バロック、新たな歩みへの決意表明<第4現象>とは何だったのか

ポスト

バロックが今年(2012年)から毎回内容を変えて開催している<TOUR バロック現象>。その“第4現象”として11月7日(水)NHKホールでワンマンライブを行なった。

◆バロック 画像

2003年にラスト・インディーズツアー<絶交KAMEN>のファイナル公演を行なった場所、NHKホールに9年ぶりに戻ってきた彼ら。この日は“けじめ”のライブとなった。

今年から、1度解散させたバロックを本格的に再始動。メンバーの一人である万作(B)がツアー直前に失踪するというアクシデントに見舞われて以降も、3人でツアーを続行させてきた。この日、「style」で幕を開けた舞台上にも残念ながら万作の姿はなかった。

今回はバロック現象の中でも会場が初の大ホールということもあって、舞台背面には横長のLEDパネルを設置。曲が始まるとここにタイトルが映し出され、その後から歌詞の一部や様々な映像を使って曲を立体的に見せていくというホールならではの仕掛けをバックにライブは進行。

3曲目に「溢れるは純情」という、いままで目にした事のないタイトルが映し出されると、客席には“新曲が聴ける”という華やいだ雰囲気が広がる。「Nutty a hermit.」までスピーディーに駆け抜けていくキラキラ輝くスタイリッシュな楽曲を連発した後は、「曖昧ドラスチックナンバー」「しゃがれブギー」と懐メロ歌謡テイストな楽曲を続け、ライブのムードをがらっと変える。

万作が失踪して以来、新しく誕生した晃(G)&圭(G)コンビによるアクティヴなパフォーマンスはさらに派手さを増し、この日は2人のポジションチェンジも抜群の出来。晃に至っては、動き以外にトークでも怜(Vo)のMCに絡むなど、3人でもまったくトーンダウンを感じさせない見せ方には驚かされた。

「僕ら、新しい衣装なんですよ」(怜)
「(頭に)角も生えちゃった。俺のだけみんなと形が違うんだけどね」(晃)
という2人のトークで和んだ後に突入した中盤は、バロックの様々な音楽性を打ち出した楽曲がパッケージされていて、この日の一番の見どころとなっていた。

ラッパーではない怜が独特のフロウを聴かせるヒップホップライクな「Cherry King」があったかと思えば、自分たちがいままでやっていなかった正統派ヴィジュアル系ソング「メロウホロウ」のような曲もできる。

「歪」の後、圭が奏でるギターに怜が吐息のようなファルセットのフェイクを重ね、浮遊感たっぷりの空気をホールいっぱいに作り上げた後、ノイジーでどこまでも美しいギター・サウンドで深海へとランデヴーさせてくれる「exit」のディープな音響世界。さらに、この日は新曲「湿度」も初披露し、バロックの多彩な音楽性を浮き彫りにした。

「生きてるうちにみんなと面白い事をたくさんしたいから、よろしくな。これからも。ガキでいような! バカやろうぜ!」という怜のMCから後半は、「我伐道」から観客も一緒に歌い踊り暴れる激しいパートへ。

第3現象でやり続けた「ザザ降り雨」は、いまや強力な盛り上がり曲へと成長。「tight」「独楽」でさらに大暴れした後、本編ラストは「凛然アイデンティティ」でみんなでタオルを回し、笑顔になって終了。

アンコール、再びステージに戻ってきた彼ら。ファンタジックでドリーミーなポップソング「teeny-tiny star」を演奏し終えた後、怜がついに“あの事”について語り始めた。

「毎日何て伝えたらいいか考えてた」

口調が突然重くなった。怜からは、このまま曖昧な形でバロックをやるのはいけないことだと思うから、3人で何度も何度も話し合ったこと。その結果「俺たちバロックはこれからも続けることを決めた」と報告。「だから、みんなもどこかで万ちゃんに会ったら“帰っておいで”って伝えて」と付け加えた。

「でも俺ら“男”ってのはケジメをつけたがるんだ。だから、次の曲は万ちゃんが帰ってくるまでもうやらない」と怜がいって「ila.」を演奏しだすと、バックに流れるミュージックビデオに映った万作を見て泣き出す観客も。

深く深く、何度も頭を下げ、メンバーが挨拶をしてステージを去ったあと、聞こえてきたのはこの日3曲目となる新曲の音。歌詞にメンバーの万作に対する思いが見え隠れして、オーディエンスはさらに目を潤ませる。曲が終わると、スクリーンには「キズナ」というこの新曲のタイトル、さらにはこれが12月12日に発売されることがどこよりも早く伝えられた。

そしてこのライブ終了後、バロックはオフィシャルサイトを通して、12月、翌1月と2ヵ月連続でシングルを発売すること、また、このシングルのタイミングから彼らはメジャーレーベルへ移籍し、それと同時に世界62ヵ国に向けて音源配信がスタートすることを発表。

ケジメをつけた彼らは“バロック現象”をさらに加速させ、2013年に向けてこのままNON STOPで走り続けていく。

取材・文●東條祥恵
写真●河井彩美

<TOURバロック現象 第4現象>
2012.11.07 wed NHKホール
1.style
2.ガリロン
3.溢れるは純情 ※新曲
4.Nutty a hermit.
5.曖昧ドラスチックナンバー
6.しゃがれブギー
7.Cherry King
8.メロウホロウ
9.歪
10.exit
11.湿度 ※新曲
12.モノドラマ
13.我伐道
14.ザザ降り雨
15.tight
16.独楽
17.凛然アイデンティティ
ENCORE
EN-1.唄
EN-2.グラフィックノイズ
EN-3.teeny-tiny star
EN-4.ila.

ワーナーミュージックジャパンより2カ月連続シングルリリース!!
第一弾
2012年12月12日リリース 「キズナ」
(同時に世界62か国にて配信決定)
【初回盤A】(CD+DVD) WPZL-30539/40 ¥1,000(tax in) [CD] 1.キズナ
[DVD]「キズナ」ミュージックビデオ
【初回盤B】(CD+DVD) WPZL-30541/42 ¥1,000(tax in) [CD] 1.キズナ
[DVD]「ザザ降り雨」ミュージックビデオ
【通常盤】(CD) WPCL-11263 ¥500(tax in)
[CD] 1.キズナ

◆バロック オフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・V-ROCKチャンネル「VARKS」
この記事をポスト

この記事の関連情報