KREVA「キラキラな明かりを見て“大丈夫、いける”と思った」

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5月11日(水)発売のシングル「C'mon, Let's go」に続くKREVAのニューシングル「KILA KILA / Tan-Kyu-Shin」が、7月20日(水)に発売決定となった。震災後に書いた楽曲「KILA KILA」と、初めてアニメのエンディングテーマとして書き下ろした「Tan-Kyu-Shin」が収録され、2形態のパッケージでリリースとなる。

◆KREVA画像

以下は、そのオフィシャルインタビューの全文である。

   ◆   ◆   ◆

震災後、KREVAが最初に制作した曲。それが、「KILA KILA」だ。カップリングのM2「Tan-Kyu-Shin」、M3「ハヒヘホ feat. SHINGO★西成」も併せて、ふたたび動きはじめたKREVAの強力なニュー・シングルが完成した。

KREVAのラップ、その能動的な力を“KILA KILA”からダイレクトに受け取る。<なめんじゃねえって 叫んだ>からはじまるバース1の16小節は、KREVAが再びラップに向かうにあたって最初に紡いだリリックだった。

「俺が震災後にまず言えることがあるとしたら、この最初の16小節って感じですね。3月11日から4月まで頭のなかにあった言葉が出てきた、特別な16小節です」

曇天模様に力強い陽光が射し込み、そこから眩しい未来が開けていくような陽性のカタルシスに満ちたフックは、それを得るまでストイックに自己と対峙するラップがあるからこそ、活きる。

「夏っぽさもある? 俺自身は夏ってことは頭になかったです。俺のなかでは“アグレッシ部”とかに近い感触がありますね。エモーショナルな曲というか。トラックがかなりヒップホップ的なもので、そこにしっかりメッセージを乗せた曲ができたのは、大きな手応えがありました」

今年のKREVAが響かせる音と言葉は、例年以上にダイナミックだ。「挑め」、「C'mon, Let's go」に続く「KILA KILA」にも、KREVAだからこそ発せられる音楽的バイタリティが満ちあふれている。この3つのシングル曲から感じる連続性は、まるで――現状に立ちはだかる困難に“挑み”、“さあ、行こう”とかけ声をかけながら障壁を乗り越え、“キラキラ”した未来をつかんでいく――人間力という名のダイナミズムを描く3部作のようにも捉えることができる。だから、KREVAが口にしたこんなエピソードがとても印象的だった。

「“KILA KILA”のPVの撮影をしたんですけど。都内で夜景を撮ったんですね。あらためていまの東京の夜景を見て、以前よりもきれいだなと思ったんです。以前は看板の照明がすごくて“ギラギラ”していたけど、いまは人々が必要な電気だけを使って生活や仕事していることが感じられる“キラキラ”したきれいな明かりで。それを見てふと“大丈夫、いける”と思いました」

「KILA KILA」のトラックを手がけたのはニューヨーク在住のHirOshimaとBastianyから成るプロデュース・ユニット、MAJOR MUSIC。今回、KREVAと彼らを引き合わせたのはSEEDAだった。「KILA KILA」のトラックの“鳴り”は実に興味深い。硬質なままバウンスするビートや刺激的なディストーションがかかったシンセベースが形成するリズムの強さ、そのリズムと鮮烈なコントラストをつける上モノの開放的な旋律が、なるほど、耳新しい融合を果たしている。

「SEEDAが“HirOshimaくんのトラックを聴いてあげてくれないか”って言うから、“じゃあ送ってよ”って返したら、“ぜひ直接会いたい”ってなって。それで、SEEDAとHirOshimaくんが俺のスタジオに遊びに来たんです。それが2月ですね。そのときにいくつか聴かせてもらったトラックのなかで、いちばんよかったのがこれで。MAJOR MUSICのトラックは、出てくる音、出てくる音がすごくて。まず、ビートがゴツい。それと、メロディが浮かんでくるタイプのトラックが多いですね。自分は震災以降ほとんどトラックを作っていなかったんですけど、彼らの音から刺激をもらいました。HirOshimaくんは日系アメリカ人で、制作上のコミュニケーションはほとんど英語で取りました。自分の片言の英語や電子辞書などを交えつつ。でも、やっぱりヒップホップが共通言語みたいなところがあるんですよね。HirOshimaくんも俺と同じでMPCを使って曲を作っているから、感覚を共有しやすくて。英語だと相手に言いたいことがストレートに表現できるし、いろいろな面で有意義な制作時間でした」

