ルー・リード、彼の神髄が見て取れる脂の乗ったパフォーマンス

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1983年、ニューヨークで行われたルー・リードのライブがリイシュー発売される。1964年にニューヨークでヴェルヴェット・アンダーグランドを結成したルー・リードが、地元ニューヨークのクラブ『ボトム・ライン』で1983年2月25日・26日・28日、3月1日に各日2公演ずつ行った8回のライヴのうち、28日のテイクを収めたのが本作だ。

◆『ア・ナイト・ウィズ・ルー・リード』画像

当時40歳と、脂の乗りきった時期のライヴで、『ブルー・マスク』(1982)、『レジェンダリー・ハーツ』(1983)と同じ4人編成のバンドを率いたステージでオーディエンスを魅了する。この日演奏されたのはルー・リードのキャリアを通じてのベスト・セレクションと言えるものだ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代の「スウィート・ジェーン」「僕は待ち人」「ホワイト・ライト・ホワイト・ヒート」「ロックンロール」や、ソロ転向後の名盤『トランスフォーマー』(1972)からの「ワイルド・サイドを歩け」「サテライト・オブ・ラヴ」などを含め、全13曲をプレイしている。

ルー・リード自身のヴォーカルとギターを中心に、ベーシックな演奏を聴かせるライヴだが、バックを務めるミュージシャン達も実力派揃い。元リチャード・ヘル&ヴォイドイズのロバート・クイン(ギター)や現在でもルーと行動を共にするフェルナンド・サンダース(ベース)、後にスクリッティ・ポリッティやマシュー・スウィートの作品でプレイすることになるフレッド・メイハー(ドラムス)を得て、タイトでありながら刺激的なステージ・パフォーマンスを堪能することが出来る。

地元ニューヨークということもあり、ヴェルヴェット・アンダーグランド時代のマネージャーだったアンディ・ウォーホルの姿も観客席に見ることが出来る。常に自分を追い込んでいく緊張感と、ホームグラウンドであるがゆえのリラックスした演奏が交錯する、無二のライヴ作品だ。

1983年9月には同じラインアップでライヴ・アルバム『ライヴ・イン・イタリー』が発表されており、演奏曲目も似ているが、この時期の彼のステージを映像で見ることが出来るのは非常に貴重なもの。また、インタビュー嫌いで知られるルー・リードがライヴ終演後、カメラに向かってカジュアルに語りかけているのも興味深いところだ。

2011年はメタリカとのコラボレーションを行うなど、常に前進し続けるルー・リードだが、そんな彼の神髄が見て取れる、1983年という瞬間で切り取った鮮烈なライヴ映像作品だ。


『ア・ナイト・ウィズ・ルー・リード』
VQBD-10096 DVD 2980円(税込)
トールケース仕様 / 日本語字幕付
映像:本編 約59分 / 4:3
音声:ドルビー・デジタル ステレオ
1.Sweet Jane
2.I'm Waiting For The Man
3.Martial Law
4.Don't Talk To Me About Work
5.Women
6.Waves Of Fear
7.Walk On The Wild Side
8.Turn Out The Lights
9.New Age
10.Kill Your Sons
11.Satellite Of Love
12.White Light / White Heat
13.Rock 'n' Roll

ルー・リード(ヴォーカル/ギター)
ロバート・クイン(ギター)
フェルナンド・サンダース(ベース)
フレッド・メイハー(ドラムス)
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