2月11日から全国一斉ロードショーが始まる映画『ドラゴンエイジ-ブラッドメイジの聖戦-』。世界的ヒットを記録した海外RPGゲームを完全映画化した本作で声優、さらには主題歌「UNTIL THE LAST DAY」も担当しているGACKTに、映画について語ってもらった。音楽家・俳優・声優……様々な表現スタイルでワールドワイドに活動の場を広げるクリエーター・GACKTならではの視点から語られる文化論に注目だ。

◆GACKT 「UNTIL THE LAST DAY」 画像

──映画『ドラゴンエイジ-ブラッドメイジの聖戦-』はどんな作品なんですか?

GACKT:ダーク・ファンタジーという言葉が当てはまる本当にいい作品だと思う。ドキドキする作品になってる。ファンタジックなだけではなくて、非常に深い闇の輝きみたいなものもあって。なかなか日本にはないダーク・ファンタジーが表に出た面白い作品だね。見応えがある作品だし、こういう世界が好きな女の子たちも多いと思うよ。

──GACKTさんが声優をやられた“ナイトコマンダー”というのは、作品のなかでどんな役柄なんですか?

GACKT:一言でいうと……悪いヤツだね。

──以前からGACKTさんは自分は演者としても悪いヤツをやったほうが映えるんだってことをおっしゃってたんで、ぴったりですね。

GACKT:ははは(笑)。そう言ってたね。好きなんだよ。映えるかどうかは分からないけど、僕は好きなんだよ。悪い役が。悪い役のほうをやりたいんだよ。いい役よりも。そのほうが良い人だって思われなくていいかなと。

──理由はそこですか?

GACKT:そう。ダメなんだよ。いい役やって人間的に良い人だと思われると、過剰にいろんなことを求められるから。悪い役やって“この人悪い人なんだ”って思われながら、会ってみたら“あっ、意外といい人なんだ”って思われた方が僕には合ってる。それぐらいがいい。だから、あんまりいい人だとは思わないで(笑)。

──そう思っておきます。この映画にしても、今後公開になる映画『劇場版テンペスト3D』にしても、女性が男性並に矢面に立っていろんなものと戦っているところが共通して印象に残る部分でした。GACKTさんはこのような戦う女性、どう思われますか?

GACKT:本来は女の子の戦いってこういうことじゃないのになっていつも思う。本来はこれはオトコがすべき仕事なのに。けど、それをやる男がいないから、こういう女の子が出てきてしまう。“悲劇”だよ。これって。いまの時代を象徴してる。やっぱり女の子っていうのは守るべき存在であって、戦う役割ではない。女性の戦い方って心の戦いであって、肉体的な戦い方ではない。肉体的な戦いは本来オトコがやらなきゃいけないんじゃないのかって。でも、それをできるオトコが少ないから、結果こういうことが生まれてるんだ。

──そこはYFC(日本に漢(男らしい男)を増やすべくスタートしたGACKT率いるバンド・YELLOW FRIED CHICKENz)で漢を増やしてもらって、女性が女性らしくいられる世の中に。

GACKT:うん、そうだね。やっぱり守るべき対象であって欲しいからね。女の子は。

──それから、この作品は元々海外のRPGゲームで、それを映画にするときにハリウッドが日本のトップ・クリエーターを指名して日本で作られた作品なんですよね。この作品の前に公開になったGACKTさん出演の映画『BUNRAKU』は、日本の古典芸能からインスパイアされ、生まれたハリウッド映画でした。このように、日本のクリエーター、カルチャーが海外で支持されてることに対してGAKCTさんはどう感じてらっしゃるのか訊かせてください。

GACKT:日本って、海外に誇るべき文化や伝統、考え方がたくさんあるのに、そこに一番気付いていないのが日本人なんだよ。それは、周りを海に囲まれていて他国と比べることができない環境のなかにいるから、その意識がぬるくなってしまっているんだと思う。周りを国に囲まれてる人たちって、他の国との対比がすごくできるから緊張感があるよね。自分たちの民族とは何なのか、自分たちの国とは何なのか、ナショナリズムとは何なのか。そういうものを意識せざるを得ない環境にあるから、自分たちが自分たちである理由をしっかり考えてる人たちが多いんだよ。だけど、日本人って考えないじゃん。“日本人って何なの?”って聞かれたら、答えられない人が多いよね。“日本人ってどんな民族?”って聞かれたら答えられる?

