モーニング娘。・新垣里沙と光井愛佳が卒業。涙混じりの「楽しかった人ーッ!!」に1万人が大歓喜

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コンサートは後半へと加速していく。「HOW DO YOU LIKE JAPAN?~日本はどんな感じでっか?」「TOP!」「いきまっしょい!」「やめてよ!シンドバッド」のメドレーから、会場を煽るMCを挟んで「彼と一緒にお店がしたい!」。最新曲「恋愛ハンター」では、最初で最後となる光井愛佳もパフォーマンスに参加。そして「OK YEAH!」。

「ありがとうございます。お届けしていますウルトラスマート、残すところあと1曲になりました。」

新垣の短い挨拶とともに披露された曲は、2006年11月にリリースされ、オリコンウィークリー1位を獲得したモーニング娘。31枚目のシングル「歩いてる」。原曲とは異なり、<歩いてる / 一人じゃないから / みんながいるから>の歌詞から始まったこの曲を、モーニング娘。は12人で、いや武道館全員、“みんな”で歌い上げて、本編は終了した。

「ガキさん!」コールとともに、真っ暗だった武道館には黄緑の光が絨毯のように敷き詰められ、幻想的な空間が広がったアンコール。ステージに設置されたスクリーンには、ファンお手製のメッセージボードが次々に映し出される。中でも「10年間楽しかった人」の文字には、オーディエンスも大歓声。

そして、メンバーカラーの黄緑がアクセント的に使われたドレスに着替えた新垣里沙がステージに。卒業セレモニーが始まる。目の前の情景、そしていっぱいの「ガキさん」コール。感極まった新垣は、声を絞りだすようにして、想いを綴った手紙を朗読する。

小学生の頃から憧れ続けていたモーニング娘。に入って、あらためて気付かされた甘くないプロの世界。そんな中で先輩たちに教えてもらったものの存在。

「それは、言葉で教わるとかではなく…何かこう一緒にステージに立つとジワーって伝わってくるなにか…モーニング娘。への熱い気持ち、モーニング娘。を愛する『本気』みたいなものを感じたんです。あの日以来、先輩たちの背中を見て色々なことを学ばせていただきました。先輩たちは今でも私の憧れです。」

加入時から憧れていた安倍なつみをはじめ、飯田圭織、吉澤ひとみ、石川梨華らモーニング娘。OGが座る南スタンドに目を向けながら、先輩たちへの感謝の言葉を述べる新垣。そしてOGたちの横には、同じモーニング娘。5期として時を過ごした高橋愛と小川麻琴、そして“GAKIKAME”の相方・亀井絵里も。

「みんな卒業しちゃって、『あー。本当にひとりになっちゃった』って淋しくなった時もあるけど同期のみんなは卒業した後も変わらず気にかけてくれた。私がつらいときにはすぐにかけつけてくれた。いっぱい支えてくれた愛ちゃん、まこちぃ、こんこん、本当にありがとう。」

笑顔を見せながらの一言「同期愛は不滅だね。」は、本番前になって付け加えたか、あの日、あの場所で感じたものをそのまま口に出した彼女の素直な気持ちだろう。言葉は現メンバーひとりひとりへと続く。

「工藤、そのハスキーボイス大切にね。佐藤、天真爛漫な笑顔サイコーだよ。石田、その負けず嫌いな性格でどんどん前に出ていってネ。飯窪、10期の中でひとりお姉さんだから大変なこともあると思うけど肩の力抜いてネ。鈴木、自分を大切にね。悩みがあったら言うんだよ。あ、今度モノマネおしえてネ。鞘師、歌もダンスもどんどんカッコ良くなってるよ。その調子で突き進んでね! 生田、生田は自分をコントロールできない時があるから心配だなぁ。でも愛されるKY…近づいてると思う。この場を借りて私も生田が大スキだよっ。ふくちゃん、そのハロプロ大スキな気持ち忘れないで、これからもいっぱい愛してネ。光井、これからは体のコトを1番に考えてゆっくり進んでいってね。たなかっち、いつもこだわり持って突き進む姿。かっこよかったよ。さゆみん、さゆみんとはいっぱい笑ったね。さゆみん? さゆみんの優しさに私はたくさん助けられたよ。 ありがとう。 明日からはリーダー任せたっ。」

「みんな! これからもモーニング娘。をしっかり頼んだよ。よろしくネ!」

流れる涙もそのままに、つんく♂プロデューサー、スタッフへの感謝。そして10年間、一番近いところで応援し続けてくれた家族、孫の卒業公演を目にすることなく、3月9日に亡くなった、最愛の“ばばちゃん(おばあちゃん)”にも。

「10年間一番近くにいてくれた家族。どんな時でも味方でいてくれてありがとね。時にはわがままも言ったけど家族の大切さを実感した10年でした。私の卒業LIVEを見ずして天国に行ってしまったばばちゃん。これからもりさ、がんばるから…見守っててね。」

最後に、ファンに向けてのメッセージ。

「デビュー以来、たくさんの声援ありがとう。記念日の黄緑色のペンライトありがとう。黄緑のTシャツありがとう。いっぱいのお手紙ありがとう。いっぱい歌ってくれてありがとう。いっぱい踊ってくれてありがとう。いっぱい跳んでくれてありがとう。いっぱいの笑顔と愛をありがとう。いっぱい勇気を与えてくれてありがとう。みんなが居てくれたからここまでやってこれました。」

感謝してもしきれないほどの感謝。まさにそんな気持ちを表すかのように、感謝の言葉が並ぶ。思わず涙を拭う者、そのままに新垣の姿を目に焼き付けようとする者。ただ、静まり返った日本武道館に、彼女の声だけが響きわたる。

「みんなの愛をいーっぱい感じた10年でした。みんなからのたくさんの愛を胸に、私は前に進んでいきます。私は今日でモーニング娘。を卒業しますが、モーニング娘。のメンバーであったことを誇りに感じながら…そして誰よりもモーニング娘。のファンで居続けたいと思います。『モーニング娘。 大スキ。』」

言葉のひとつひとつに万感の思いを込める。そして最後に「2012年5月18日、モーニング娘。」と口にして、一呼吸。声のトーンを上げ、「モーニング娘。7代目リーダー 新垣里沙」と見事に言い切った。

拍手と大歓声の中、新垣は「みんなありがとう!」と絶叫。そして彼女の卒業ソングは、「Never Forget」。言わずと知れた、モーニング娘。最初の卒業メンバーとなった福田明日香が歌い、そしてその後は卒業セレモニーの定番となった楽曲。しかし昨今ではセレモニー中のBGMとして使用されており、卒業ソングとしてこの曲を持ってきたのは、「女子かしまし物語」で<メンバーカードは今でも 私の宝物>と歌う新垣らしい選曲と言わざるを得ない。曲の途中からは、ほかのメンバーもステージに集合し、セレモニーは続く。
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