カオシレーターがパワーアップ、ボコーダー機能/USB/MIDIも搭載

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コルグは、ダイナミック・フレーズ・シンセサイザー/ループ・レコーダー「KAOSSILATOR PRO」を発売する。手のひらサイズのシンセサイザー「KAOSSILATOR」をパワーアップさせたモデルで、ライブ・パフォーマンスに加え、強力なトラック・メーク・ツールとして生まれ変わった注目製品だ。

KAOSSILATOR(カオシレーター)は2007年に発売された手のひらサイズのシンセサイザー。誰でもカンタンにメロディ/フレーズを奏でることができることから、演奏経験のない新たなユーザー層を巻き込み、ガジェット系楽器の先駆けとして現在でも絶大な人気を誇るロングセラー・モデルだ。そんなKAOSSILATORの画期的機能はそのままに、さまざまな新機能を備えて登場したのが今回発売される「KAOSSILATOR PRO」だ。ボディサイズはぐっと大きくなり、同社の「KAOSS PAD」とぴったり並べられるようになっている。

KAOSSILATOR PROは200種ものサウンド・プログラム、スライダーでグルーヴを生み出す新ゲート・アルペジエーター、内蔵シンセの演奏も外部機器の音声も録音できる4つのループ・レコーディング・バンクなど、ライブ・パフォーマンスに最適な機能を満載。そして、待望のUSB経由でのパソコンとの連携も新たにサポート。さらにSDカードへのメモリー機能により、従来の即興的パフォーマンスだけでなく、最高のトラック・メーク・ツールとして、ダンス・ミュージックをカンタンに、そして感覚的に作ることができるようになっている。

KAOSSILATOR PROの最大の特徴は、初代KAOSSILATOR同様、感覚的に操作できるインターフェイス、タッチ・パッドの採用にある。指先1本で複雑なフレーズの演奏が可能。こする、なぞる、叩くといった感覚的な操作だけで演奏することができるタッチ・パッドは、従来のシンセサイザーではむずかしかった表現を瞬時に可能にしている。タッチ・パッドを横方向になぞると音の高低、縦方向でカットオフ/フィードバック/モジュレーション・デプスなどの音色を彩る要素をコントロールし、オリジナリティ溢れるサウンドが誰でもカンタンに奏でられるのだ。

最もパワーアップを感じられるのが音源部。シンセ、ドラム、アコースティックなど、多彩な即戦力プログラムを200種搭載。本格的かつ多彩なサウンド類は、TECHNO、HOUSE、BREAKS、HIP HOP、R&B、REGGAE、ELECTRO など、あらゆるダンス・ミュージックに対応する。また、ピアノ、トランペット、ギターといったアコースティック系楽器のサウンドをシミュレートした音色も多数内蔵し、音楽的な表現力がさらに向上。使用頻度の高いプログラムを8つのメモリー・キーにアサイン、瞬時に呼び出せるので、ライブ・パフォーマンスにもスムーズに対応する。

リズムでは、従来のDSP音源に加え、新たにPCM音源も搭載。よりリアルなドラム・サウンドが得られる。キック、スネア、ハイハットなどのワンショット・パターン20種、さまざまなダンス・ミュージックに即対応するリズム・ループ・パターン25種を備える。

ボコーダー機能の搭載もコルグらしいところ。マイク入力端子を搭載しており、15種類のボコーダー・プログラムと合わせて使用すれば、ロボット・ボイスなど、独特の効果音がカンタンに得られる。

KAOSSILATORが誰でも演奏できる楽器になったの理由の1つにはスケール設定機能、アルペジエイターの装備があった。その機能はPROでも踏襲されている。曲調に合わせた演奏を実現するスケール設定機能を使えば、音楽理論を知らなくても完璧なメロディやフレーズを奏でることが可能だ。半音階のスケールから、メジャー/マイナー・ブルースなどさまざまなスケールが31種用意。キー設定機能と合わせれば、鍵盤では難しいフレーズも指一本で演奏できるのだ。また、スパニッシュ、琉球、ラガといったスケール(音階)もあり、独特な雰囲気のフレーズを演奏可能。新たに、音程の幅を設定できるノート・レンジ機能を搭載したことで、格段に表現力がアップしているのもポイントだ。アルペジエイターは、新たにゲート・タイムやゲート・スピードをスライダーでコントロール可能になり、さらに複雑なフレーズが作り出せるようになっている。

ループレコーディング機能の充実も歓迎すべき点。任意のビート数(最大16ビート=4小節)の演奏を録音してループ再生させる機能で、異なる音色で1つずつ音を追加(オーバー・ダブ)していけば、「音色を選び、演奏し、録音する」というサイクルを数回行うだけで、魅力的なループ・フレーズを完成させることが可能。また、新たに4つのループ・レコーディング・バンクの装備により、これらを組み合わせて無限のパフォーマンスが可能になる。4つのループをそれぞれ抜き差ししたり、音量を設定したり、ループの長さを変えたりすることができるようになった。不必要になったループは再生しながら消去することもでき、パフォーマンスを止めることなく操作ができるようになっている。

レコーディングできるのは演奏したフレーズだけではない。KAOSSILATOR PROには、ライン・インプットとマイク・インプットを搭載し、外部入力のループ・レコーディングも可能になている。KAOSSILATOR PROで作ったループ・フレーズをバックに、ラップ、ボーカル、さらには外部機器からの音声なども加えることもでき、さらにパフォーマンスの幅が広がるというわけだ。

KAOSSILATORに対する要望で非常に多く見られたのが、USBおよびMIDIへの対応だろう。PROではその両方の端子を装備。パソコンでのループ・レコーディング・データのバックアップや管理、アプリケーション・ソフトウェアや外部MIDI機器のコントロールが可能となっている。MIDIクロック送受信機能の装備は非PC派にもうれしいところだ。

また、SDカードスロット搭載で、ループ・データやプログラム・メモリーなどユーザー設定の保存が可能になった点も注目だ。SDカード1枚あれば、本体を持ち運ばなくても、別のKAOSSILATOR PROも瞬時にセットアップすることが可能になる。なお、SDHCカードおよびSDXCカードは非対応となっている。

専用エディターソフトが用意されたのも心強い。「KAOSSILATOR PRO エディター」は録りためたループ・データを一括管理できるライブラリアン機能、KAOSSILATOR PROをユーザーの好みに沿った強力なMIDIコントローラーへと変貌させるMIDIアサイン・エディター機能を搭載。ホームページより無償でダウンロード可能だ。

<おもな仕様>
プログラム数:200(LEAD=40、ACOUSTIC=15、BASS=30、CHORD=30、SE=25、DRUM=20、DRUM PATTERN=25、VOCODER=15)
スケール数:31
キー設定:±12
サンプリング周波数:48kHz
AD/DA:24bit リニア
入力端子:ライン・インプット(ステレオRCA ピン・ジャック)、マイク・インプット(モノラル標準ジャック)
出力端子:ライン・アウトプット(ステレオRCA ピン・ジャック)、ヘッドホン・アウトプット(ステレオ標準ジャック)
外部記憶装置:SD カード・スロット(16Mbyte~2Gbyte)
MIDI:IN/OUT
USB:タイプB
電源:DC9V
外形寸法:210(W) × 226(D) × 49(H)mm
質量:1.3kg
付属品:AC アダプター、タッチ・パッド保護シート

◆KAOSSILATOR PRO
価格:50,400円
発売日:2010年3月下旬発売予定

◆KAOSSILATOR PRO 製品詳細ページ
◆コルグ

◆BARKS 楽器チャンネル
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