冬盤なのに温かい“松田聖子”冬の名曲カバーアルバム

ツイート
1980年からずっと世の人々を虜にし続ける歌手「松田聖子」。そんな彼女の芸能界きってのファンでも知られるタレント“千秋”による、彼女なりの目線とこだわりで選曲した松田聖子オフィシャルカバーアルバム『MemorieS ~Songs for the Season of White』がリリースされた。

収録曲は、松田聖子マニアも唸る、人気の高いアルバム曲を中心に“冬の名曲”を厳選。宝石のように輝く彼女の楽曲が、今をときめく人気クリエーター、シンガー達によって様々なアレンジで生まれ変わっている。

このアルバムは一般CDショップで販売されるだけでなく、遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」でも販売され、初回発売分のみ、乙女界の問題児としてニュースを巻き起こしたアーティスト「フレネシ」による書き下ろしスリーブ特典付きとなっている。最近では、フレネシが描くイラストが自身のホームページで公開され、twitter上でも大きな話題になっているので、松田聖子仕様の「ネシ子」も目が離せないところだ。

また、"MemorieS"オフィシャル・マイスペースサイトにて全曲試聴が開始されているので、こちらで曲を前もってチェックしておきたい。

『Memories ~Songs for the Season of White』
2010.12.15 Release
\2,000yen(tax in) DQCL-1649
1.真冬の恋人たち / Lumiere
2.瞳はダイアモンド / note native × 千秋
3.マンハッタンでブレックファスト/ DATASPEAKER × yulica
4.LET'S BOYHUNT / Naomile
5.雨のコニー・アイランド / KOJI 2000 NAKAZAWA × AZ catalpa(A.S.P)
6.抱いて… / TOKYO COUNTERPOINT × CHI-KA
7.ハートのイアリング / small happiness × フレネシ
8.白い恋人 / cargo × arlie Ray
9.Pearl-White Eve / Jamoxim × 城領明子(SLY TRIBES)
10.時間旅行 / YASUTO × Jun

さて、このアルバムのレビューが2本届いている。どんなアルバムなのか、そしてどのような気持ちにさせてくれるのか、じっくり読んで購入の際の参考にしてほしい。

   ◆   ◆   ◆

つい先日、ボーッと眺めていたテレビの画面から、某缶コーヒーのCMで松田聖子本人が唄う「Sweet Memories」が流れて来た。この曲が世に出てからもう27年。にもかかわらず、記憶の中にあるメロディラインが鮮明に甦り、思わず一緒に口ずさむ。永きに渡ってたくさんの人に愛されてきた楽曲のパワーを思い知った瞬間だった。アラフォー辺りの世代の人は、きっと皆、同じようなことを思ったのではないだろうか。

そして、このカバーアルバム『MemorieS~Song for the Season of White』が届いた。セレクターは松田聖子フリークとしても知られるタレントの千秋。「Sweet Memories」は残念ながら収録されてはいないが、セレクターの千秋が選んだ「冬」の10曲は、マニアックでもあり、王道でもあり、さすがマニアと思わせる。カバーしているアーティストはクラブシーンやカフェシーンで活躍中のアーティストが中心。ヴォーカリストたちの歌声の癒し度も高く、冬の温かい部屋でマッタリと聴くのに最適だ。

80年代にリリースされたものが中心だから、時代を感じさせるかと思いきや、当時に感じたきらめきは、2010年の今聴いても、そのままだ。例えば、DATASPEAKER×yulicaがカバーした「マンハッタンでブレックファスト」(原曲は1984年にリリースされたアルバム『Windy Shadow』収録)。ニューヨークを舞台に、パーティーかなにかで知り合った男女がバーボンを飲み過ぎて、うっかり一夜を過ごしてしまうという歌詞だが、聴いていると海外ドラマ「Sex and City」を彷彿させる。時代を感じるどころか、さらに松田聖子楽曲の不変的で永劫の魅力がさらに色濃くなっている曲ばかりだ。リアルタイムで聴いていた者としても、懐かしいだけでなく、新鮮な気持ちで向き合える。

今作は、春夏秋冬、四季に分けて4枚のシリーズとして企画されたカバー集の一作目。今後、続いていく春夏秋の作品では、どんな名曲が今に生まれ変わるのか、その序章としても期待を煽る作品だ。
文●大橋美貴子

自他共に認める“聖子ちゃんファン”の千秋が、松田聖子の曲を厳選。それを現在クラブシーンやカフェシーンで活躍中のアーティストがリアレンジし、各々カラーの違うヴォーカリストをフィーチャリングした、こだわりの松田聖子カバー集が完成。『MemorieS』をメインタイトルに春夏秋冬別、季節ごとに4枚リリースされるという本シリーズ。その第一弾である今回の“冬盤”は、オリジナルとは違った表現や新たな解釈が注入され、新鮮で聴き応えのある濃い1枚になっている。

まず1曲目を飾る「真冬の恋人たち」はウィスパー系ほんわかヴォイスのLumiereが歌い、どこかフレンチポップスを思わせる1曲に。千秋自身が歌う「瞳はダイアモンド」は、フェイク無しのまっすぐな歌声が、歌詞自体が持っている悲しみをくっきり浮かび上がらせる。前夜飲み過ぎて目覚めたら横には見知らぬ寝顔が……という、よく考えたらスゴイ内容の「マンハッタンでブレックファスト」は、舌足らずのぶりぶりヴォイスで歌われることによって、キュートというより女子のしたたかさが透けて見えて味わい深い。ふんわり名人のNaomileが歌う「LET'S BOYHUNT」は包容力あるボーイハント・ナンバーに。80年代の名曲「雨のコニー・アイランド」はR&B風アレンジとソウルフルな歌声がよくマッチして2010年最新版の名曲になっている。また、ピアノとストリングスと清涼感ある歌声が1つになった「抱いて…」は悲しい曲ながら、ゆったりとした世界観に癒しが感じられ、フレネシが歌う「ハートのイアリング」は幼女っぽいささやき声の奥に狂気や毒が潜んでおり、可愛いような怖いような……。アーバンサウンドとエヴァーグリーンな歌声に彩られた「白い恋人」は大人の洗練されたポップスに。透明感溢れる歌声で歌われる「Pearl-White Eve」は清々しくお洒落で、「時間旅行」は伸びやかな歌声が聴き手を心地よい高みに着地させてくれる。

実にバラエティに富んだ、色とりどりの10曲。オリジナルとは違う新たな表現を聴くと見えるものも違ってきて、この曲はこんな側面もあったのか!?という発見も多く、その発見自体、楽しい。何より、どの曲にも松田聖子という希有なアーティストに対するリスペクトと深い愛情がギュッと込められていて、ゆえに“冬盤”なのにあたたかいのだ。

本作を聴き終えた後、オリジナルを聴いてみたくなり、オリジナルを聴き終えた後はまた本作と聴き比べてみたくもなる。そんな幸福な無限循環が生まれるのは、本作が1枚のポップ・アルバムとしても上質だからだろう。冬をあたたかくする松田聖子の名カバー集冬盤。次なる“春盤”も待ち遠しくなった。
文●赤木まみ

◆MemorieS オフィシャル・マイスペース
◆Sony Music Shop
◆フレネシ イラスト日記
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス