよ(笑)。

升: 昔は、曲に対して必要・不必要なプレイっていうのが全然見分けられなかった。もちろんその時は必要だと思ってやってるわけで、ただやりたいっていう気持ちだけじゃなく、自分ではこれが一番カッコいいと思ってやってた。でもそれを支える聴覚が濁ってた。濁ってたっていうか見極められなかったんでしょうね。やっぱりやり続けていくうちに、まあ結局は歌だな、みたいになった。

自分がどうとかっていうことじゃなくて、鳴ってる曲をまずは忠実にやりたいなっていうのはずっとあります。(増川)

──「R.I.P.」を聴いたときは、自分のアプローチっていうのはけっこう明確でしたか?

増川弘明(以下、増川): まず、耳コピするんですけど、途中の段階を聴かずに、ほぼ完成した音源として聴くので、自分がどうとかっていうことじゃなくて、鳴ってる曲をまずは忠実にやりたいなっていうのはずっとあります。聴き取る段階で苦戦はしますけどね。細かくアルペジオやストロークを追っていったりしても、絶対これ聞こえないだろう、っていう場所もあったりするので。ドラムの上の方の音とぶつかってたりしたら、どうしても聞こえなかったりするので、そういうところは藤原に訊いたりして。まあ、できたら、訊かずに行きたいなっていうのもあったりするので、ほんとギリギリまでわからないなっていうのは訊くようにしてましたけど。

──「R.I.P.」はエイトビート楽曲か、スピードチューンみたいに言われるけど、「天体観測」の頃とかのリズムと全然違いますね。ただ速いとか、ただエイトビートだとかっていうところじゃない感触っていうのにリスナーは着目してほしいね。

藤原: ああ、それは嬉しいですね。なんかリズムの話はもはや、ちょっとアフターでとかオンでとかそういう話じゃなくなってきてるから。なんていうのかな、そんなのはもうとっくに消化していなくちゃいけないことで、そういう話はぜんぜんしないよね?

升: うん。

藤原: ま、一番最初の段階で、若干ハネてやった方がいいかもね、とかそれぐらいのことはあるけど。なんかもっとこう、精神論にまで及ぶ感じですね、リズムの話はね。

──「Merry Christmas」に関してはどうですか?

直井: 藤くんが、なんとなくクリスマス・ソングは書きたくないっていう話をしてて、それはわかると思ったんですよね。疑似体験の曲か、完全に宗教を信仰してるか、どっちかじゃないとクリスマスソングって書いちゃいけないのかなっていう雰囲気がすごいあったから。いや俺も確かにそうだなと。なんかすごい幸せなのか、すごい賛美歌で、神を崇めるのか。

藤原: あとは「恋」かね?

直井: そう「恋」。なんか絶対に曲中で失恋してるし(笑)。でもそれがすっごい好きなんですよ。子供の頃って大人の恋にすごい憧れるじゃないですか。「来ねーのかな?…やっぱ来ねーのか」みたいな。スゲー好きなんですよ、その切なさが。でも俺、マジ体験したことねーな、みたいな(笑)。

取材・文●佐伯明

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