重いテーマを音楽が中和する、“本能が音楽に付き添う”映画『わたしたちの宣戦布告』

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フランス映画『わたしたちの宣戦布告』が、9月15日(土)渋谷Bunakmuraル・シネマを皮切りに全国順次公開される。本作は回復率10%の難病を患った息子を支え、闘うカップルの愛を描いたもので、監督・主演のヴァレリー・ドンゼッリとそのパートナーで主演のジェレミー・エルカイムの間に実際に起こった実話を映画化、低予算のインディー映画ながらフランス国内で大ヒット、評判が評判を呼び、アカデミー賞フランス代表に選出された作品だ。

◆映画『わたしたちの宣戦布告』予告編映像

「実話の闘病もの」ではあるものの、映画のトーンは終始パワフルでポップであり、息子の難病が発覚する場面で両親が突然歌いだす、“本能が音楽に付き添う”ような作品なのだ。

「フィジカルな、ジェスチャーみたいな映画にしたいと思っていたので、ひとつひとつのシーンにおいて音楽がどう働くか、を考えました。本能に音楽が付き添う感じを目指しました」とジェレミーが語るように、ロック、クラシック、映画音楽、エレクトロなど、ジャンルや新旧を織り交ぜた音楽は、観る者の感情や時間感覚を増幅したり圧縮したりする。

「最愛なる我が子のガンとの闘いという、とてもヘヴィなテーマなのに、見終わった後の清々しさや、クスッとしてしまう楽しさは一体何だろう!60年代のゴダール、70年代のトリュフォー、80年代のロメール、90年代のカラックス、00年代のオゾンらと全く同じ感触。ニューウェイヴ“オブ”ニューウェイヴな、フランス映画の新しい名作が誕生!」──カジヒデキ

「かつて、こんなにポップでスタイリッシュな闘病映画があったろうか?!音楽の入り方といい、走り抜けるテンポといい、カメラワークといい、演出といい、そして何より編集がウマイ!と唸らざるをえない。子供の難病なんて、重くて触手をのばすのをためらう題材だというのに、鑑賞後感が爽やかさと感動に満ちていた…拍手!」──D[di:]

トリュフォーの音楽で有名なジョルジュ・ドルリュー、エンニオ・モリコーネなどの映画音楽、クラシック、フレンチエレクトロなどを効果的に配し、映画の非常に重要なシーンでは、ルー・リードのパートナーで現代アーティストのローリー・アンダーソンによる「O superman」が使用されている。また、とんでもなく重く、悲しい場面で主演のふたりが、突然ミュージカル映画のように歌いだしたり…と、斬新な音楽の使い方が面白い。

映画公開を記念し、本作のサントラも発売となっているので、是非こちらにもご注目を。


『わたしたちの宣戦布告』サウンドトラック(フランス盤)
輸入盤発売中¥2800
1.Blind / FRUSTRATION
2.Radioscopie / GEORGE DELERUE
3.Menuet and Badinerie - Orchestral Suite No. 2 in B Minor,BWV 1067 / JAMES GALWAY & I SOLISTI DI ZAGREB
4.Cantate Cessate,Omai Cessate / ANDREA SCHOLL,CHIARA BANCHINI & ENSEMBLE 415
5.La fac de lettres / JACQUELINE TAIEB
6.Ton grain biaute / VARERIE DONZELLI & JEREMIE ELKAIM
7.Break Ya / YUKSEK
8.L'hiver des 4 saisons / YEHUDI MENUHIN,CAMERATA LYSY GSTAAD & ALBERTO LYSY
9.Manha De Carnival / THE CITY OF PRAGUE PHIILHERMONIC ORCHESTRA
10.La Cosa Buffa / ENNIO MORRICONE
11.Si tu reviens chez moi / 5 GENTLEMEN
12.Eje Mater,Fons Amoris / ANDREAS SCHOLL,CHIARA BANCHINI & ENSENBLE 415
13.Je ne peux plus dire je t'aime / ALICE GASTAUT & ADRIEN ANTOINE
14.La vie parisienne / MICHEL PLASSON
15.Une vie de Papa / SEBASTIEN TELLER
16.O superman / LAURIE ANDERSON
17.The Bell Tolls Five / PETER VON POEHL
18.Rectangle / JACNO
19.Ton grain biaute / VARERIE DONZELLI & BENJAMIN BIOLAY ※BONUS TRACK

映画『わたしたちの宣戦布告』
出会った瞬間から運命の恋人ロメオとジュリエット。息子アダムが誕生し、家族三人の幸せな生活が始まったが、アダムの様子がおかしいことに気づく。病院での診察の結果、アダムは小児ガンに侵されていることが発覚する。回復の可能性は10%…思いもよらぬ困難に打ちのめされるふたり。しかし、二人はお互いに励まし、助け合いながら、息子の病魔と闘って行く。監督・主演のヴァレリー・ドンゼッリに起こった実話を基に作られたポップでパワフルな感動作。
監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
出演:ヴァレリー・ドンゼッリ、ジェレミー・エルカイム、セザール・デセックス(アダム18ヶ月)、ガブリエル・エルカイム(アダム8歳)
2011年/フランス/100分/HD/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル
9月15日(土)渋谷・Bunkamuraル・シネマ、大阪・シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開
http://www.uplink.co.jp/sensenfukoku/
◆『わたしたちの宣戦布告』サウンドトラック販売サイト
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