シンディ・ローパー、「音楽の力」でマジックを

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未曾有の被害を受け、過去最大の困難に立ち向かっている日本だが、東北地方太平洋沖地震の日にシンディ・ローパーは日本に到着、その直後こんなコメントを出した。

「ちょうど飛行機に乗っていたので何が起こっているのかわかりませんでした。空港やホテルで、毛布をかぶった人たちがたくさんいて心が痛みました。部屋でTVをつけたら、本当にすさまじい状況になっていることがわかりとてもショックでした。でも、今、私は日本にいるんだから、何ができるかを考えています。私にできることは音楽。私の歌で少しでも勇気を、少しでも元気を与えることができるなら、それが私の仕事と思っています。日本はRISING SUNの国。自分たちを信じて立ち上がりましょう。ガンバッテ!」──シンディ・ローパー

彼女は、最終的にツアーを行なうことを決断。15日名古屋、16日東京と公演を決行した。

震災前に話題となったブエノスアイレスの空港で見せた彼女のパフォーマンスを見た人は思い出して欲しい。怒りを一瞬で笑顔に変えた彼女のパフォーマンス、ハプニングをサプライズに差し替えてしまったプロフェッショナルな生き様を。

彼女は、奇しくも震災当日に日本の地に降り立ち、「音楽の力」でマジックを起こしてくれたのだ。以下は、ソニーミュージック・スタッフから寄せられた、シンディのライブレポートである。

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●シンディの歌が我々に力を与えてくれました

音楽の持つ意味とは何なのか?それを感じさせてくれたシンディのライヴでした。こんな日本が大変な時になんでライヴやるのか?とかいろんなことを言う方もいるでしょう。でも日本から逃げ出す人も多い中シンディはあえて残りました。自分にできることは音楽、だから音楽で力を与えたいと。そして少しでも日本の役に立てるならと。コンサートで義援金の募金箱を設けることはもちろん、そして日本にいる自分が世界へ何かを発信して何かできることができないか?と。

日本初公演となる名古屋公演が先ほど終了しました。ライヴ、マジで素晴らしかった。そこにいる誰もがみんな本当に感動してました。たぶん言葉で言っても見ないとわからないとは思いますが、本当に素晴らしかったんです。こんな時期だからこそ、歌の力というものを見せつけてくれたという感じです。この瞬間だけでもみなさん笑顔になれるというか。この瞬間だけでもいやなこと忘れられるというか、そして何か力や勇気を与えてくれたような…そこにいた誰もが同じ気持ちになったはず。

ときおり日本語を交えて、会場中に話しかける。親密感。驚いたのはどうしてもコミュニケーションをとりたかったのか、客席にいた日本語話せる外国人の女性の方を見つけ、いきなりその方に通訳させたりで、これまた大歓声。通訳してくれた方にもみんなで大拍手。

客席へ何度も降りて行き、椅子に登って立ち上がり、会場中がひとつになっていく様は本当にすごかった。そして声だけであれだけ喝采を受けるのもすごい(声を張り上げ、高音で長く伸ばすとこがあったのですが、それだけで背筋ぞくぞく)。これぞ本物のアーティスト。パフォーマーとしてのすごさ、すさまじさにノックアウトされました。

『メンフィス・ブルース』からの新曲も多くやります。ブルース?って心配してる方もいるかもしれませんが、これまたきっとあまりにも素晴らしくてびっくりすると思いますよ。ブルースというよりも、「ROCK」!はじめて聴く人もきっといたと思いますが、最初の「JUST YOUR FOOL」でもう爆発。ステージ狭しと左右に飛び跳ねるシンディ。思わず会場中が総立ちに。もちろん有名曲も新たな息吹を加えられて素晴らしいアレンジに。「SHE BOP」はリフが利いたロックバージョン。アンコールの「GIRLS~」は最初オルガン一本をバックにゴスペルチックに1フレーズ歌い上げる(これまたシビれた!)、そして一気にバンドバージョンに。その後は大ヒットパレード!「GIRLS」「TIME AFTER TIME」では大合唱!そして最後の最後はシンディがたった一人でダルシマーの弾き語りで「TRUE COLORS」。みんなジーンときてるはず。

「ダウン・ドント・バザー・ミー」の前に「日本人はいつも頑張ってきた。だから元気出そう、みんな頑張ろう。ガンバッテ!」とコメント。そして、最後の「トゥルー・カラーズ」のあと、ジョン・レノンの曲でもある「パワー・トゥ・ザ・ピープル」の一節をもじって、「Remember Power!Remember Power! POWER TO THE PEOPLE!!」叫んで終了。

シンディの希望で設置した義援金箱、それが凄い勢いでみなさん募金してくれていました。それだけでも今回意味あるショーだったといえると思いますが、誰もがダウンになっている今、なにか力を与えてくれる歌、なにか元気を与えてくれる歌、力強く、心を動かしてくれる歌、音楽の持つ力を改めて感じた瞬間でした。そしてこんな時だからこそ一体感を感じられることが大切だと。

最後の「トゥルー・カラーズ」の曲が終わった瞬間、会場から誰かが大声で「ありがとうシンディ」と叫んだ、本当にその場にいたみんなが一体となって同じ気持ちだったかと思います。

<シンディ・ローパー来日公演3月15日@名古屋(2011年3月15日)>
1.Just Your Fool ジャスト・ユア・フール*
2.Shattered Dreams シャッタード・ドリームズ*
3.She Bop シー・バップ
4.Early in the Mornin' アーリー・イン・ザ・モーニング*
5.All Through the Night  オール・スルー・ザ・ナイト
6.Lead Me On  リード・ミー・オン
7.Crossroads  クロスロード*
8.Down Don't Bother Me  ダウン・ドント・バザー・ミー*
9.Don't Cry No More ドント・クライ・ノー・モア*
10.Good Enough  グーニーズはグッドイナフ
11.Shine シャイン
12.Change of Heart チェンジ・オブ・ハート
13.Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン
14.Time After Time タイム・アフター・タイム
15.Mother Earth  マザー・アース
Encore.True Colors トゥルー・カラーズ
(*=『MEMPHIS BLUES』)

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