男前な女性V系exist†trace、女性ならではのしなやかさで振り切った1stフルアルバム『VIRGIN』完成

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女性ばかり5人による男前なヴィジュアル系ロックバンド、exist†traceが、1stフルアルバム『VIRGIN』を5月23日にリリース。これが実に刺激的なのだ。ショー的要素の強いツインヴォーカル曲あり、女性の情念がどろりとしたたり落ちる曲あり、エロティックなロックチューンあり、伸びやかなロッカバラードあり。硬派なロックという軸はそのままに、女性ならではのしなやかさで様々な方向に振り切った13曲。より自由になったという5人に、本作について、そしてミュージック・ビデオでの演技初挑戦についても聞いた。

◆『VIRGIN』全曲試聴
▲ジョウ(Vo)
▲miko(G)
▲乙魅(G)
▲猶人(G)
▲Mally(Dr)

――すごくバラエティに富んだアルバムですね。楽曲も幅広いし、歌詞もストーリー性のあるものが多くて、ワクワクするほど楽しかったです。

ジョウ(Vo):そのストーリーのおかげで、ほんとに大変でした(笑)。どの曲もキャラの濃い主人公ばっかりじゃないですか。だから新曲だけでも8曲8変化で。

――「契約」なんて主人公が吸血鬼だしね?

Miko(G):はい。男の吸血鬼で、30代後半から40歳ぐらいで……って、そこまで細かく設定を考えて(笑)。

ジョウ:この「契約」は今回、mikoが一番凝りに凝った曲だよね。

miko:そう。私の中でイメージがすごくあったんです。だから普段はレコーディングで、ドラムの音色にまでうるさく口出ししたりはしないんですけど、この曲に関しては、まず1日目にドラムの音をいろいろ試してもらって、それをいったん家に持ち帰って考えて、また翌日“ここはこうしてみようか”みたいに詰めていって。

Mally(Dr):mikoがすごくこだわりを持っていたので、自分もバンパイアの気持ちになりきって叩きました(笑)。

miko:たぶん、みんな内心“うるさいなぁ”と思ってたと思うんですけど(笑)、よくやってくれました。

ジョウ:ほんとに許してくれなかったからね(笑)。私は男を演じるっていうのもあって、自分の持ってるイメージをフル活用して歌ったんですけど、“これか?”“違う”“これか?”“違う”みたいな。だからこの曲って、バンパイアの切なさも出てるけど、私自身の切なさも入っていると思います(笑)。

miko:申し訳ない!(笑)

ジョウ:でもそれぐらいこだわって、みんなもチャレンジしたから、すごく面白い曲になったと思いますね。

――面白いといえば、「あなた」も強烈な世界観があって。

miko:イグのファンって男女半々ぐらいなんです。で、女性はこの曲を聴いて“おおっ!”と思ってくれると思うんですけど、男性は一瞬、引くんじゃないかなと(笑)。……女性の怖さが出てますからね(笑)。

mally:デモの段階ではもう少し控えめだったんですよ。でもやっていくうちにどんどんすごくなっていって、完成したのを聴いた時には、恐ろしい……と思った(笑)。

猶人(B):そう。デモで聴いた時は雰囲気が良くて、ずっと“やりたい”って言ってたんです。そしたら、まさか歌詞がこうなるとは(笑)。

乙魅(G):こういうドロドロした感じは好きですね(笑)。

――自分の中にもこういう要素はある?

ジョウ:私はこの主人公の気持ちがちょっとはわかるかな。愛してる人と一つになれない切なさとか、愛しているが故に殺してしまったけれど何も残らない哀しさとか。わかるだけに、感情がすごく入りましたね。ただ、歌ってる時に別の人が私の中に入り込んだ感じもあって。女の人の怨霊というか……レコーディングの時、ほんとに肩が重かったんですよ。

miko:で、私がミックスルームから「今の歌も良かったよ!」って、ブースの中を見たら、ジョウが泣いてて。「どうしたの?」って聴いたら「わかんない……」って。

ジョウ:なんか涙が止まらなくなっちゃって(←と言いながら、今も目に涙)。もう、とりあえずブースから出たかったです。怖かった(笑)。

――すごい体験……でもそれぐらい入り込んで歌ったからこそ、ここまで伝わってくる曲になってるんですね。かと思えば同じ女性でも、「HONEY」の主人公はエロティックな肉食系で。

miko:「HONEY」は最初から、ジョウがボンテージ姿でMっ気のある男性を踏みつけてるようなイメージがあったんです(笑)。で、イントロのギターと同じメロディをヴォーカルが歌ってとか、今までにないようなところもありつつ、楽しくお祭り騒ぎのように作っていった感じですね。

――シャッフル系のゴージャスなナンバー「GINGER」は主人公が怪盗で、この曲ではジョウとmikoがツインヴォーカルで歌ってるし。本当にどの曲も全く違う個性が光ってますよね。しかもこの「GINGER」はミュージック・ビデオで演技にも初挑戦。