ここからは、カップリングについて。柔らかく、清涼感をたたえたトラックにKREVAの音楽人生における“飽くなき探究心”が刻まれたM2「Tan-Kyu-Shin」は、テレビ東京系アニメ『爆丸バトルブローラーズ ガンダリアンインベーダーズ』のエンディングテーマとして書き下ろされた曲でもある。

「アニメのエンディングテーマということで“強い主張はないけどずっと残る曲”を意識しましたね。リリックは、子どもがお母さんに“Tan-Kyu-Shinってどういう意味?”って聞いて、お母さんが“その気持ちを探究心っていうんだよ”っていう会話が生まれればいいなと思って(笑)。自分も震災以降なかなか曲を作る気になれない時期があったけど、それでもいまはまた作りはじめていて。“自分の探究心はいつまで出てくるんだろう?”って思い浮かべながら書いたところもあります」

M3「ハヒヘホ feat. SHINGO★西成」は、「アグレッシ部(Remix)」以来のコラボレーションとなるSHINGO★西成とともに辛辣なシニシズムを際立たせたKREVAのラップを聴くことができる。トラックのムードもまた、一筋縄ではいかないディープな妖しさに包まれている。

「“C'mon, Let's go”のカップリングの“マカーGB-mix feat. AKLO, L-VOKAL(BETTER HALVES)”の評判がよかったから、あの曲に似たラインのものを作ろうと思って。要は、言葉遊びですよね。“マカー”もそうですけど、こういう曲はムダにカッコよくするのがポイントですね(笑)。“フ”抜けについての曲だから、リリックはどうしても毒が出てしまうんだけど、SHINGOくんとならおもしろい感じでラップができると思ったので、お願いしました」

もう一度書こう。今年のKREVAが響かせる音と言葉は、例年以上にダイナミックだ。そして、“KILA KILA”を契機に宿ったさらなるタフネスが、ここから彼が創造する音楽にどのような影響をもたらすのか。とても楽しみだ。

ライター:三宅正一/fixed

「KILA KILA / Tan-Kyu-Shin」
2011年7月20日(水)発売
PCCA-03459 ¥1,250(tax in)
1.KILA KILA
2.Tan-Kyu-Shin※テレビ東京系アニメ「爆丸バトルブローラーズ ガンダリアンインベーダーズ」エンディングテーマ
3.ハヒヘホ feat. SHINGO★西成
-bonus track-
4.KILA KILA(Inst.)
5.KILA KILA(with hook)
6.KILA KILA(Acappella)
7.ハヒヘホ feat. SHINGO★西成(Inst.)
8.ハヒヘホ feat. SHINGO★西成(Acappella)

「Tan-Kyu-Shin / KILA KILA」【爆丸盤】
2011年7月20日(水)発売
PCCA-70308 ¥1,250(tax in)
1.Tan-Kyu-Shin※テレビ東京系アニメ「爆丸バトルブローラーズ ガンダリアンインベーダーズ」エンディングテーマ
2.KILA KILA
-bonus track-
3.Tan-Kyu-Shin(Inst.)
4.Tan-Kyu-Shin(アニメver.)
※爆丸盤初回封入特典:爆丸オフィシャルKREVAオリジナルアビリティカード

書籍『KREAM ルールなき世界のルールブック』
2011年5月20日(金)発売
幻冬舎 税込\2000

◆KREVAオフィシャルサイト
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