UNISON SQUARE GARDEN、ソリッドでストレートなスーパー・ポップサウンドの2ndフルアルバム『JET CO.』特集

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UNISON SQUARE GARDEN 約1年ぶりの2ndフルアルバム『JET CO.』2010.04.07リリース

怒涛のライヴ活動で一回り以上成長したソリッドでストレートなロックに変幻自在なアンサンブルが加わりスーパー・ポップサウンドが生まれた

年間80本のライヴをこなしてファン層を拡大し続けてきたUNISON SQUARE GARDEN。2枚目のフルアルバム『JET CO.』には、自らの世界観を信じ、自分たちの音楽と真剣に対峙することで、さらに上のステージへと駆け上がっていく彼らの姿がはっきりと映し出されている。走り抜けるジェットコースターのような“ワクワク感”を持つこのアルバムについて、UNISON SQUARE GARDENの3人に語ってもらった。

――アルバムを通して聴いてみると、以前よりさらに音がストレートに伝わってくるようになりましたね。

田淵:音作りについてはプロデューサーの佐久間さんの力が大きいと思います。最初の音作りだけ少し悩んだけど、一度決まったらあとはもうそのままバーッと録れたんで。僕は楽曲の構築とかアルバムの全体像とかにはすごくこだわるんですけど、音には大してこだわらない。その部分を他の2人とプロデューサーさんが全部とりまとめてくれたのが大きかったなと思ってます。

――とくにヴォーカルは生々しくて近くに感じますね。

田淵:ああ、それは今回最初からそうしたいと思ってたんで。ただ、僕らは基本的に歌を聴かせたいバンドなんで、無意識にやってても自然にヴォーカルが前に出てくるんだと思います。

――じゃあそのためにバックの演奏もそういう意識で?

田淵:いや、僕は曲を作るときから自然にそうなってるんで、ベースを弾くことに関してとくにそういう意識をしたことはないですね。

鈴木:僕は逆に、歌が前に出るぎりぎりまで攻めていきたいと思って。3ピースで曲を彩るにはドラムにある程度キャラがないと面白くないはずなんですよ。支える楽器でありながらリードギターみたいなところもある、そんな存在であるべきだと僕は信じてるんで。

――アルバムの構成もよく練り込まれてる感じがしますね。1曲目は大仰なイントロもなくさっと終わっちゃって素っ気ない感じもするけど、すぐに2曲目から全開でたたみかける、みたいなアルバムの始まり方も面白い。

田淵:アタマの「メッセンジャーフロム全世界」はまさにそういう感じです。あれは最初から完全に1曲目のつもりで作った曲で、サラッと始まってサッと終わってハイ次、っていう。それに加えて決意表明みたいなテーマの歌詞なので、1曲目になってくれてよかったなと思ってます。

斎藤:構成はかなり考えましたね。曲順もかなり悩んで3日くらいかかって決めたし。トータルでどういう印象のアルバムにするかってところで、3人それぞれの考えがあるので、それをうまくまとめて形にするのに時間がかかりました。

――ハードでパンキッシュなロックっていう持ち味も十分出てるけど、それに加えてアメリカのHRっぽいところもあるように聴こえたけど、そういう音楽の影響もあるの?

鈴木:ないんじゃないですかね。

斎藤:なさそうだねぇ(笑)。

鈴木:僕たちはあまりこれが好きとかっていうのもないし。

――じゃあそもそもUNISON SQUARE GARDENの音楽に影響を与えたものってどんな音楽なの?

田淵:主軸としてあるのは日本の歌謡曲ですね。

鈴木:それは3人共通してる。でもコレってのは特にないなぁ。日本語の歌ってのが重要なんですね。

――では歌詞について。UNISON SQUARE GARDENの歌詞はいつも言葉の使い方が面白いけど、作詞者の田淵さんが思う“これはいい!”という今回イチオシのフレーズは?

田淵:「アイラブニージュー」の“アイラブニージュー、語彙がないから複合技”っていうところですね。これは書いてて身震いがしました。あとでスタッフに、“アイラブニージューって文法的におかしいよ”って言われたんですけど、だから“語彙がないから複合技”なんだよって。まさにしてやったりって感じでしたね(笑)。

――他のメンバーは田淵さんの歌詞をどう思う?

鈴木:アタマおかしいですよね(笑)。聴いた人はまず“なにコレ?”って思うだろうし、でもそこがいいところだと思います。たまにロマンチックな要素が入るところもすごく好きですね。

斎藤:どうでもよさそうに見えて、でも他の言葉で代えられない、それしかない感じってのがいい。

――では、今回のアルバムの聴きどころを。とくに自分のプレイを中心に、“オレのここを聴け!”っていうのを紹介してください。

斎藤:「アイラブニージュー」のギターソロがすごく気に入ってます。旧き良きロックンロールへのオマージュなんですけど、UNISONっぽくないといえばないし、ぽいといえばぽい、そのギリギリのいい感じでできたと思ってるんです。J-POP大好きですって言ってるこのバンドでこういうのをやるのも面白いと思う。

鈴木:僕はドラムでいつも“景色”を見せたいと思ってるんです。それでスネアのヘッドには“空”って書いてあったりする。ライドシンバルのシャーッという響きにもたとえば星が入ってるとか、そんな景色を見せたいなぁと。このアルバムでは、ドラムなのに歌ってるところ、歌を表現しようとしてるところを聴いてもらいたいですね。

田淵:他のメンバーのプレイで言うと、「meet the word time」の貴雄のドラムは最高だと思うんですよね。これは彼にしかできないと思う。シンプルな構成でカッコいいし。エンジニアの方にはとくにお願いしたわけじゃないけど、自然にドラムのミックスが大きくなってて、それだけドラムが“立ってる”んだろうなと。あと「コーヒーカップシンドローム」の最後に僕のベースソロがあるんですけど、そこはベースソロよりギターのほうがカッコいいという悲しい現実が(笑)。あと、アルバム全体の聴きどころとしては、効果音、SEみたいなものを今回たくさん入れたんです。イントロでラジオっぽい音を入れたりホイッスルとかタンバリンみたいなものが入ってたり、ほとんど全部の曲に何かしら入ってる。とくに深い意味はないけど、そういうのをすごく楽しんでやってるっていうのをぜひ聴いてもらいたいですね。

――2枚目のフルアルバムが出来上がって、UNISON SQUARE GARDENはまた新たなステージに上がったわけですが、次はどんなステージにしたいですか?

斎藤:もっともっと自分が音楽の中にいるという感じを味わいたいですね。自分が音楽を発してて、それを聴いて喜んでくれる人がいるというのを、もっと実感する機会が増えたらうれしいです。

田淵:スタッフもメンバーも、聴いてくれる人たちも含めて、みんなが期待してくれているのをすごく感じるんです。だから、自分の中のテーマというか、自分が音楽でやりたいこと、こういう世の中になってほしいとか、そんな自分の信念を保ったままでその期待に応えられたらいいなと。もしそれができて、みんなで“ウォーッいいぜっ”ってなった瞬間がくれば、それはきっとUNISON SQUARE GARDENという世界が大きく変わる瞬間だろうし、ひょっとしたらそれが社会も動かしちゃうかもしれないという気もするんです。そのためにやらなきゃいけないことも、まだまだたくさんあるんですけどね。

鈴木:僕はカッコよくなりたいですね。普段はどうでもいいんですけど、ステージ上でカッコいい人になりたい。普段どうでもいい人ほどステージでカッコいいように思うし。それで日本一カッコいい3ピースバンドになれればと思いますね。

取材・文●田澤 仁

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