真夏の逗子海岸をグッドヴァイヴスで満たした!後藤拓(Freeasy Beats)・CHAN-MIKA・Rickie-Gライヴ

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2012年の夏も残りわずか。夏の音楽イベントと言えば<FUJI ROCK FESTIVAL>や<SUMMER SONIC>など大型のフェスだけではない。夏を象徴するレジャースポット、海辺でも夜ごと音楽イベントが開催されている。その昔、プレハブ製のひなびた海の家は、いまやオシャレなカフェテリアのように様変わり。海沿いのドライヴコースとしても人気の国道134号線沿いには、ライヴができる設備のある海の家もどんどん増えている。特に“浜のライヴハウス”として全国的に知られているのが、逗子海岸にある音霊OTODAMA SEA STUDIOだが、そこに限らず、夏の逗子海岸にはグッドミュージックが溢れている。

8月11日(土)、その音霊の数件先のビーチハウス・Surfersで、Love&Peaceな海辺のイベントが行われた。Surfersのコンセプトは“夏の海を目一杯楽しむ”。この日は、そのコンセプトにピッタリのアーティスト3名、後藤拓(Freeasy Beats)、CHAN-MIKA、Rickie-Gが揃った。ちなみにこの3組、Surfersのライヴでは毎年お馴染みの顔ぶれ。友人同士でもある。

Surfersに自然光が差し込む、まだ明るい夕方。トップバッターとして登場したのはFreeasy Beatsの後藤拓。“一曲目、聴いてください『A MOOD』”。

彼の甘やかな歌声を際立たせるギターとキーボードというミニマムな編成で、一気にSurfersをリラクシングなムードに包み込む。本来ならば、彼はFreeasy Beatsの一員として、兄の後藤綾とツインヴォーカルでハーモニーを奏でている。現在は制作中のため、Freeasy Beastはライヴ活動を控えているが、“やっぱ、歌唄いてぇ!”と、今回はソロでの参加。彼がリスペクトするguyのカバー「Let’s Chill」や、東日本大震災をきっかけに生まれた「手をつなごう」。「大切な人間に送った曲」と、年子で双子のように育った兄・綾のために作った「ありのまま」など、暮れなずむまったりした浜辺にピッタリのミディアム~スローなナンバーが続く。

“せっかく海でやるし、誰もが知ってるような曲をやりたかった”と披露した、サザンオールスターズのカバー「真夏の果実」では、オーディエンスが一緒に唄う場面も。一体感も高まりグッドヴァイブスが漂うなか、ラストナンバーの「虹」では、Rickie-Gバンドのパーカッション・PANPANPANが飛び入り参加。そこに客席の手拍子も加わり最強のリズム隊を味方につけ1コーラス歌い上げた拓が、“兄ちゃん来いよ! 俺らはFreeasy Beastだろ?”と、お客さんとしてライヴを観に来ていた兄の綾をステージに呼び込み、急遽、参加。兄弟ならではの息の合ったハーモニーを奏でると、客席からの歓声がひときわ大きくSurfersに響いた。

後藤拓のライヴ終了直後、ライヴの感想を聞いた。

「超気持ち良かった。海に来た人たちが“おかえり!”って言ってくれて、“ただいま!”って感じになれた。俺はソロではないし、あくまでFreeasy Beatsありきなんだけど、Freeasy Beats的には、今、制作期間だし、活動を押さえている状況。でも、ライヴをやるってミュージシャンにとって大事だね。じゃないと、どこにも吐き出せる場所がなくて溜まっちゃうから。続けて行かなきゃいけないなと思ったし、今日のライヴはFreeasy Beatsに持ち帰れる気がする」

ライヴの転換中は、HOMERUN SOUDのDJタイム。まだ陽は暮れていないが、Surfersのフロアは週末のクラブのような人いきれ。

陽もずいぶん傾き、潮風が浜辺を吹き抜けるようになった頃、CHAN-MIKAが登場。

“無事、8月8日に1stアルバムを出せることになりまして”と一曲目はそのアルバムの中から「一つの星」。CHAN-MIKAは、レゲエ、ソウル、ヒップホップシーンの有名アーティスト達からヴォーカリストとしての素質を見出され、フューチャリングやコーラスとして参加してきた経歴を持つ。Rickie-Gバンドや鎮座DOPENESS&DOPING BANDでもお馴染みの女性シンガーだ。以前、別のイベントで彼女の歌声を初めて聴いた時、この「一つの星」では思わず涙をこぼした。「♪笑って 笑って あなたの笑顔が好き」初めて聴くのに、どこか懐かしい歌声だった。少し土臭い低音のハスキーヴォイスは、ミネラルたっぷりで優しく心を潤してくれるよう。波音の近くで聴く、この日の「一つの星」は、さらにオーガニックな空気感でその場を満たした。

