INORAN、満ち溢れる音と温かい空気感が収録された快心のライヴDVD『TOUR 2010“Watercolor”』特集

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INORAN ライヴDVD『TOUR 2010“Watercolor”』2010.9.22 リリース

空間にみんなが一緒にいることを重要な要素として作り上げた満ち溢れる音と温かい空気感が収録されたINORAN快心のライヴDVD

INTERVIEW

――今作は、LUNA SEA時代から関わっている大坪草次郎さんが監督をされていますが、DVD制作にあたってはどんな話をされました?

INORAN:ツアー中、旅の都度都度、いろいろ話しましたね。付き合いも20年くらいになるので、それぞれの色んな経験や他愛のない話とか、今回なぜ大坪さんとまた仕事ができたかとか、プロセスを大事にしようと思って、そういう話をしましたね。この曲はこう見せたいとか、そういう細かいことではなく、もっと大きなもの。全体のイメージとか。編集作業でもお互いにアイデアを持ち寄って。手が届く距離感の映像にしたいってお願いしたんですよ。掴みたいと思ったら、掴めるんだよっていうような。掴みたいという気持ちを周りが作って行くっていうか。カメラの距離感だったり、そういうものも映像に入っているかもしれない。

――<TOUR 2010“Watercolor”>はINORANさんにとって、どんなツアーでしたか?

INORAN:『Watercolor』というアルバムを今年の3月に作ったんですけど、10曲中4曲はライヴレコーディングなんですね。スタジオレコーディングも好きなんですけど、それはリスナーからもらった想いとか、飛ばしてもらった想いを吹き込んでいる。結局は、みんなの想いもこもるんですけど、今作ではスタジオではなくて、ライヴの空間で録った音を入れたくて。ライヴって、その場にいる人が一人違うだけで、その場の空気って変わると思うんですよ。アルバムにもそういうものを入れたかった。レコーディングは1月21日に、ツアーファイナルと同じ新木場のスタジオコーストでやったんですけど、アルバムがそういう流れで出来たっていうのもあって、ツアーファイナルも新木場コースト。初日の赤坂BLITZから、一つの空間にみんなが一緒にいるってことに意味が出来るっていうことを一本一本大切にしていきながら、育んでいきながら、ファイナルに向けて、やったツアーでしたね。そのファイナルの温かい空気感っていうのは映像にも出ていると思う。

――冒頭の子供の声のナレーションと映像が素敵ですね。

INORAN:映像はDVDのための映像ですけど、ナレーションはツアーのために録ったものなんですよ。自分が、なぜ“Watercolor”というアルバムタイトルにしたのかっていうのを書いた文章を英訳して、8歳くらいの男の子に読んでもらったんです。水ってとても大事なものだし、生命にとってはなくてはならないものですよね。生きている中での音楽っていうものも、無くてはならないものであってほしいっていう願いや、音楽自体も人によって色があるし、自分はそれを探しているわけで、水と音を自分の中でこういう風につなげて考えましたっていう内容なんです。それを子供が読むっていうのが良いんですよね。

――その内容は最後の方のMCにも繋がっているんですね。「自分の色は見つかってないかもしれないけど、彩度を上げていきたい」という。

INORAN:そうですね。

――きっと、色っていうのは一生かかって探して行くんでしょうけど、彩度を上げるという、その方法をどう考えてますか?

INORAN:人生って果てしないですよね。でもその中で楽しむとか、たくさん想うってことですよね。考えることも必要ですけど、考えるだけではなく、行動に移すことですね。そこは一日一日を幸せに過ごして行くことが大事だと思います。

――いつも何かにチャレンジしていくってことでもありますよね。それがMCから伝わりました。

INORAN:人生勝ち負けではないですけど、やはり、点を取らなければ勝てないし、勝てないと面白くもないし。それは攻めて行くしかないですから。シュートしないとね。

――それで言えば、このライヴDVDに収録されたライヴは勝ちですね。

INORAN:うん、そうですね。現時点では勝ちです。

――スペシャルフォトムービーのところにはINORANさんが撮った写真も収録されていますよね。写真はいつから?

