コブクロ【インタビュー】産声を上げた秘蔵の名曲「ココロの羽」

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歌は世につれ、世は歌につれ。2006~2012年のコブクロの軌跡をまとめた『ALL SINGLES BEST2』は、世の流れを常に敏感に感じながら、それを超えた普遍性を持つメロディと言葉を生み続けてきた二人の心の歩みそのものだ。ファン待望の初スタジオ録音「ココロの羽」など新録音3曲を含めた2枚組全21曲の中に、コブクロの過去、現在、未来のすべてが凝縮されている。

◆コブクロ画像

──6年間という時間の詰まったベスト盤ですけど、聴き返すとどんな思いが浮かんできますか?

黒田俊介:「蕾(つぼみ)」は、はるか昔のような気がしますね。それでもまだ6年前? 歌い方も今とは明らかに違うし、「蒼く優しく」以降ぐらいから今の歌い方にしようという、このへんでベクトルが変わってるんですよ。だから最初の2曲(「蕾(つぼみ)」「風見鶏」)だけ僕の中では、ちょうど分岐点になってるんですよね。

──そこで何があったんでしょう?

黒田:精神的なもの、肉体的なもの、いろんなことがあって…自分が「いいな」と思うものって、ちょっとずつ変わってくるじゃないですか。ここからも何回かマイナー・チェンジを繰り返してるんですけど、僕の中ではそこで一番大きなチェンジがあったような気がしますね。

──小渕さんは、そういうのあります? ターニング・ポイント的なことは。

小渕健太郎:まったく一緒なんですけども…。

黒田:おーい!そこは別にしようよ!

小渕:僕の発言を先に書いてもらっていいですか(笑)。実は「風見鶏」は、前のベストアルバムをリリースした時のツアーで新曲として書いたもので、ベストを出したけど決して浮き足立たずに次を目指していこうという気持ちが込められているんですよ。おかげさまで、すごくたくさんの人に聴いてもらっている真っ只中だったんですけども、「まだまだ向かい風に向かって行くぞ」という気持ちが強かったんですね。それから「蕾(つぼみ)」を書いて、レコード大賞をいただいて、これもすごくたくさんの人に聴いていただいて…楽曲としても、自分の母のことを歌うのもそうそうないことだし、これはひとつのゴールにしなきゃいけないなと思ったんですね。ゴールを迎えたらどうするか?というと、その先に何があるか?というよりは、そこを突き当たりとして一回戻って、また新たな音楽のトンネルを掘り進めなきゃいけないなと思った1曲目が「蒼く優しく」だったんですよ。

──ああ…なるほど。

小渕:自分の中でひとつの段階が終わったんです。初めて書いた「桜」が始まりなら、「蕾(つぼみ)」で長い旅が一回終わって、また自分探しから始めようと思って書いたのが「蒼く優しく」なんですね。

──基本的には、そのモードは今も続いている?

小渕:そうです。「蒼く優しく」から掘り進めているトンネルは、まだまだ先がある感じがします。

──新録音された曲が3曲入ってますが、なんといっても注目は「ココロの羽」です。コブクロ秘蔵の名曲というか、ずっとアルバム収録が待たれていた曲ですけども、やっとここに入りました。

小渕:『FAN'S MADE BEST』というファンクラブの会員向けのアルバムをずっと作っていて、ファンの方の投票で選曲が決まるんですけど、その第1位がこの歌だったんですね。13年ぐらい前の古い歌なんですけど、最後のほうにお客さんとのかけあいが入るので、そこをどうしよう?と思ったんですが、最終的にライブ盤からの音を入れることにしました。

黒田:僕は正直、スタジオで録るのはイヤだったんですよ。やるんだったらライブ・バージョンが一番臨場感があるし、この曲の良さを表しているかなと思ってたんですけど、そしたら小渕が「だったら途中までスタジオで録ろう」と。「最後だけ、ライブを付けたらいいんじゃない?」という、そのアイディアがったからこういうバージョンが生まれたんですよ。

──ひらめいたんですね。

小渕:そうですね。悩んだ時には何か活路があるはずだ…と。スタジオ・レコーディングする時のアレンジとして、頭の中でマンドリンの音とかが鳴っていたので、きっといいものができるとは思ったんですけど、確かにそれだけで完結する歌ではないというところで、このアイディアが生まれました。『FAN'S MADE BEST』の1位ということは、ファンの声の集まりで、この歌にファンの声が入ってるというストーリーが僕は何よりも好きなので。こういうことができたのも、14年やってたからかな?と思います。

