なんと、ステージ上が全員“ももち”。ハロプロ15周年記念夏公演< ~Wkwk(ワクワク) 夏のFAN祭り!~>

ポスト

長い歴史の中で、各メンバーの強烈なパーソナリティが共存し、それがグループとしての魅力だった時代もあったモーニング娘。。しかし、道重さゆみリーダー体制に変わってからは、特に個人よりグループとしての個性がマグマのように全面へと沸き上がってきた感がある。そして彼女たちのグループとしての個性とは、たとえば「One・two・three」でのライブパフォーマンスで放出される、ハードでクールなエネルギーのようなもの。努力や全力といったものとは次元の違う何か。熱い気持ちをストレートに熱く伝えることは、全力で努力すれば素人でもできるが、内に秘めた煮えたぎるような熱い魂をいかにクールに伝えられるか、となると、また別の何かが必要だろう。そんな、決して誰もが個人では一朝一夕でできるわけではない、プロフェッショナルな意識であり、パフォーマンスであり、オーラのようなもの。それが、彼女たちのステージからは全方位に放出されていた。

Berryz工房は、これぞ“一度聴いたら忘れられない”超ハッピーチューンな「cha cha SING」を披露。この日、清水佐紀が体調不良のために残念ながら公演を欠席したが、そこは芸能界デビュー10周年のキャリアを持つBerryz工房の各メンバー。キャプテンのいない穴は雅ちゃんと菅谷梨沙子を中心に全員でフォローして、見事に会場を“ちゃーちゃらっちゃーちゃちゃららー♪”のお祭り騒ぎにしてしまっていた。

そして℃-ute。いくつかのアイドルイベントへ出演したことによって、あらためて外部のアイドルグループとは比べ物にならないハイレベルのパフォーマンスを備えていることを見せつけた彼女たち。夏の公演に合わせて初公開された新曲「会いたい 会いたい 会いたいな」は、前作「君は自転車 私は電車で帰宅」のような聴かせる曲と思いきや、ダンス&ボーカルグループ・℃-ute
の本領発揮ともいえる、アッパーな楽曲。モーニング娘。やBerryz工房とも違う、℃-uteだからこそ出せるセクシーかつ迫力のダンスと歌声で、オーディエンスの視線を釘付けにした。

スマイレージは、グループ名の由来にもなっている“笑顔”を封印した「好きよ、純情反抗期。」を披露。様々な出会いと別れ、苦楽を経験してメジャーデビュー3年目に突入した彼女たちは、いまや立派にハロー!プロジェクトの一翼を担うグループであることをあらためて確認させる、そんな堂々たるステージだった。

客席後方にいた人は“その変化”に気づいたかもしれない、真野恵里菜のステージ。2013年2月に行なわれるコンサートを持って、ハロー!プロジェクトを卒業することが発表されている彼女が登場すると、それまで客席で振られていた色とりどりのサイリウム(ファンひとりひとりが自分の“推しメン”のカラーを持参している)の比率に変化が起きた。一気に赤色の比率が高くなったのだ。

赤は、真野恵里菜のメンバーカラー。2006年にハロプロエッグの2期メンバーとして加入し、その後頭角を現し、松浦亜弥と入れ替わるように2009年からハロー!プロジェクトのメンバーとしてソロデビュー。明らかに増えた赤のサイリウムは、これまでハロー!支えてくれた彼女に対する、他グループのファンからの感謝の気持ちの表れだったのかもしれない。そんな客席の赤に対比するかのように、鮮やかなブルーのドレスに身を包んだ真野恵里菜は、ファンと自分の関係性を歌ったとも解釈できる「Song for the DATE」を熱唱した。

「新曲衣装がホントに可愛い!」と、7月の<きっかフェス>前からひとりで大興奮していた吉川友は、今回の公演にゲスト出演。9月26日リリースの新曲「ダーリンとマドンナ」をビビットな新曲衣装とともに披露する。ハロプロエッグ時代の彼女を各種ハロー!のコンサートやイベント、ミュージックビデオなどで観ていた人にとっては、独り立ちしてハロー!プロジェクトとはまた違った路線で活躍する彼女の姿は新鮮に映ったことだろう。

新鮮といえば、<~Wkwk(ワクワク) 夏のFAN祭り!~>公演で初披露されたDIY♡は特筆しなければならない新ユニットだろう。Berryz工房の徳永千奈美と夏焼雅、℃-uteの矢島舞美と中島早貴、モーニング娘。の飯窪春菜からなるこのユニットは、先に公開されていたアーティストビジュアルを見るからに、健康的なセクシーさが全開。初披露の「フォレフォレ(Forest For Rest)」は、“Dance In Yourheart”というグループコンセプトが示す通りのダンスナンバーで、雅ちゃんはじめ、メンバーがへそ出しホットパンツ姿でステージを彩る様は、ハロー!プロジェクトとオトナの女のかっこ良さ、セクシーさの新しい融合の形。これは今後の活動を期待せずにはいられなくなったはずだ。

<~Wkwk(ワクワク) 夏のFAN祭り!~>では、さらに出演メンバーをシャッフルしての歌唱や、全12曲を立て続けに披露したメドレーコーナーなどでオーディエンスを楽しませる。

一方、トークでもしっかりと盛り上がりをみせる。夏休みの宿題をやらないといけないという田村芽実(スマイレージ)に対して、道重さゆみが「夏休みってさ、日記とかも宿題にあるの? ちゃんとやってる? 今日のことはなんて書くの?」と訊ねたところ、田村が「“みんなで花火に行きました”って。」と、発言。コンサートのことを書くと思っていた全員の予想の上を行くコメントで、ステージはいきなり“スマイレージ・クオリティの”大混乱だ。また、ももちからコンサートの感想を振られた℃-uteの岡井千聖は、「今回各グループの新曲が全部好きで、あーこれ“Ktkr(キタコレ)”って思って聴いてますね!」と、ドヤ顔でコメントしたところ、ももちから、「ちょっと待って。今これ、“Wkwk(ワクワク)”ね。Ktkrは次の夜の回。」と、的確なツッコミ。<~Ktkr(キタコレ)夏のFAN祭り!~>と<~Wkwk(ワクワク) 夏のFAN祭り!~>とを素で間違えてしまった岡井は、「ちゃ、ちゃんと“Wkwk(ワクワク)”してますよ!」と、取り繕ってはみたものの、今度はももちが“Ktkr”と言わんばかりに「ちゃんと謝って(コーナーを)締めましょうか。」と、岡井の「許してにゃん♡」を引き出す一幕もあった。
この記事をポスト

この記事の関連情報