ジョウ:はい。イグ史上初のドラマ仕立てのミュージック・ビデオで、かなり面白いドラマになっているので、ぜひ観ていただきたいです。

――演じるのってどうでした?

miko:ツインヴォーカルの曲をミュージック・ビデオにするのは初めてで、私はギターを持たないで歌うシーンがあったんですけど、手持ちぶさたというか、一瞬どう歌えばいいのかわからなくなっちゃって。“あれ? ジョウっていつもどうやって歌ってるんだっけ?”とか思い出しながら頑張りました(笑)。

Mally:自分はメインのヴォーカルを差し置いて、一番登場回数が多いんじゃないかと思うんですが。いかに自然に悪巧みしているように見せるか、表情にはすごくこだわりましたね。

ジョウ:私は逆に、一番登場回数が少なかった(笑)。けど、一番みんなを引っかき回す役なので、結果的には一番おいしかったかなと(笑)。

猶人:自分はあのミュージック・ビデオの中で初めてアップライトのベースを弾いているんですけど、それがちょっと大変でした。いつもは五弦のベースを弾いているので。でもミュージック・ビデオだから音を録るわけじゃないしとか、いい加減にやるのはイヤだったので、アップライトのチューニングを変えて、家で練習して。

ジョウ:え? あれ、四弦で弾いてたんだ? 今の今まで知らなかった(笑)。でもそれぐらい超自然に弾いてるよね。

――乙魅さんは?

乙魅:演技は大変でしたけど、結構アドリブを入れてやれたんで、楽しかったです。駆け寄って脈を取るシーンをその場で思いついてやったりとか。

Mally:乙魅は一番NGが多かったけどね。これ、最新情報です(笑)。

――しかし、楽曲にしても、ミュージック・ビデオでの表現にしても、より自由になってきているんじゃないですか?

猶人:そうですね。前はプレイでも楽曲を選ぶ時でも、“自分たちは硬派なバンドだからこうしなきゃ”みたいなところもあったと思うんです。もちろん今も硬派な音は好きなんですけど。でも今回のレコーディングでは“これ面白そうだからやってみよう”って、今までやってなかったことをやってみたり。いい意味で枠がなくなったというか。

miko:ほんとに自由で、自分たちを縛るものがもう何もなくなったよね。

――それは何かきっかけがあって?

miko:やっぱり去年2枚CDを出して、それに対する反応が良かったり、ライヴでみんなの反応も良かったりとか、そういうことから生まれた自信が大きいと思います。前の私たちだったら、“こんなことをやったらうちのファンは嫌がるかな?”みたいなことも考えてたと思うんですけど、今は“音楽的に本当にいいものであれば、ファンの人たちも受け入れてくれるだろう”って思えるので。

――じゃあ、ファンとの信頼関係もより強くなって。

miko:はい。ファンに対する信頼は、メンバーに対する信頼と同じぐらい、すごくあります。

ジョウ:だから今、怖いものがないっていうか、自分たちがいいと思ったものであれば何でもやりたいと思っているし、何をやってもどんな楽曲でもこの5人が弾けばexist†traceになるっていう自信もすごくあって。だからこそ、今回のアルバムもここまで幅を広げられたんだと思いますね。

――なるほど、納得です。

猶人:このアルバムは本当に幅広くて、いろんな曲が揃っているので。だから、どのジャンルを好きな人にも響く楽曲があると思うし、あと、音楽はあんまり聴かないけど最近退屈で刺激を求めてるっていう人にもぜひ聴いてもらいたいなと思いますね。これを聴くと退屈なんか吹き飛ぶっていう、それぐらい刺激に満ちたアルバムなので。

取材・文●赤木まみ


New Album
『Virgin』
2012年5月23日発売
【CD+DVD】
TKCA-73756 ¥3,600(tax in)
【CD】
TKCA-73760 ¥2,800(tax in)

ワンマン<Just Like a Virgin>
6月23日(土) Shibuya O-WEST
開場17:00/開演17:30
チケット料金:前売¥3,150
【チケット一般発売】5月12日(土)~
チケットぴあ:0570-02-9999(P:160-577)
ローソンチケット:0570-084-003(L:77284)
イープラス:http://eplus.jp(PC・携帯共通)
O-WEST券売窓口
(問)ディスクガレージ:050-5533-0888(平日12:00~19:00
◆チケット詳細&購入ページ

イベント
●5/23(水) 新宿ロフト
<SHINJUKU LOFT 13/35th Anniversary master+mind ~Go Go Girls!!~>
(with:FLiP、キノコホテル) open18:00/start19:00
(問)新宿LOFT 03-5272-0382

●6月16日(土) 目黒鹿鳴館
(with:SKYLARK (from ITARIA), VRAIN, Refine:Zero, 他)
open17:00/start17:30
◆チケット詳細&購入ページ

◆exist†traceオフィシャル・サイト
◆exist†traceマイスペース
◆BARKS ヴィジュアル系チャンネル
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