東風の中しまりん、新宿で着物ライブ

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2010年12月21日、新宿アコースティックアートにおいて<着物ライブ>が開催された。出演者は、蝦馬、中しまりん(東風)、ふるみまや。そして女性はすべて着物で演奏するというライブだ。

◆中しまりん画像

中しまりんは、髪を真っ黒に染めて登場。とても深い黒の色に、日本女性の芯の強さを感じるほど。その強さを柔らかくしてくれたのが帯だ。季節に合わせて、サンタクロースやトナカイ、クリスマスツリーなどのクリスマスモチーフがあしらわれたキュートな帯。しかし色が黒なので、きゅっと引き締まっている。

中しまりんの登場は、5曲目「花魁」から。箏とピアノのユニゾンが心地良く響く。そして「里の秋」。童謡でありながら、それを超えた大人だけが楽しめる世界を彼女は創っている。チェロとのハーモニー。昭和の頃、子ども達が手を繋ぎ口ずさんだだろう歌。あの頃人は何を思ってこの歌を歌ったのだろう?

続いては「秋桜」。山口百恵の名曲だ。言葉を乗せられていないから、自分の記憶の断片で歌詞を乗せる。その言葉のカケラは、この曲のなかのコアな部分となる。だからこそ、より深い思いとして迫ってくる。母親との想い出は人それぞれ。メロディが呼ぶ自分と母親との思い出が頭をかけ巡る。

中しまりんが創るメロディは、私の頭をより活発にする。「天を仰ぎて君想ふ」。亡くなってしまった大切な人を思って創られた歌。終わりのないものはない、しかし始まらないものもない。あなたがいないのであれば、あなたがいない私の世界を生きよ。許されなくても、許されても、衝動が私の背中を押すから。衝動のあとの凪を待ちこがれることもある。しかし人はそんな単純な生き物ではなく、衝動と凪のなかで混沌としながらも道を見つけていく。そんな思いを感じながら、曲を味わった。

そして、優しい顔をしながら厳しさを表現する「蘇州夜曲」。

中しまりんのラスト曲は「梅ノ花」。箏でブルースと言われるほど粋なイントロ。着物でありながら、クリスマスモチーフを取りいれる、ちょっとしたアヴァンギャルド感にぴったりな一曲。私をどうしてくれるの?誰の色にも染まらない。夢なんてみている暇なし。今の私が今の旬なの。なんて思いが頭を流れる。

言葉のない音楽は本当に私を自由にしてくれる。制作者の思いを超えて、解釈することを許してくれるよう。そして何にも縛られることなく聴く度に新しい世界を構築している自分に気付く。

4月9日に開催される<Classics Lounge~10th ANNIVERSARY~>が今から楽しみだ。

<着物ライブ>
蝦馬
1.宴
2.舟人の口笛
3.HEART
4.碧の海
5.花魁

中しまりん(東風)
6.里の秋
7.秋桜
8.天を仰ぎて君想ふ
9.蘇州夜曲
10.梅ノ花

ふるみまや
11.Soul Mate
12.花
13.流転
14.天音
15.Dream Butterfly
En.1 川の流れのように

<Classics Lounge~10th ANNIVERSARY~>
2011年4月9日(土)
@代官山 晴れたら空に豆まいて
open / start 18:00 / 18:30
前売り / 当日 3,500円 / 3,800円(1Drink別)
Guest:蝦馬 / 近藤孝憲 / 酒井ミキオ / rush! ...and more
TONFU Band:高井城治(G)/ 後藤魂(Pf)/ 渡辺純也(Per)
チケット予約:tonfulive@mimi-e.com(お名前、人数、ご連絡明記)

『結(YUI)』
MIE-0006 1,500円(税込)
1.永遠なるもの
2.天を仰ぎて君想ふ
3.My Favorite Things
4.里の秋
5.游
6.蘇州夜曲
7.Point of Blue ~蒼の世界~
◆東風TONFUオフィシャルサイト

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/

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