MCでは即興で節をつけて、友達がフラれたエピソードを唄うようにしゃべる。そんな友達を励ますかのようなハッピーソング「ヤッホー」でその場の全員が笑顔に。メランコリックなナンバー「恋のぼりん」ではCHAN-MIKAの1stアルバム『SIDE 2 SIDE』にも参加したベーシストの小林眞樹がゲストで登場し、グルーヴもさらに強固に。波の音がしっくりくるピースフルな「HAVING FUN」に続いて、ラストは「TIME SURFER」。昂揚感が充満するなか、ヘッドライナーのRickie-Gにバトンを渡した。

「Say! リッキー!」

CHAN-MIKAとオーディエンスの呼び込みで登場したRickie-G。ステージに上がるや否や、その場の空気が一気にCHAN-MIKA色からリッキーカラーに染まる。CHAN-MIKAとの掛け合いも絶妙の呼吸。瞬く間にフロアのテンションをマックスに上げて、“もう酸欠になりそうっす! 今日はアコースティックな感じで”と、「No Peace No Life」へと繋いでいく。場内全員が手拍子をしながら大声で唄うと、曲に溢れているメッセージの通りのピースフルな空気に包まれた。疾走感たっぷりの「Revelution」で盛り上がりはさらに加速。

「いや、マジ最高っす!アカペラ聴く?」

指笛や歓声にせがまれ、喉の調子も上々のRickie-Gが予定になかった「Everybody Needs Love and Harmony」をアカペラで唄い始めると、オーディエンスもそれに合わせ、再び大合唱がはじまる。こうして熱く盛り上がったと思えば、「134」「On the Bridge」では、蒸し暑さがサーッと引いていくような涼し気な歌声と演奏を聴かせる。

「2012年、夏はどうっすか? 最高っすか? みんなにとっても夏とか、良い思い出がずーっと続きますように。この歌に込めて」

「逃飛行」からラストにかけては、また大合唱で会場が満たされる。ゆったり和んだり、手を叩きながら一緒に唄って参加したりのメリハリの効いたセットリスト。ライヴを観に来ているというよりも、Rickieの家のホームパーティーに来ているような感覚になる。そこにいるすべての人が昔から知っている人のような、フレンドリーでアットホームな空間。

「ちょっとだけでいいからずっと好きでいてください」と、最後はしっとりとした「Born again」をみんなで唄う。すべての演奏が終わっても、もっと見たい、一緒に唄いたいというオーディエンスの「気」がそこらじゅうに残り、Surfersを後にしてもライヴの余韻がしばらく続いていた。

三者三様の盛り上がりを見せたSurfersの夜。都会のライヴハウスでも彼らの音楽は魂を開放させてくれるが、すぐ隣は海辺という自然を感じられる環境が、さらに心を裸にしてくれる。昼間は海水浴を楽しみ、水着のままライヴを観る。普段よりもリラックスした状態で、素の心になっているからこそ、音楽が持っている癒しのパワーをより強く感じられた。今年の夏はもうすぐ終わってしまうが、また来年、機会があれば、ぜひ海の家でのライヴを楽しんでみてほしい。きっとまた、この3アーティストたちがSurfersで迎えてくれることだろう。

取材・文/大橋美貴子  写真/由楽

2012年8月11日(土) @逗子海岸Surfers Set List

後藤拓(Freeasy Beats)
1.A MOOD
2.Let's Chill (カヴァー)
3.手をつなごう
4.ありのまま
5.真夏の果実 (カヴァー)
6.虹

CHAN-MIKA
1.一つの星
2.ヤッホー
3.マチマチ
4.STAY STRONG
5.恋のぼりん
6.HAVING FUN
7.TIME SURFER

Rickie-G
1.No Peace No Life
2.Revelution
3.No rain
4.134
5.On the Bridge
6.逃飛行
7.CREATORS' LOUNGE
8.ラブソウル
9.Born again
EN1.am08:59
EN2.Life is Wonderful
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