クイーン、40thリマスター&SHM-CDでサウンドはどれほど向上するのか?

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2011年、これまでのクイーンの全作品が、リマスター化&SHM-CD仕様に生まれ変わってユニバーサルから順次登場してくる。1月12日に登場となった2組のベスト登場を皮切りに、3月には『戦慄の女王』から『華麗なるレース』までの初期5作が、6月には『世界に捧ぐ』から『ホットスペース』までの5th~10thアルバムが、そして9月には残り『ザ・ワークス』から『メイド・イン・ヘヴン』がリリースとなる予定だ。

◆参照「2011年リマスターの登場は、クイーン40年目の大事件」

先陣を切って登場となった『グレイテスト・ヒッツ』と『グレイテスト・ヒッツ VOL.2』を聴いて、そのサウンドの向上っぷりは「2011年リマスターの登場は、クイーン40年目の大事件」と題し先日お伝えしたばかりだが、我々クイーン・ファンが最も知りたいのは、オリジナル・アルバムのそのサウンド向上はどの程度なのか、であろう。

現時点では、各アルバムの40thリマスター音源は未だ到着していないので、何ともお伝えしようがないが、手元の2組のベストを元に、妄想の翼をSpread Your Wingsして来たるオリジナル・アルバムの期待値を測ってみたい。

まず自分のiTunesを調べてみると「Killer Queen」だけでも6曲も入っていた。『シアー・ハート・アタック』『Greatest Hits』『Absolute Greatest』、『シングル・コレクションVol.1』の「Disc 3」、あとは『THE 70'S-BEAUTIFUL DAYS-』なるコンピに収録されていたものだ。そして6曲目として新たに追加されたのが今回のリマスター『グレイテスト・ヒッツ』の「Killer Queen」である。

(1)「Killer Queen」『シアー・ハート・アタック』収録
(2)「Killer Queen」『シングル・コレクションVol.1』の「Disc 3」収録
(3)「Killer Queen」『Greatest Hits』収録
(4)「Killer Queen」『THE 70'S-BEAUTIFUL DAYS-』収録
(5)「Killer Queen」『Absolute Greatest』収録
(6)「Killer Queen」『グレイテスト・ヒッツ』(40thリマスター)収録

私の耳なのでとても断言できるものではないが、ここにある6曲の「Killer Queen」は大きく分けて4種類の音に分類できる。まず(1)『シアー・ハート・アタック』と(2)『シングル・コレクションVol.1』の「Disc 3」。私の持っている『シアー・ハート・アタック』は、初CD化されたときに飛びつくように手に入れたものだが、『戦慄の女王』や『QUEEN II』など他アルバムと共通して極端にレベルが低く、お世辞にもとても音がいいとは言えないもの。…といってもCD化以降は一番聴き込んだのがこのバージョンだったんだけど。

2009年にリリースされた(2)『シングル・コレクションVol.1』は2008年リマスターと聞いているが、私の耳には(1)とさして大差ない。もちろんローの出方など改善は見られるが、(1)を50、40thリマスター(6)を100と評価すると(2)は60だ。

(3)『Greatest Hits』(4)『THE 70'S-BEAUTIFUL DAYS-』(5)『Absolute Greatest』あたりが、現在流通している一般的なクイーンCD音源だと思うが、(3)はオリジナル(1)よりも格段の音質向上が図られた作品だ。(4)は(3)と同じマスターを使用していると思われるものの、(4)の方が若干だが低域に迫力がある。コンピCDだけに、他のアーティストの作品とのレベル合わせなどでマスタリング時に微調整が入っているのかもしれない。この中で最もいい音は、明らかに(5)。(3)は80、(4)はそれよりちょっといいから82、(5)は頭ひとつ抜けて88と評価した。

そして今回登場の『グレイテスト・ヒッツ』(40thリマスター)が100の評価である。

(1)評価 50「Killer Queen」『シアー・ハート・アタック』収録
(2)評価 60「Killer Queen」『シングル・コレクションVol.1』の「Disc 3」収録
(3)評価 80「Killer Queen」『Greatest Hits』収録
(4)評価 82「Killer Queen」『THE 70'S-BEAUTIFUL DAYS-』収録
(5)評価 88「Killer Queen」『Absolute Greatest』収録
(6)評価 100「Killer Queen」『グレイテスト・ヒッツ』(40thリマスター)収録

独断過ぎる評価だが、ハイがまったく抜けてこないためイントロの指パッチンも冴えない(1)の「Killer Queen」と(6)の「Killer Queen」とでは、耳に届く音の情報量が全く違う。シニア世代に向けて例えれば(1)はカセットにダビングした音だ。しかもドルビーをかけて録っていないのにドルビーBのスイッチをONして再生してしまったときのような抜けの悪さと歯切れの悪さを感じるイメージ。(6)はもちろんレコードの音である。

「輝ける7つの海(Seven Seas Of Rhye)」も『QUEEN II』『Greatest Hits』『Absolute Greatest』『グレイテスト・ヒッツ』(40thリマスター)という4作から聴き比べてみたが、その傾向は「Killer Queen」と同様だ。残念な『QUEEN II』に対し『Absolute Greatest』のサウンドは秀逸、そして『グレイテスト・ヒッツ』(40thリマスター)は、さらにその全帯域の音を丁寧に再配置させたかのような推しの強さがある。

初期のオリジナルCDを愛聴してきたクイーン・ファンであれば、馴染みの音は(1)であろう。もちろん私も、これが標準と思ってきたリスナーのひとり。今回の40thリマスター&SHM-CDの霧の晴れた音像は、爽やかな大草原で深呼吸をしたような透明感をもって現れる。(1)から(6)へのサウンド向上は、やはりクイーンへのリスペクトと畏怖の念を再沸させる40年目のサプライズになる…そこに疑う余地はない。

text by BARKS編集長 烏丸

◆クイーン・オフィシャルサイト

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