「ビクタースタジオ」と共同開発したモニターヘッドフォン「HA-MX10-B」登場

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ビクター・JVCは2月7日、スタジオモニターヘッドフォン「HA-MX10-B」を発表した。同社グループの「ビクタースタジオ」が開発に全面協力。音楽の制作現場に求められるモニタースピーカーをレコーディングエンジニアとともに追求したという。2月上旬に発売する予定で、価格はオープンプライス。店頭では2万円前後になる見込みだ。

発表会であいさつに立ったビクタースタジオの高田英男スタジオ長は、「スタジオ収録では、アーティストはヘッドフォン、エンジニアはモニタースピーカーとモニタリング環境が異なる。それでも音色や音質を統一しないと両者の意思疎通ができない」と指摘する。「モニタースピーカーの音質感に限りなく近づける。それがスタジオ側として大きなポイントだった」(高田氏)。


▲ビクタースタジオのコントロールルームで行われた発表会の様子。アーティストの石塚まみさんが実際にレコーディングを行い、ラージモニターと新製品で聞き比べを行った(左)。デモを担当したのは、ビクタースタジオの秋元秀之エンジニアグループ長(右)

音質の基準になったのは、コントロールルーム内のラージモニターで聴く音だ。楽器の音色やボーカルの質感が生音やモニタースピーカーとイメージが統一されることに加え、大編成のバンドでも各楽器の音色やバランスが判断できる解像力、さらに音楽的表現力の高さも必要な条件になった。もちろんプロユースに耐える耐久性や高耐入力、メンテナンス性の高さといった条件もある。

「モニターというと、音楽鑑賞とは別モノと論じられることも多い。しかし、意図した音を再現するという意味で“音楽的表現力”は極めて重要。“気持ちよく聞こえる”ことがアーティストのモチベーションを高める。そして、聴き返したときには自分が意図した音がそのまま再生されなければならない」(日本ビクター技術部シニアエンジニアリングスペシャリストの三浦拓二氏)。新開発のドライバーユニットは、40ミリ径のPETフィルム製振動板を使用している。素材としては一般的ながら、ドーム高やエッジ幅などのシミュレーション分析から試作、およびスタジオで実際に試聴しての評価を繰り返したという。また振動板の全面には、これも新開発のサウンドディフューザーを搭載。高域の音圧を向上させ、解像感の高い高域再生と音場の広がりを実現するという。ハウジングには、内部の背圧を最適化するクリアバスポート構造を採用して低域の明瞭(めいりょう)さを向上させた。


▲40ミリ径の振動板は、23マイクロメートル厚のPETフィルム。サイズも素材もごく一般的だが、ドーム高やエッジ幅など15以上のパラメーターについて検討を重ね、シミュレーションから試作、試聴というサイクルを何度も繰り返したという


▲高域の音圧を向上させるディフューザーは、形状や穴の数、大きさ、位置などを最適化。従来タイプでは1万4000~1万Hzの間に大きな谷があったが、2~8dB引き上げることに成功した


▲ハウジング内部に設けられたクリアバスポート構造(中央のクリアパイプ部分)。スタジオで使用されるヘッドフォンは音漏れを抑えるために密閉型とするのが基本だが、密閉型は音の“こもり”が付きもの。新構造では、低域を出したまま、こもりの原因となる100~200Hzの音を抑制して「ラージスピーカーと同じとはいえないが、雄大な低音に一歩近づくことができた」(三浦氏)。特許出願中だ

「演奏サイドのアーティストやミュージシャン、録音再度であるレコーディングエンジニアの双方が満足できるヘッドフォンが具現化できた」(同氏)。なおビクタースタジオでは、スタジオ内で使用しているモニターヘッドフォンの約半数がすでにHA-MX10-Bに変更され、利用者からも高く評価されているという。

再生周波数は10~2万8000Hz。インピーダンスは56オームと通常のヘッドフォンと異なるものの、出力音圧レベルは108dB/mWを確保しているため、特別な機器(ヘッドフォンアンプなど)は用意しなくても十分に利用できる。ケーブルは約2.5メートルで、コネクターはステレオミニプラグ。ステレオ標準プラグに変換するアダプターも付属する。重量は約260グラム。

(ニュース提供:+D LifeStyle)

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