──ファンにとっては最高のプレゼントですよ。

小渕:ライブではギター1本でやってるんですけど、それに勝負を挑もうというところから始まっているんですよ。今は経験も積んでアレンジもいろいろできるから、「ココロの羽」のアレンジもきっといいものが上がる。でもあれを越さなきゃいけないというところで、スタジオ・レコーディングとライブを一緒にすることで、越すとか越さないじゃなくて…。

黒田:ライブの緊張感に、スタジオ録音が勝てるわけがないんですよ。いろんな流れがあって、何万人もの人と一緒に作っている、そんな空気感が出るわけないと思ってたんですけど、これは本当にいい感じになったと思います。

──細かい話ですけど、ミックスするエンジニアの人にも相当繊細な腕が要求されますよね。

小渕:そうですね。音のグラデーションで、ふわっとさせなきゃいけない。

黒田:かといってあまりにもなじませすぎると、スタジオからライブに移って行く感じが出ないから、ある程度スタジオはスタジオっぽく、ライブはライブっぽくコントラストをつけないといけない。いろいろ試しましたね。それが見事に、うちのエンジニアのナイス・プレイが出ました。

小渕:あれは4年前のライブかな。ある瞬間から、4年前にパッと時間が飛ぶという…。

黒田:4年前?

小渕:2008年のライブなんですよ。

黒田:あれ、オレら今、結成何周年?

小渕:(笑)今年で14年目になります。

黒田:さっき、一個前のインタビューで「12年目で」って言ったけど、オレ。

小渕:いやいや、なんで訂正しなかったかというと、よく間違ってるから(笑)。いろんなものがあっていいんじゃないかと(笑)。

黒田:ずっと12年かと思ってた(笑)。

小渕:いいんですよ、増えなければ。15年って言われたら「待て!」と。「おまえ、誰と組んでたんだ?」と言いますけど(笑)。増えたらマズい。減るぶんには全然いい。

黒田:意味わからん(笑)。

──こうして約6年ぶんの曲を聴いていて、「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉がふと浮かんだんですけども。「歌は世につれ」るものだと思いますか?

小渕:それはもう、絶対にそうです。移り変わる時代によって、流行ってるものがあり、なくなっていくものがあり、その中で1年1年が過ぎていく中で、結局は人間がどんなことを感じたか?という、心の風当たりみたいなものには本当に敏感になっておかないと、歌のほうが遅れてしまうんですよ。音楽は常にいろんな時代にいろんなものを投げかけているものなので、終わったことに投げかけるよりも、歌が導いてくれるような、1曲でも多くそんな曲が作れたらいいなというふうには思ってます。夢ですけどね。

黒田:あの言葉はようできてるね。「歌は世につれ」と「世は歌につれ」と、前後する瞬間がある。歌が先で時代があとに来る場合もあるだろうし、そのへんは面白いですね。

──時代がコブクロを後押しして、あるいはファンが後押しして、「こういう歌を今歌うべきだ」と思わせる、そうこともありますか。

黒田:それも当然あると思いますね。聴く人がいないと曲なんて絶対できへんし、レコーディングする時もライブでのお客さんの顔がパッと浮かぶし。それはシーソーみたいなもので、振り子みたいなもので、お互いがすごく影響しあってますよ。どっちが優先でもなく。

──コブクロの歌がこれだけ支持されているのは、時代を超えた普遍性があることも大きいと思うんですよね。時代の流れを見つつも、そこに左右されない普遍的な歌、メロディ、言葉がしっかりあるというか。

小渕:単純な話なんですけど…僕、映画を観るなら、最後にほっこりするか、ニコニコ笑ってるか、そういう映画なら観に行きたいと思うんですけど、ハナから「これは悲しい話だよな」という映画を観たことがないんですよ。途中で泣くシーンもあるし、心が破れそうなくらい悲しいシーンもあるけど、観終わった最後の気持ちはそうでありたいという、僕はそっちが好きなんです。それは音楽と似てるかもしれない。コブクロが普遍的だというのは、映画を観終わった時に楽しい気持ちになんかなりたくない、という人だらけだったら普遍的にはならないと思うし、まぁ半分の人は最後に笑っていたいというか、小さな光でもいいから感じて終わりたいと思っている。そう思う僕がここに一人いるということは、ほかにもまだいるはずだと思うんですよね。

