BUMP OF CHICKEN、感性や記憶を刺激し寄り添う「宇宙飛行士への手紙 / モーターサイクル」大特集

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BUMP OF CHICKEN 「宇宙飛行士への手紙 / モーターサイクル」2010.10.13 Release

感性や記憶を刺激し寄り添う リスナーが自らの思いや物語を投影できる “親密な普遍性”を宿した歌の完成形

INTERVIEW

――まず「宇宙飛行士への手紙」なんですけど、この曲ができたのは時期的にはいつごろなんですか?

藤原基央:去年の6月ごろだったと思います。それまでは、デモテープ作りのためにスタジオが押さえられていて、その日までに家で曲を書くという流れがあって。そのやり方を変えてみたんですね。スタッフさんが僕の曲作りのためにスタジオを押さえくれて、スタジオで曲を書くようになったんです。その新しいやり方が自分に合っていたのか、これまでよりスムーズに曲が生まれるようになって。そのやり方を始めて最初にできた曲は未発表のものですけど、今回の「宇宙飛行士への手紙」は2曲目か3曲目にできた曲ですね。

――この曲は、メンバーが歩んできた物語とリスナーそれぞれの物語が温度差なく同居するような感触に満ちていて。邪推かもしれないけれど、「R.I.P.」や「魔法の料理~君から君へ~」と同じように、メンバーが20代から30代になったいまの季節だからこそ色濃く顕われる世界観なのかなと思いました。

藤原:邪推ではないと思います。僕は曲を作るときに――これは自分の書きたいことがひとりでも多くの人に伝わればいいなという思いからなんですけど――曲のモチーフや言葉にポピュラリティを持たせたいという考えがずっとあったんですね。でも、なんか、そういう考えも邪念といえば邪念なのかなって。自分のいちばん近くにいる人に伝わらないものは。どこにも届かないといまは思っていて。

――ソングライターとしての普遍性の位置づけが変わってきたのかもしれないですね。

藤原:そうなんですかね。自分がいちばん伝えたい人に伝わるものでなければ、そこからさらに奥にいる人々に伝わっていっても意味がないんじゃないかって思うようになって。そんなことないかな?

――いや、僕は間違ってないと思う。

藤原:僕ら4人は10代の半ばからバンドを組んで一緒にやってきて。つまり、人生の半分くらいはこの4人でバンドをやっているわけで。そうなると、お互い持ちつ持たれつの部分が色濃くなっていくし、それがいいバランスで成立していないとこんなに長く一緒にいられないと思うんです。そういうことを最近はよく思いますね。その思いは当然曲にも顕われると思うし、僕はメンバーやスタッフにすごく助けられていると強く実感しています。

――「R.I.P.」以降、曲を書く藤原さんやそこに音を紡ぐメンバーのバンドに寄せる思い、歩んできた物語が、はっきりと音楽世界に顕われていますよね。そして、それと同じようにリスナーが自らの思いや物語を投影できる、“親密な普遍性”を宿した歌がどんどん生まれていると思う。

藤原:ああ、うれしいです。そう言ってもらえると。僕らは僕らでこういう話をしますけど、リスナーの皆さんにはぜひそれぞれの日常のBGMとして聴いてもらえたらうれしいです。聴いたその人自身の歌になると思うので。僕らは僕らの歌だと思っているし。そういうものだと思うんですよね、僕らの音楽って。

――そう思います。話は前後しますが、「宇宙飛行士への手紙」が生まれたのはどのような流れで?

藤原:この曲はプロデューサーから“4つ打ちの曲を作ってほしい”というお題を与えられたことから始まっていて。そのお題を受けて、まずBPMを決めて、ギターを持ってコードを弾きながら唄っていたら、メロディと一緒に歌詞もスラスラ出てきたんです。最近はそうやって曲と歌詞がほぼ同時にできることが多くて。

――“蜘蛛の巣みたいな稲妻”という風景描写が、この曲の核になっていると思います。僕は“生命の凄み”を顕すメタファーのようにさえ思いました。

藤原:これは、子どものときの実体験なんですよ。幼稚園か、小学生だとしても低学年のころに見たんです、この“蜘蛛の巣みたいな稲妻”を。僕と姉でスーパーまで母親に頼まれたおつかいに出かけているときに、僕の背後から前に向かってブワッと稲妻が走って。僕と姉はおしゃべりをしながら歩いているから、基本的に僕は姉を見上げて、姉は僕を見下ろしているわけですね。だから、姉はその稲妻に気づかなくて。僕はその稲妻を見たあまりの驚きに言葉が出なくて、天に指を指して“いま見た!?”っていうジェスチャーをしたんですけど、手遅れで(笑)。そのときのことがなぜかメロディと一緒に出てきたんです。音が呼んだということなんでしょうね。

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