鈴木祥子、自らを綴ったようなアルバム『GOLDEN☆BEST Syoko. The Ballad of Syoko Suzuki』

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2011年12月21日、『GOLDEN☆BEST Syoko. The Ballad of Syoko Suzuki』が発売される。これは、1988年にデビューをした鈴木祥子が、これまで歌ってきたバラードを集めたもの。

◆『GOLDEN☆BEST Syoko. The Ballad of Syoko Suzuki』画像

デビュー当時の歌詞の多くは川村真澄が手がけていたが、今はすべて鈴木本人が書いている。その言葉のひとつひとつは、ときに彼女の「今」であり、鈴木祥子を近く感じる。アルバムに並ぶ曲は、20代から40代になるまでの彼女。それは、鈴木祥子の「女の変遷」だ。そして、1曲目には未発表曲の「I'LL BE THERE」。今、聴くと、この未来形のTHEREがどこなのだろうか?と想像したくなる。

初期の彼女は、ときに不良でときに限りなく支えたくなる女。それは、複雑きわまりない。そして、それが鈴木祥子なのだと思う。この頃、私は彼女に歌詞を提供したい、なんてことを考えていた。まだ作詞家にもなっていなかったのに。それだけ彼女は魅力的だった。もちろん今も。ただ、彼女が自ら言葉を綴るようになり、私の夢はあっけなく壊れた。そして、彼女が綴る言葉は、職業作家には手が届かないところにあり、許されない言葉たちだと気づく。だから、これはもう降伏(幸福)するしかない。彼女の歌には、降伏と幸福が同じ音であることから生まれた「my Sweet Surrender」という曲がある。まるでそんな感じだ。

アルバムの11曲目「プリヴェ」以降は、作詞・作曲:鈴木祥子となり、よりいっそうパーソナルな鈴木祥子が表現される。歌詞は心を裸にしたようなものと言われることがあるが、それに臆することなく、「これがあたし」と存在を見せつけてくれる。彼女の音楽に対する強い思いや女であることのプライドが美しくて仕方がない。

「幸せにしてほしい」と言いたい女性は多いだろう。しかし、言えない多くの女性たちは別のモノにすり替えたり、直球でない言葉に逃げたりする。しかし、それを真っ向から言葉する彼女は、まさしく表現者だ。

ラスト曲「DO YOU STILL REMEMBER ME?」で、<あなたは覚えていてくれますか? あたしが歌を捨てたとしても。>と歌う彼女だが、きっと彼女は歌を捨てることはない。

幸せについて、愛について、足を止めてしまったとき、その答えがこの1枚にあるかもしれない。

<CD情報>
『GOLDEN☆BEST Syoko. The Ballad of Syoko Suzuki』
2011年12月21日発売
MHCL-2009 2,000円(税込)
1.I'LL BE THERE
2.夏はどこへ行った
3.Swallow
4.ムーンダンスダイナーで
5.Sweet Sweet Baby
6.あの空に帰ろう
7.Sweet Thing
8.風に折れない花
9.my love,my love
10.優しい雨
11.プリヴェ
12.ただの恋だから
13.帰郷
14.シュガーダディベイビー
15.忘却
16.逆プロポーズ(仮。)
17.DO YOU STILL REMEMBER ME ?
※1:未発表曲(松田聖子さんに提供した「WE ARE LOVE」のオリジナル・ヴァージョン)
※10:アルバム・ヴァージョン
※17:7インチ・EPヴァージョン

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp

◆鈴木祥子オフィシャルサイト
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