モーニング娘。の全国ツアーファイナル公演<モーニング娘。コンサートツアー2012春 ~ ウルトラスマート ~ 新垣里沙 光井愛佳 卒業スペシャル>が、5月18日に日本武道館にて開催された。タイトル通り、この公演を持って、モーニング娘。7代目リーダーを務めた新垣里沙と、メンバーの光井愛佳がモーニング娘。から卒業した。

◆モーニング娘。 画像@<モーニング娘。コンサートツアー2012春 ~ ウルトラスマート ~ 新垣里沙 光井愛佳 卒業スペシャル>

モーニング娘。史上最長在籍年数となる約10年9ヶ月の間、みんなに夢を与え続け、また、2011年10月からは7代目リーダーとしてモーニング娘。を引っ張ってきた新垣里沙。8期メンバーとして2006年に加入後、ここ数年は怪我と闘いながら約5年5ヶ月の期間にわたって癒しの笑顔を届けてきた光井愛佳。そんなふたりのモーニング娘。としての最後の姿と、新たな旅立ちの瞬間を目に焼き付けるべく、会場となった日本武道館には約1万人が、そしてハロー!プロジェクト史上初の試みとして全国の映画館で実施されたライヴビューイングには約4000人が集結した。

開演前の日本武道館。ファン有志が紫と緑のサイリウムを入場してきたオーディエンスひとりひとりに手渡ししていく。サイリウムという、長さ20cmもないアイテムを通してつながるファン同士の想い。そう、この日は、誰もが同じ想いを胸に抱いていた。<新垣里沙 光井愛佳 卒業スペシャル>。まもなく、その幕が上がる── 。

客電が落ちて公演がスタートする。空から降ってくるかのような錯覚を覚えるスタンド席からの声援と、地下から突き上げてくるようなアリーナからの声援が武道館の空中で歓声の大瀑布を形成し、激流となってステージへと流れこむ。その奥に姿を見せたモーニング娘。は、1万の大歓声を跳ね返すような輝きを放ちながら、アグレッシブなステージパフォーマンスを見せつける。9期、10期メンバーの動きにもキレが加わり、ツアー序盤とは比べものにならないほどの一体感が生まれていた。公演ごとに急激な成長を見せている彼女たち。しかしこの日の8人には、“成長”という言葉だけで片付けることができない何かを感じずにはいられない。全力、まさにステージもオーディエンスも全力だ。

光井愛佳、新垣里沙の映像でひときわ大きな歓声に包まれ、そして紫、黄緑と、ふたりのメンバーカラーで客席が染まるオープニングムービー。客席の全員が全員、ふたりのファン、というわけではない。しかし、この日の1万人は(そしてきっと、全国の映画館の約4000人も、参加できなかった多くの人たちも)、誰に指示されるでもなく一致団結。ステージへと注がれた1万人のほとばしる感情と気迫は、ふたりの卒業を何としてもこの手で成功させるんだ、というひとりひとりの強い意志の現れ。そしてそんな想いは、<モーニング娘。11期メンバー『スッピン歌姫』オーディション!!>開催と道重さゆみの8代目モーニング娘。リーダーを発表するためにサプライズで登場したつんく♂プロデューサーも「みんながほんとに今日のステージを盛り上げようとするのがすっごい伝わってきて、すごく感動してしまいました。新垣が激動の10年間をともにみんなと一緒にきたからね。みんなの愛が伝わっています。」という言葉で表現するほどだった。

10期による「好きな先輩」や9期の「涙が止まらない放課後」、新垣里沙がソロで披露する「秋麗」からの「笑顔に涙~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~」。そして先輩4人(新垣・道重・田中・光井)による「シャニムニパラダイス」や、道重さゆみと田中れいなによる6期メンバーの漫才……のようなトークコーナーと、ツアーの美味しいところをまとめた本編。光井愛佳の卒業セレモニーは、後半に差し掛かるタイミングで実施された。

一面、紫色に輝く武道館。「愛佳!」という歓声に包まれて、光井がステージに入ってくる。そして、卒業を前に感謝の手紙を開く。

「私は人が大好きです。話すこと、甘えることが大好きです。メンバーにも、つんく♂さんにも、会社の方にも、そしてファンの皆さんにもきっと甘えさせて頂いてきました。感謝の気持ちでいっぱいです。」

「リズムも歌もダンスも出来ない、そして気だるさを感じる私をモーニング娘。に入れてくれてありがとうございます。今回のツアーも、フルで出演しなくても、光井の印象が薄れないように。と、考えてくださり、『321ROOM』が出来上がりました。可愛がって育ててくれるつんく♂さんは偉大です。」

「仕事が上手くいかなくても、メンバー間が上手くいっていれば幸せなくらいメンバーが好きでした。」

光井の手紙には、感謝の言葉が並ぶ。左足の怪我は、日常生活には支障のないくらいに完治。しかし激しい動きをすると再発する危険性があるということから、急遽決まった新垣里沙と同タイミングでの卒業。「時期をずらしては?」という声はファンの中からも確かに聞こえた。しかし、負けず嫌いで頑張り屋な彼女だけに、このままモーニング娘。のメンバーとして在籍させれば、きっと再び無理をしてしまうだろう。左距骨を疲労骨折してから完治までに約1年。再度の骨折となれば、完治までにはもう少し時間がかかるかもしれない。下手をすれば完治しない可能性だってある。まだ10代の女の子、ましてや芸能界という世界でこれからも活動していきたい女の子の未来を考えると、このタイミングでの卒業は苦渋の決断であると同時に、最善だった。

突然の卒業になってしまったことへのお詫びの言葉を述べる光井。しかし、自分自身でも無念だったのだろう。そんな想いは、自ら“憎まれ役”として厳しく指導していた後輩たちへ宛てた言葉に見て取れる。

「9期10期のみんな。足が治ったら、一緒に踊りたかったし、もっと直接絡みたかったな。『教える』なんて大げさやけど、私のわかることを伝えたかった。歌って踊れる当たり前のことが、幸せやったんやな、って今すごく思う。」

そして続く「アップとクールダウンと体のケアはしっかりしてください。いっぱいいっぱい素敵な笑顔で歌ってください。」に込められたのは、後輩への願い。自分と同じような状況になってほしくない。同じ気持ちになってほしくない。そして、充実した、幸せなモーニング娘。としての活動を送ってほしい。今にも溢れ出しそうになる涙を堪え、声を震わせる光井の言葉からは、そんなメッセージが伝わってくるようで胸が締め付けられる。

割れんばかりの「愛佳!」コールの中、メンバーひとりひとりから、光井への言葉が贈られる。先輩の新垣と道重からは、後輩たちに対して一番大変な役目を担っていたことを労う言葉と感謝の気持ちが伝えられる。

プライベートでも仲が良かった田中れいなとは、「愛佳!」「姐さん!」のやり取りから。視線を外し、感極まってしまう前に早口で、卒業しても気を使わないでたくさん連絡してほしい、と、気持ちを伝える田中。強がりなところをすべてわかっている光井は、そんな田中の姿を見ながら涙を落とす。

「光井さんが怒ってくれなかったら、今頃、いろんなことに気づけないままだったと思います。(譜久村聖)」自分の時間を割いてまで指導や、微かな変化も見逃さないで声をかけてもらっていたという9期と10期メンバーからは、「光井さん、大好きです」の言葉が口々に飛び出す。そして光井は、9期メンバーを従えてソロ曲「私の魅力に気付かない鈍感な人」を卒業ソングとして歌い上げた。