柴田淳【インタビュー】『COVER 70's』メロディの濃さや強さが圧倒的なので、こういう曲作りたいんだよなぁと憧れながら唄いました

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昨年、デビュー10周年を迎えた柴田淳が11年目のデビュー記念日である10月31日に久々にリリースする新作は、70年代のヒット曲をカバーした『COVER 70's』。彼女が幼い頃、母と一緒に唄っていた曲ばかりを集めたこの作品。原曲へのリスペクトと共に、シンガー柴田淳のポテンシャルもいかんなく詰め込まれた名盤だ。まるでオリジナル曲のようなナチュラルな歌声は、懐かしさだけではなくフレッシュな聞き心地で心に染み入る。

◆柴田淳【インタビュー】『COVER 70's』~拡大画像~

――新作『COVER 70's』は、11年目のデビュー記念日にリリースされるんですね。

柴田淳(以下、柴田):はい。10年やって、ほんのちょっとでも柴田淳っていう世界が確立されているのであれば、コンスタントに出すというよりも、1曲1曲が大事になってくるのかなぁって。クオリティをおざなりにできないというか。もちろん、今までもそれはしていないですけど、さらにクオリティの高さでブランドになっていくのかなって。ブランドって信用じゃないですか。大量生産の安物よりも、たまにしか出ないけど絶対にハズレがないっていうほうがカッコいいと思うんですよね。クオリティの確かな、そういうブランドになっていきたいですね。10年やってこれたのであれば、次からは本当に本腰入れてやっていかないと。だから、今回のカバーアルバム『COVER 70's』で色んな人にインタビューを受けていても、喋れば喋るほど感じてくるのはプレッシャー(笑)。

――すごく良い作品ができてしまいましたしね。

柴田:ありがとうございます。この作品、前の作品から間が空いちゃってて、「制作ってどうやるんだっけ?」っていうところから始めたんですよ。しかも、カバーアルバムだから自分で曲を作ってないのに、感覚的には一枚アルバムを作り上げたような気分になるくらい夢中になって歌ったので、今すでに次の作品作りを初めていなきゃいけないのに全然やる気がおきません(笑)。

――今作は70年代のヒット曲ばかりですね。

柴田:私の中ではヒット曲を唄ったという感じはなく、小さいときから慣れ親しんできたものを集めたっていう、ただそれだけで選んだものなんですよ。でも、この70年代という時代を生きた人たちからしてみたら、ヒット曲ばかりなわけですよね。だから、「この曲に手をつけるなんて、いい度胸してるな」って思われてるかもしれない。実際は私は無知でそれを知らないからできたことなんですけどね。

――知らないからこそ飛べたんですね。

柴田:まったくその通り。私が唄ったものと比べるお手本がもうすでにあるわけじゃないですか。若いうちは融通が利かないから、それを越えなきゃいけないとか、オリジナルを聴きたくなるようなカバーアルバムを作っちゃいけないってすごい思ってたんです。「オリジナルはもっと良いんだよね」なんて言われたら、それこそ「下手糞です」の宣伝になっちゃうから。だけど10年やってきて、自分なりの表現方法っていうのを、小さなお城であっても山であっても、ほんのちょっとでも築き上げて来たのなら、そのお城や山を使って消化して、表現できる時期がようやく来たのかなって。今までカバーをやってほしいというお話は何度かいただいていましたが、そうやって自分の表現ができるようになったから、カバーの作品を「今」作ることができたのかなと思います。

――柴田さんのオリジナルかっていうくらいナチュラルですよね。

柴田:ホントですか!? 自分のオリジナル曲って、レコーディングの前日とかに歌詞ができることもあって、まだまだ自分のものになっていなかったりするんですよね。ツアーで唄いながら消化していったりとか、消化しきれないままコンサートでも唄わず、過去の曲になっていってる曲もたくさんあって。それに比べると、これは他人の曲ではあるけれど、ずっと唄ってるから。自分のものになってるというか、本当に自分のタイム感で唄えた。……自分のものになってるというのはおこがましいかなぁ……染み付いちゃってた。

――でも曲ってリリースされたら、聴いた人のものですから、その感覚ですよね。

柴田:ですね。自分のオリジナルになるとすごく神経質に作るので。だからできたあとに聴くと神経質になるし、疲れちゃうんですよ。ファンの人にも断言しているんですけど、「私は作るのが仕事、ファンは聴くのが仕事。だからよろしくね! 私は聴けない」って言っちゃうんです。そういう感じだから、作ったあとも聴けないんです。でも今作はオリジナルでは出て来ないメロディラインだったりグルーヴ感だったりするので、今までずっと柴田淳を聴いてきたのに、こういう唄い方の柴田淳もあるのかって、皆さんの知らない柴田淳もたくさん入っている気がするんです。だから、今まで柴田淳を聴いてた人も楽しめると思います。あとは本当にオリジナルを無視して、幼少の頃から唄ってきた唄い方で、あたかも自分の歌のように自信満々で唄ってる、そういうところもあるので(笑)、色んな意味で楽しめると思うんです。

――カバーをやるなら、柴田さんの中では子供の頃唄った曲がマストだったんですね。

柴田:唄いたい曲って言ったら、やっぱりこれが出て来ちゃったんです。最近の曲は知らないんですよ。あとこれはレコーディングの歌入れのときの話なんですが、今まで10年、こだわっていたマイクがあったんですが、試しに違うマイクで歌ってみたらすごく歌いやすくて。今までそのマイクにこだわって10年やってきたのに、その10年返してって言うくらい良かったんですよ。本来の自分の良かれと思っている唄い方が出せて、さらに小さいときから唄っている歌だから「こういう風に唄いたい」ってうのが、すごいやりやすかったんです。だから、こだわってた割には環境が整ってなくて苦しんで唄っちゃったりしていたのがある中で、今回のは肩に力が入らずサラッと唄えたんです。それが音源に現れてて。楽しんで気持ち良く唄えたものって聴いてても気持ちが良くて。それで初めて、自分で唄った歌を何回も聴けた。

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