黒田:100万人はいるね。

小渕:(笑)それをいろんな歌で求めていく、ただそれだけです。頑張ってほしいと思う人に「頑張って。一人じゃないよ」と言わないで、全然違う物語を歌うことで「頑張ろう」と感じてくれたらいいなと思います。たとえば「Blue Bird」は、“青い鳥は空にまぎれて見えない”という物語を歌っているだけだけど、これを聴いて「頑張ろうかな」と思ってもらえる、その伝わり方が大事なんですよね。いろんなところに隠されている世の中の鏡みたいな、小さなおとぎ話を見つけるのが僕は好きなんです。そういう小さなおとぎ話は、足元の低いところに隠れていて、みんなが見上げる空にはもうないんですね。最後に見上げるのは空でいいんですけど、身の周りにある小さな出来事をかき集めて、最後に歌が終わって空を見上げる。それが僕は単純に大好きなんです。

──最後の質問です。いつか『ALL SINGLES BEST 3』を出すコブクロがいるとすると、どんなアーティストになっていてほしいですか。

小渕:難しいな、なんだろう…。

黒田:コブクロはずっと突き詰めていたというか、何の裏付けもないことに必死に確証を得ようとしてガムシャラに走ってきたところがあるので。今聴くとすごい緊張感があって、「頑張ってたな」と自分自身ですごく思うんですけど、『ALL SINGLES BEST 3』の時はもうちょっと楽しんで、ゆるいグルーヴの、リビングルームでふわっとかかっていてさりげなく聴ける曲もあったらいいなと思いますね。

小渕:車で聴いてちょうどいい音楽をやっとできるようになったんですね、とか。それはまだ、今の僕は無理なんですよ。そういう曲もあるんですけど、いざベストを作ってみると、自分のものなのに背筋を伸ばしながら聴いてしまうところがある。

黒田:マジメなんだな、オレら。「車は速くなくてはいけない。コーナーを曲がるんだったらギリギリまでアクセル踏まないと」という固定概念がある(笑)。じゃなくて、普通のセダンを軽く運転するような車になっていたらいいかなと思いますね。たとえるなら。

小渕:今はまだシチュエーションを選ぶんですね、自分でも。でもその頃には、どこでかかっていても楽しめるような音楽をやれてたらいいなと思いますね。

取材・文:宮本英夫
スタイリング:大村鉄也(Commune)
ヘアメイク:中村章浩(Abbey)
撮影:BARKS編集部

『ALL SINGLES BEST 2』
2012年9月5日(水)発売
初回限定盤A
WPZL-30438/40 ¥4,500(Tax in)
2CD(全21曲収録)+DVD(全27曲収録予定のMusic Video集)
※DVD収録楽曲:YELL~エール~/轍~わだち~/YOU/風/願いの詩/雪の降らない街/宝島/blue blue/DOOR/永遠にともに/Million Films/ここにしか咲かない花/桜/君という名の翼/未来への帰り道/蕾(つぼみ)/蒼く 優しく/時の足音/赤い糸/ベテルギウス/虹/STAY/流星/Blue Bird/あの太陽が、この世界を照らし続けるように。/WINDING ROAD(絢香×コブクロ) /あなたと(絢香×コブクロ)
特典
シリアルコード封入で下記どちらかの応募抽選あり。
・2012年9月9日(日)大阪万博公園東の広場で開催されるフリーライブ<FAN'S MADE LIVE>へペアで100組200名様を招待。
・『ALL SINGLES BEST 2』スペシャル・アナログ盤を100名様にプレゼント
※フリーライブ<FAN'S MADE LIVE>へご入場の際は、フリーライブ参加料(自然文化園入園料+施設利用料)として別途¥1,000円(税込)が必要。

初回限定盤B(セブン&アイ限定盤)
WPCL-11208/11 ¥4,500(Tax in)
2CD(全21曲収録予定)+2ライブCD
※この商品の販売は、全国のセブン-イレブン店頭およびWEB サイト「セブンネットショッピング」限定。
ライブCD 収録楽曲
DISC1
1.君という名の翼(from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
2.あなたへと続く道(from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
3.ここにしか咲かない花(from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
4.毎朝、ボクの横にいて。-Sweet drip mix-(from 2004.12.26 大阪城ホール)
5.Million Films(from 2008.6.5 大阪城ホール)
6.永遠にともに(from 2008.9.6 和歌山県 紀三井寺運動公園 陸上競技場)
7.blue blue(from 2003.12.30 大阪城ホール)
8.宝島(from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
9.雪の降らない街(from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
10.願いの詩(from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
DISC2
1.風(from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
2.YOU (from 2003.4.27 渋谷公会堂)
3.miss you (from 2003.4.27 渋谷公会堂)
4.YELL~エール~ (from 2008.9.6 和歌山県 紀三井寺運動公園 陸上競技場)
5.Bell (from 2009.3.22 和歌山ビッグホエール)
6.轍 (from 2008.6.5 大阪城ホール)
7.DOOR (from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
8.太陽 (from 2003.4.27 渋谷公会堂)
9.桜 (from 2008.6.5 大阪城ホール)
10.未来への帰り道 (from 2006.12.3 名古屋レインボーホール)
特典
シリアルコード封入で下記どちらかの応募抽選あり。
・2012年9月9日(日)大阪万博公園 東の広場で開催されるフリーライブ<FAN'S MADE LIVE>へペアで100組200名様を招待
・『ALL SINGLES BEST 2』スペシャル・アナログ盤を100名様にプレゼント
【セブン&アイAコース】
フリーライブ<FAN'S MADE LIVE>に350組700名様招待(セブン&アイ特別枠)
※フリーライブ<FAN'S MADE LIVE>へご入場の際は、フリーライブ参加料(自然文化園入園料+施設利用料)として別途¥1,000円(税込)が必要。
【セブン&アイBコース】
コブクロ直筆サイン入りオリジナルTシャツを抽選で20名様にプレゼント
【セブン&アイCコース】
コブクロ直筆サイン入りオリジナルタオルを抽選で20名様にプレゼント