INORAN:ブログを始めたときからです。だから割と最近。趣味というまでのものではないんですけどね。

――インタビュー映像の中で、「昔は殻にこもったライヴもしていたけど、徐々に変わった」というような発言をしてますね。変化というところでは、バンドでライヴをやる自分と、ソロでライヴをやる自分というところでの変化もありましたか?

INORAN:そうですね。結果的にっていうことなんですけど。バンドとソロ、進んでも出口は一緒だとは思うんですよ。みんなでその空間に一緒にいるからこそ、ハッピーでいようってものだと思うし。ソロをやって10年……殻にこもっていたというよりは、いろいろ考えすぎていた部分もあるし。もちろん考えたからこそ、今に繋がっているわけで。これだけ応援してくれている人がたくさんいるし。最終的には、何十年後かも、違うのはやる内容だけで、マインドは同じなんだろうなと。歌にしろ、俺はみんなで唄いたいっていう気持ちがあるんだけど、みんなで一緒に何かやったほうが楽しいじゃないですか。それは変わらないんだろうな。

――そういうのは画面からも伝わりますよね。ライヴ会場が本当にピースフルで温かくて。INORANさんも前の方にかがみ込んで、お客さんに手を伸ばすようなシーンがあったりしますが、「殻にこもってた」という時期にはなかったことだったりしますか?

INORAN:そうですね。当時は恥ずかしかったのかもしれないですし(笑)。ギターを弾いたり、音楽を奏でたり、表現するのは一緒ですけど、誰に対して唄うかとかを考えたら、近づきたいじゃないですか。それも最初に唄い始めた頃っていうのはよくわからなかったっていうか。今はそれは経験として学んだことですよね。何に対して唄うかっていうのは日々によって違うけど、やっぱり何かに対して唄わないと意味がない。ただ唄っているだけではね。それは自分が気持ち良いってことに対して唄うでも良いし、誰かに対してでも良いんだけど。

――INORANさんのイメージとしては、まず「ギタリスト」というのがあったから、ライヴの映像を見ると、こんなにもギターを持っていないINORANさんがいて、しかもその「歌」が凄く良いじゃないですか。これもすべて13年で培ってきたことですよね。

INORAN:うん。ギターへの考え方もすごく変わったし、歌に対してももちろんそう。音楽そのものへの考え方も変わった。今でもギターだけをやっていたら、たぶん、今とは違う歩みをしていると思うしね。歌を始めて、音楽を深く知ることができたと思う。

――今、ギターっていうのはどういうものなんですか?

INORAN:年月じゃないけど、歌よりは表現は出来るものだけど。奏でるってことは、歌と一緒だし、歌もギターと一緒だし。言い方は古いですけど、相棒ですよね。自分の指先から出るものを具現化してくれる、女房みたいなもんだし。恋人? 自分をわかってくれている人。歌をやったことによって、大切に弾くようになりましたよ。あなたがいたから、今の私がいるっていう感じで、ギターを持っていないときもその大切さがわかるし、距離感は完全に縮まって、近くなっていると思います。

――ギタリストの方はステージに立つときに、「ギターを持ってないと不安」って言う方もいらっしゃいますけど、INORANさんはどうなんですか?

INORAN:ギターを持ってたほうが不安ですね(笑)。それは嘘ですけど。でもやっぱりあった方がシックリきますよね。でも、ないと不安っていうのはないです。

――これからはLUNA SEAも具体的に動き始めますし、大忙しじゃないですか?

INORAN:そうですね。多分、すごく幸せなことなので、その感謝を音に落とすのがライフワーク。そこは真摯にやっていきたいですよね。みんなが笑顔になれるような活動をしていきたいですよね。バンドであれ、ソロであれ。

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