あけましておめでとうございます。D.W.ニコルズの鈴木健太です。
2011年も引き続き『だからオリ盤が好き!』ともどもよろしくお願いいたします。

さて新年早々ですが、1月26日に僕たちD.W.ニコルズの2ndアルバム『ニューレコード』が発売となります。実はこの作品で、僕達はアナログレコーディングを取り入れました。最終的にはデジタルであるCDになって世に出るわけではありますが、最初の録りの段階において、アナログテープに録音するという手法を用いてみたのです。

もちろん、アナログレコーディングをするということには色々な想いが込められているわけですが、ここではひとまずそれは置いておくとしましょう。また、アナログやデジタルとは理論的に何ちゃら、という話も置いておきましょう。

今回議題にしたいのは、アナログレコーディングをするということは実際的にどういうことなのか、またそれによってレコーディング自体や作品にどういった影響が出るのか、ということです。“オリ盤”の魅力を語るこの連載ではありますが、今回は僕がD.W.ニコルズの『ニューレコード』のレコーディングで経験したアナログレコーディングというものを通して、“オリ盤”とそう遠くないテーマである“アナログ”について考えてみたいと思います。



「Pro Tools」に代表されるようなデジタルレコーディングが主流となっている現代では、アナログレコーディングをするアーティストは滅多にいません。理由には、デジタルのクリアーでハイファイな音が好まれているというのもあると思いますが、やはり一番大きな理由は“コストと手間がかかる”ということでしょう。

通常のデジタルレコーディングの場合、演奏のデータはハードディスクに保存されます。実際にはほぼ無限に保存することが可能で、例えば4分の曲を5テイク演奏して、その中から良いテイクを選ぶのも簡単ですし、アルバムとなればそれを10曲なんてことも簡単にできてしまいます。しかしアナログレコーディングの場合、演奏はテープに記録されていくのですが、僕たちが使ったテープは1本で15分しか録れません。4分の曲では詰めて3テイク。5テイク録るには2本必要です。その調子で10曲入りのアルバムを録るとしたら20本必要になるわけですが、そのテープの価格は1本数万円もします。つまり、通常のレコーディングをアナログでやろうとすると、デジタルに比べ相当なコストがかかることになってしまうのです。

デジタルとアナログでの手間の差はいちいち挙げたらキリがありません。カセットテープとCDの利便性の差を考えてみればわかりやすいかもしれませんが、それは実際のレコーディングを振り返りながら検証していきましょう。

まず、レコーディングの手順です。これはアーティストによって、またどういった作品を作るかによって違うものですが、今回僕たちは、まず、ドラム、ベース、エレキギター、アコースティックギターからなるベーシックトラックを録音し、それにエレキギターと、鍵盤を入れる曲には鍵盤をオーバーダビングし、最後にヴォーカルとコーラスを入れるという、手順としてはごく一般的と言える手順で録りました。

アナログレコーディングを行なったのは、最初のベーシックトラックの録音の部分です。もちろん、すべてをアナログレコーディングで行ないたい気持ちは山々だったのですが、予算も期間も限られています。そこで、なるべくコストを抑えつつ効果的にアナログレコーディングを取り入れる方法として、サウンドの基本となるベーシックトラックの部分をアナログテープに一発録りする、という方法を選んだのです。そしてそのアナログテープに録った音をデジタルに移して、オーバーダビングはデジタルで行ないました。