通常盤 WPCL-11212/13 ¥3,300-(Tax in)
2CD
特典
シリアルコード封入で下記どちらかの応募抽選あり。
・2012年9月9日(日)大阪万博公園東の広場で開催されるフリーライブ<FAN'S MADE LIVE>へペアで100組200名様を招待。
・『ALL SINGLES BEST 2』スペシャル・アナログ盤を100名様にプレゼント
※フリーライブ<FAN'S MADE LIVE>へご入場の際は、フリーライブ参加料(自然文化園入園料+施設利用料)として別途¥1,000円(税込)が必要。

「ALL SINGLES BEST 2」CD収録楽曲:
DISC1
1.「蕾つぼみ」 ※フジテレビ系月曜夜9 時連続ドラマ「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」主題歌
2.「風見鶏」 ※Benesse 進研ゼミ高校講座 CM ソング
3.「蒼く優しく」 ※日本テレビ系土曜ドラマ「ドリーム☆アゲイン」主題歌
4.「時の足音」 ※日本テレビ系火曜ドラマ よる10 時「オー!マイ・ガール!!」主題歌
5.「赤い糸」 ※NISSAY CM ソング
6.「ベテルギウス」 ※日産CUBE CM ソング
7.「虹」 ※JAL×コブクロ コラボレーションソング
※全国民放53 局「MEET THE MUSIC」フィーチャリングソング
8.「Summer rain」 ※TV 東京系アニメ「クロスゲーム」オープニングテーマ
9.「STAY」 ※TBS 系ドラマ 日曜劇場「官僚たちの夏」主題歌
10.「WINDING ROAD」(絢香×コブクロ) ※日産CUBE CM ソング
11.「あなたと」(絢香×コブクロ) ※日産CUBE CM ソング
DISC2
1.「流星」 ※フジテレビ系月曜9 時連続ドラマ「流れ星」主題歌
2.「Blue Bird」 ※「バクマン。」オープニングテーマ
3.「君への主題歌」 ※2010「冬の東京タワー」CM イメージソング
※フジテレビ「めざましテレビ」第2 回ロープジャンプ小学生No.1 決定戦テーマソング
4.「あの太陽が、この世界を照らし続けるように。」 ※映画「岳-ガク-」主題歌
5.「シルエット」 ※H.I.S. TV-CM ソング
6.「蜜蜂」 ※NTT 西日本・企業広告 TV-CM
7.「焚き火の様な歌」/ New recording
8.「ココロの羽」 / New recording
9.「太陽のメロディー」(今井美樹×小渕健太郎with 布袋寅泰+黒田俊介)
10.「交響曲第5296 番」/ New recording

コブクロフリーライブ<FAN’S MADE LIVE>
@大阪・万博記念公園 東の広場
当日はファンサイト会員の限定エリアを設けておりますが、一般の方もご入場いただけます。なお、ご入場の際は、フリーライブ参加料(自然文 化園入園料+施設利用料)としてお1 人様1,000 円(税込)をお支払いただきます。
2012 年9 月9 日(日)13:00 開場/15:00 開演(予定) *16:30 終演予定
会場:大阪万博記念公園 東の広場
収容人数:約5万人
注意事項:フリーライブ参加料(自然文化園入園料+施設利用料)として1,000 円(税込)が必要となります。
[問]キョードーインフォメーション tel:06-7732-8888
※雨天決行、荒天中止

◆コブクロ・オフィシャルサイト
◆初回限定盤B(セブン&アイ限定盤)セブンネットショッピングで購入
◆初回限定盤B(セブン&アイ限定盤)セブン‐イレブンで購入
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