稲垣潤一、山中千尋トリオとジャジーな一夜

ポスト
稲垣潤一が山中千尋トリオをサポートに迎え、8月26日に東京丸の内コットンクラブでライブを行なった。両者は2010年夏に箱根彫刻の森美術館で開催されたイベントで初共演し、2011年夏は、葉山マリーナで開催されたジャズ・イベントに稲垣潤一がゲストで参加するコラボレーションを果たしていた。

◆稲垣潤一&山中千尋トリオ画像

今回は山中千尋トリオがサポートを務める形だが、3度目の共演となり両者の息はぴったり。どうして今までやってなかったのかと思える程、稲垣潤一の声とジャズ・トリオの相性は素晴らしくマッチし、会場となったコットンクラブの佇まいと相まって、素晴らしいアダルトな雰囲気の一夜となった。

前半に演奏された稲垣潤一の代表曲でもある「夏のクラクション」では、原曲は陽の光が眩しい真昼のイメージであるものの、この場では山中トリオによってムーディーかつクールな真夏の夜に一変する。

中盤はスタンダード・ナンバーのコーナーとなった。かねてからスタンダード・ナンバーを日本語詞で歌ってみたかったとMCで話す稲垣潤一は、このトリオのサポートを得る事で長年の夢が実現したという。選曲のセンスが絶妙で、ナット・キング・コールの名曲「ロンリー・ワン」を美空ひばりが歌った歌詞で歌えば、映画『黒いオルフェ』の主題歌「オルフェの唄」はペギー葉山のヴァージョンで披露するといった具合に、ストレートなカバーではなく絶妙な変化球がオーディエンスをぐっと引き寄せる。さらに水原弘やちあきなおみが歌った永六輔・中村八大コンビの「黄昏のビギン」をセレクトするという、マニアックぶりを見せた。

『男と女』シリーズにて、J-POPやニュー・ミュージックのスタンダード曲をデュエット仕様でカバーするという作品作りに挑んだ稲垣潤一だが、さらに遡った60年代の日本をターゲットにしたジャズ・コンボ・スタイルによるアプローチは、デビュー30周年を迎えた2011年の新たな方向性を示してくれそうだ。

山中千尋トリオとの公演は、同所で9月28日まで行なわれる。稲垣潤一の最新アルバム『30周年記念ベスト ~テーマ・ソングス~』は10月26日リリースを予定している。

PHOTO:鈴木昭寿

◆稲垣潤一オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報