モーニング娘。・新垣里沙と光井愛佳が卒業。涙混じりの「楽しかった人ーッ!!」に1万人が大歓喜

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光井愛佳は、ステージ上でもリーダー・新垣里沙への配慮を見せるなど、最後の最後まで愛佳らしかった。それはきっと、彼女が周りのことをよく見て、自分の立ち位置を把握できる人だったから。同時に、彼女が負けず嫌いでもあったから。志半ばで残念ながらモーニング娘。を離れていかなければならなかった光井。だからこそ、この公演このツアーは、最後の最後まで“モーニング娘。の光井愛佳らしく”いたい。そんな気持ちが伝わってきた。なお、彼女は卒業後もハロー!プロジェクトに在籍し、ハロプロメンバーとして活動する。

新垣里沙は、大好きなモーニング娘。を完全燃焼していた。最後に見せた一点の曇もない、実に満足そうな表情。彼女はこの日、約10年間活動し、愛し続けたモーニング娘。をやりきった。一生懸命、完全燃焼。

その道のりは、決して楽しいことだらけではなかった。辛いことのほうが多かったかもしれない。“ファン”という名の免罪符とともに、心ない言葉をぶつけられ、胸を痛めたこともあった。体が悲鳴をあげていた時も、フラフラになりながらステージに立った日もあった。我々は、ステージ上でスポットライトが当たっている、いつも笑顔な彼女の姿しか知ることはないが、その笑顔の裏には数多くの涙もあったはず。それでも新垣里沙は、ステージに立つことをやめなかった。

<歩いてる / 一人じゃないから / みんながいるから>

新垣はひとりではなかった。みんながいた。いや、新垣だけでなく、モーニング娘。にはみんながいた。それは“娘。の伝統”とも言われる、先輩から後輩までの絆。つんく♂プロデューサーはじめ、陰で彼女たちをバックアップし続けるスタッフや家族。そしていつだって背中を押してくれた、愛と笑顔と涙と勇気をくれるファン。そんなみんながいるからこそ、モーニング娘。は、これまでも歩き続けてきたし、そしてこれからも、歩き続ける。

高橋愛がリーダーを務めた8人体制時のモーニング娘。は、「最高の8人」と呼ばれた。そして、2012年5月18日の日本武道館公演終了後には、新垣をリーダーとする12人のことを「最高の12人」と表現するファンもいた。

高橋愛と新垣里沙。このふたりがモーニング娘。のトップにいたことで、今の“最高の”モーニング娘。が生まれたのは明らかだ。思い返せば、このふたりは、タクトを振るう指揮者の右手と左手のような存在だった。たとえばステージで、冷静で完璧なパフォーマンスをみせていた高橋愛と、激しく大きな動きでライヴごとにパッションをぶつけ、オーディエンスのボルテージをこれでもかと引き上げていた新垣里沙。それは指揮者の冷静にリズムを刻む右手と、各パートを情熱的に煽る左手の関係。そしてこのふたつがあってこそ、オーケストラは人の魂をも揺さぶる最高のシンフォニーを奏でることができる。

以前、高橋愛から新垣里沙へとリーダーが移ったことでモーニング娘。内で雰囲気などの変化はあったか、と、9期メンバーに訊ねたことがあった。メンバーからの答えは「高橋さんがリーダーの時から、高橋さんと新垣さんふたりでモーニング娘。を引っ張ってくれていたから。」と、新垣リーダー体制になっても大きな変化はなかったそうだ(もちろん、10期の加入など、リーダーの変更以外の要因もあるので、まったく同じ、とは言えないだろうが)。

そんなモーニング娘。において新垣里沙の卒業は、すなわち高橋愛から続いた“現体制”の幕引きを意味する。しかしそれはモーニング娘。の終わりなのか。いや、新しい時代の幕開けでしかない。

次のリーダーは道重さゆみ。道重は、高橋×新垣のように、同期・田中れいなとともにモーニング娘。を引っ張っていくことになるのか、それともその強烈なキャラクターと頭の良さで、圧倒的なリーダーシップを発揮していくのか。いずれにしても、次のモーニング娘。は、これまでとは違う。新しい進化を見せてくれる。

客電がついてからも続いていた「娘。最高!!」の大声援。それは、まさに今、生まれんとする新たなモーニング娘。の胎動のように、日本武道館を揺らし続けていた。

text and photo by ytsuji a.k.a 編集部(つ)
◆ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト
◆BARKS★かわいこちゃんねる
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