X JAPAN、かなえた夢を袂に引き寄せ全米ツアー突入

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「夢はかなうんですね」──YOSHIKI

◆X JAPAN@<ロラパルーザ>画像

8月8日(日本時間9日)、米シカゴにある公園グラントパークで開かれた野外音楽フェスティバル<ロラパルーザ>に日本人アーティストとして参加し、2万人を熱狂させた5時間後、取材に答えたYOSHIKIは一言目にそう言った。

2009年5月、2度の延期を経た台湾公演の翌日、現地で話をした際は、2万人がXジャンプした会場を振り返り「感無量」と冷静だったのだが、シカゴでのYOSHIKIは頬を高揚させ、少年のようだった。

X JAPANは5万5000人を集める東京ドーム公演を何本も経験し、2010年1月には5億円をかけたミュージックビデオ撮影を行なうモンスターバンド。しかし「アメリカでは新人なのだから」と謙虚にトリの3つ前での出演を選んだ。

1曲目の「Rusty Nail」ではまず、イントロでYOSHIKIがカウントを間違え不穏な空気が流れた。そのあともSUGIZOのギターの音が出ない、急きょ変えたギターのチューニングが合わない。HEATHが力を入れ過ぎて、ベースのペダルを破壊してしまう…などなどなど数え上げればきりがないほどの難題がメンバーを襲った。

てんてこ舞いになってもおかしくないステージ。しかし誰一人としてそれを顔に出さなかった。次から次へと起こるトラブルを乗り越え次の曲へと進む姿は、ボーカルTOSHIの脱退(現在は復帰)、バンドの解散、HIDEの死、訴訟問題、YOSHIKIの持病の悪化、TOSHIの自己破産など、逆境を乗り越えいまがあるX JAPANが歩んできた道とだぶり、胸が熱くなった。

50分で「紅」「Jade」など5曲を披露。映画「SAW4」のテーマ曲に起用された「I.V.」では大きな歓声が上がった。また日本では両手を顔の前で交差させ飛び跳ねるXジャンプで知られる「X」では、ジャンプをするファンを遠巻きに見ていた観客も、徐々にジャンプの輪に加わり2万人以上が会場を揺らした。少しずつ周りを巻き込んで膨らんでいく様は、8月7日千葉マリンスタジアムで行なわれた<サマーソニック>に初出演した矢沢永吉が「止まらない Ha~Ha」を歌った際、ファンが曲に合わせタオルを宙に飛ばすシーンと重なった。

米国でのライブデビューを果たした“新人”X JAPANを待っていたのは、「米国では見たことない」という高評価。10紙以上の取材をこなしたYOSHIKIは「いつ米国に来るんだ?」とさまざまな出演オファーを受けたと手ごたえを感じたよう。YOSHIKIは「ファンの声が地響きみたいだった。いつ身体(持病の悪化で2009年に頸椎を手術)がダメになるか分からない。失うものはない。攻撃あるのみ」と強い決意を見せる。

「夢はかなうんですね」と涙したシカゴの夜から、約1ヵ月半。「10人でも10万人でも全力を尽くす。覚悟を決めてますから」と力を込める北米ツアーは、9月26日(現地は25日)、YOSHIKIが拠点を置く米ロサンゼルス・ウイルターンシアターで幕を開ける。

取材・文●西村綾乃
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