【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実 Vol.2「ジュリアン・レノンもゲスト参加した「ラヴXXX」と、謎のナレーションが意味するもの」

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連載第2回にあたる今回からは、最新アルバムに収録されているすべての楽曲について、トム・ハミルトン自身の言葉で解説してもらうことにする。この『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』の1曲目に収録されているのは、「ラヴXXX」と題された楽曲。しかしその前に、“あなたの現実認識に問題が起きたわけではありません……”という言葉から始まるミステリアスなナレーションが収められている。まずはこれについて確かめてみよう。

「あれはプロデューサーのジャック・ダグラスによるものなんだ。ジャック自身のアイデアだったと思うな。僕たちが子供の頃、『アウター・リミッツ』というテレビ番組があってね。当時は、いわゆるエイリアンものが流行りだったんだよ。『トワイライト・ゾーン』も当時の大ヒット・シリーズで、未知の世界が描かれていたよね。で、その『アウター・リミッツ』の冒頭では、アナウンサーが登場して、“これはテレビの故障ではない。我々は諸君のテレビ・セットを制圧した。垂直線も水平線も見せられるのだ”みたいなことを言うんだよ。正直に言えば、僕らとしてはここでその本物のナレーションを使いたかったんだけど、そうなってくると莫大な金額を要求されることになるのがわかってね(笑)。それで、ジャックが自分でやったんだ。なかなか笑える出来になったよね」

そしてこのナレーションに導かれながら始まる、肝心の「ラヴXXX」について。これは歌詞を聴けばわかることだが「ラヴ・スリー・タイムズ」と読む。スティーヴンはこの曲のサビで、“1日に3回、愛し合おう”と歌っている。トムによる解説は、以下の通りだ。

「あの曲はジョー・ペリーが最初に考えたものだね。2011年の夏の初めに、彼があのメイン・リフと、コードのベーシックなアイデアを持って来たんだけど、あれはギタリストが弾くにはものすごく難しいリフだと思う。実際、彼がプレイしているのを見て“なんて難しいリフを弾いてるんだ!”と感じさせられたもんだよ。曲自体は、実にエアロスミスらしいロック・ファンクだといえるね。僕らはこういう曲をやるのが大好きなんだ。アンプを全開にして、ファンキーにプレイするのが好きなんだよ」

まさしくトムの言葉通り、誰もが一聴してエアロスミスだとわかるはずのこの曲。バッキング・ヴォーカルでジュリアン・レノンがゲスト参加している事実も見逃せない。ただ、トム自身はあまりその経緯について正確には把握していないようだ。

「その録りの頃、僕は地元のイーストコーストに帰っていたんじゃないかな。今年はL.A.でレコーディングすることが多かったんで、まさに東と西とを幾度も行き来するような感じだったんだ。僕が察するに、僕らが泊まっていたL.A.のホテルにたまたまジュリアンがいて、彼と会ったことのあるスティーヴンが声を掛けて……。実は僕もスティーヴンを通じて彼を紹介されたことがあるんだけどね。きっと今回の場合も、そうやって2人が意気投合しているうちに、そういうことになったんじゃないのかな。正確なところはスティーヴンに訊いてもらわないとわからないよ」

そこで真相を確かめるべくレコード会社の担当者に問い合わせてみたところ、改めてスティーヴンからの回答を要求するまでもなく、次のような答えが得られた。

「L.A.でエアロスミスが常宿にしている有名ホテルがありまして、同じホテルに泊まっていたジュリアンとスティーヴンが偶然にも出くわし、世間話をしているうちにジュリアンの側が“スタジオに遊びに行きたい”と言いだしたそうです。そして後日、実際に彼がスタジオに現れたので、そこで急遽、バッキング・ヴォーカルを録ることになったようですね。参考までにジュリアンは、ジャック・ダグラスとも旧知の関係だそうです」

さらに付け加えておくと、過去、ジャック・ダグラスがジュリアンの作品のプロデュースをしたことはないはずだが、ご存知の通り、彼はジョン・レノンの作品を手掛けてきたことでも知られている。さて、たった1曲にまつわる解説だけでこれほどの情報量になってしまったこのへんで、今回は終了。次回は11月5日更新予定。そしてアルバムはいよいよ11月7日に発売を迎えることになる。どちらもお楽しみに!

取材/文 増田勇一

◆エアロスミス特設チャンネル「 【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実」
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