[クロスビート編集部員リレー・コラム] 副編集長播磨編「シカゴ」

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現在発売中のクロスビート9月号の、CB写真館(今月のテーマは「大所帯バンド」)用にあれこれ写真を集めていて、どうにも久々に聴きたくてたまらなくなったのがシカゴだ。“大所帯”でバンドをやるに至るには基本セット以外にキーボードや管弦楽器があることがほぼ条件のようなもの。シカゴはブラッド・スウェット&ティアーズらと共にブラスを常備した“ブラス・ロック”バンドとして一世を風靡した。世の中的にはピーター・セテラ作のラヴ・バラードで知られているのかも知れないが、特に初期は気骨に溢れた自由で挑戦的なロック・バンドだった。

“シカゴ・トランジット・オーソリティ”名義だったデビュー作『シカゴの軌跡』から3作目まで連続して2枚組(4作目のライヴは4枚組!)という物量も当時のバンドの意欲と勢いを表わしているが、ロック、ジャズ、ソウル、ブルース、ポップスから実験的なギター・インプロまでを自然に取り込んだ音楽性とベーシックな曲の良さ、各楽器が意味を持って絡み合う有機的なアンサンブルで決して飽きさせることがない。

このファーストには「長い夜」「サタデイ・イン・ザ・パーク」といった代表曲はないが、アルバムとしての完成度とアイディアの豊富さは随一で、才気煥発な一枚。「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」という曲があったり民主党大会のシュプレヒコールをそのまま収録したりと、社会的な意識も高かった。

「演奏そのものでも聴かせる」バンドが少ない昨今、シカゴのようなミュージシャンシップを湛えたバンドが若者にももっと聴かれて欲しいと強く思う次第だ。

◆クロスビート最新号(オフィシャルサイト)
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