──う……ん、ってなっちゃいます。

GACKT:でしょ? 日本人そのものに嫌悪感を感じている人も多いし。日本の文化に誇りを持てない人がいっぱいいるんだよ。もったいないと思う。日本ってね、本当に誇るべきものがいっぱいあるんだよ。日本っていう国や思考そのものが文化なんだよ。でも、自分たちが持ってるものがどれだけ貴重なものなのかに気付いてない。もったいなと、本当に思うな。

──GACKTさんはどんなところでそれを実感したんですか?

GACKT:やっぱり海外に出るようになってからだね。海外に出るといろんな文化と比べる。すると、自分たちの持ってるものや考え方や思考、過去から受け継いでるものが、すごく価値の高いものなんだと思うし。日本人とは何なのかを明確に問われることがあるんだよ。海外に行けば行くほど。

──それは海外ツアーに行ったときに受けるメディア・インタビューなどで?

GACKT:もっとフランクな状態。普通の会話の中でだよ。“日本ってどうなの?”“日本人ってこうなんでしょ?”って聞かれることがいっぱいあるんだよ。そのときに、自分の考えを明確に持ってないと、向こうは“なんで? 自分の国でしょ?”っていうわけ。僕のパーソナリティーが、海外のファンに受け入れられている一番大きな理由って何だと思う?

──すいません、分からないです。

GACKT:自分の国に誇りを持ってるのが、見に来ている人たち応援してくれる人たちが感じているからだよ。他の国の人たちって、自国に誇りを持ってる人たちや自国の文化を大切に守ってる人たちこそが、人の国も見れるってことを分かってるんだよ。自分の家族を愛せない人が他人の家族を愛せるか? 自分の国さえ認められない人が他人の国を認められるか? 要は、自分の国のことを愛せない人が他の国の人を愛せますかってこと。僕は、まずは自分の国に誇りがあるからこそ、他の国とも向き合えて、その国のよさが見えてくるんだ。そこで、お互いシンパシーを感じるんだよ。僕は自分の国が大好きで。他の国の人たちも自分の国のことを大切に思ってるから“その気持ち、よく分かるよ”ってことだと思うんだよ。

──なるほど。私たちはもっと日本人として日本を誇りに思うべきだし、日本には他国に誇れるものがたくさんあることを。

GACKT:認識すべきだね。マンガにしてもゲームにしても、日本人が作ったサブ・カルチャーでさえ、世界的にはものすごい評価が高いわけ。けど、マンガは見るな、ゲームするなって。

──子供も大人もそういわれますね。それって自国の文化を否定していること?

GACKT:だから、否定しちゃいけないんだよ。結局、クリエイトしていくものが遊びにつながるものは、その遊びを止めろ=クリエイトを止めろっていうのと同じことで。そうじゃないんだよ。“勉強しろ、遊ぶな”って、遊びを否定するんじゃなくて、“たくさん遊べ、たくさん勉強しろ”って言わないと。

──なるほど。では最後に。今年は年頭から映画公開が続き、夏には主演舞台『MOON SAGA-義経秘伝-』も控えていますが。今後はどんな活動を準備してるんでしょうか?

GACKT:もちろん音楽、ソロもYFCも濃くやっていくし。面白いことをみんなに届けられるんじゃないかな。舞台もそうだけど、俳優としての活動も、声優としての活動も今年はさらにもっとみんなに届けていけると思うよ。

──つまり、今後はさらにいろんなフィールドでのGACKTさんが見られるということですね。

GACKT:そうだね。全部僕にとってはクリエイティヴなことだから。そこでいろんなGACKTのクリエイティヴィティーに触れて欲しい。かならず感動を届けることは約束するから、楽しみに待っていて欲しい。

取材・文●東條祥恵

「UNTIL THE LAST DAY」
2月22日(水)発売
CD+DVD:AVCA-49497 \1,890(tax in)
CD:AVCA-49498 \1,260(tax in)

『ドラゴンエイジ-ブラッドメイジの聖戦-』
2012年2月11日全国ロードショー
監督:曽利文彦
制作:OXYBOT 宣伝:エイベックス・エンタテインメント 配給:TOブックス
主題歌:GACKT「UNTIL THE LAST DAY」
(C)2012 Dragon Age Project. All rights reserved by FUNimation / T.O Entertainment

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