【イベントレポート】すかんち、氣志團、女王蜂、黒猫チェルシー、齊藤ジョニー、SMA精鋭陣が豪華競演

ポスト

▲齊藤ジョニー
▲黒猫チェルシー
▲女王蜂
▲氣志團
▲すかんち
多数の人気アーティストを擁するSony Music Artists Inc.(以下SMA)、大型ライヴハウスの“Zepp”を運営する株式会社Zeppライブエンタテインメント、そしてタワーレコードの3社共同企画によるライヴ・イベント<LIVE! TOWER RECORDS 『Zepp!Step!SMA!』>の東京公演が11月14日(水)にZepp DiverCity TOKYOで開催され、豪華出演陣によるセッションも実現するなど大盛況となった。

◆<LIVE! TOWER RECORDS 『Zepp!Step!SMA!』>画像

11月1日(木)の札幌を皮切りに、大阪、名古屋、東京、福岡の全5都市をサーキットする『Zepp!Step!SMA!』。SMA所属のいずれ劣らぬ実力派&個性派が全国の“Zepp”に出演する今回のツアーだが、その4公演目となった東京のステージに登場した面々は、それぞれキャラが立ちまくっている異彩アーティスト揃い。何しろ、「楽屋がカオス状態なんですよね(笑)」とステージで語っていたニューカマー&オープニング・アクトの齊藤ジョニーからして、足元でバスドラムを操り、上半身はギターとバンジョーの二刀使いという他になかなか無いスタイルなのだから。フィドル&ウッドベースのサポート・メンバーとともに、はつらつとしたリズム感と歌声で先輩アーティスト達へバトンを託した。

1曲目「Hey ライダー」からフロアへ「一緒に!」とアオりをかけて、イベント本編にいきなり勢いをつけたのは黒猫チェルシーだ。「面白がってくれたら幸いです。今日はおもいっくそ楽しもうぜ!」(渡辺大知/Vo)。スピード感満点のアッパーチューン「アナグラ」や、最新アルバム『HARENTIC ZOO』からも、ダンスビートもかいま見せながら爽快なメロディを奏でる「恋はPEACH PUNK」などの新曲を披露したこの日のステージ。そのパフォーマンスは、インディーズ時代の作品のタイトル“All de Fashion(オール・ド・ファッション)”ではないが……まさにオールド・ファッション、古き良きロックンロールを現代流の解釈で表現しているかのようにも感じさせる。良い意味で荒削りで、衝動的なサウンド。そして、最近は俳優としても活躍する渡辺の独特な表現力が強く印象付けられたステージだった。

<恋はふしぎな出来事 男と女のいのち……>。ザ・ピーナッツの「恋のロンド」の調べを背に華美なヴィジュアルで登場した女王蜂は、そのオープニングSEの“昭和”の香りを自身の楽曲からもどこか漂わせながら……。次の瞬間には、オーディエンスの鼓膜をぶち破らんばかりの破壊的な轟音が炸裂! そして、妖しげなムードに包まれる中でうつろな視線をさまよわせ、その場にひざまづき、かと思えば鬼気迫る表情で叫ぶような歌声を奏で……。アヴちゃん(Vo)がまるで一人劇の舞台を展開しているかのようなドラマチックな光景に、オーディエンスの視線は釘付けになる。「こんな好き勝手やってるお嬢さんたちを上手いこと扱ってくれるSMA、いつも感謝しています。素敵なSMA、これからもよろしくね……」。最後は優しげな口調でこの良き日に感謝を贈り、あまりにも切なく、そして激しく、鮮やかな声色と音色が高らかに響き渡るドラマチックな幕切れに万雷の拍手が降り注いだ。


「思えば、弊社が、“エイプリルミュージック”としてスタートし……(中略)、1977年には、我らが渡辺真知子さんの「迷い道」が大ヒット! その2年後には久保田早紀さんの「異邦人」が大ヒット! その後も……(さらに長くなるので再び中略・笑)」。綾小路 翔の立て板に水な語りで会社沿革もたっぷり披露した氣志團は、個性派揃いのSMAの中でも随一と言っても良いエンターテインメント・スピリットを爆発させる。まずは、はたまた光GENJIか、あるいはももクロかと見紛うアイドル風のカラフルなコスチュームに身を包み、サイリウムを手に踊りまくるオープニング・ブロックから強烈なインパクト。早乙女 光は、どう見ても手作りの“AIBO”コスプレ(SMAと同じソニー繋がりということで……笑)で登場しカラーテープを会場へ発射し、かと思えば「日本人」では2階席に突如現れてトランペットを高らかに響かせる。そして、「One Night Carnival」で会場を大合唱で包み、あのシド・ヴィシャスも生前に歌った名曲「MY WAY」を、まさにシドばりの荒々しさと力強さで歌い上げる。ときには“バンド”スタイルすら逸脱し見る者をあっと言わせる、まさしく氣志團にしか成立させられないステージに拍手喝采だ。

「1982年に結成されました我々は、SMAに入って、勤続24年……。今日はその恩返しをしたいと思ってやってまいりました、どうぞよろしくお願いします!」(ROLLY)。『Zepp!Step!SMA!』東京編のトリは、SMA勤続24年、バンド結成からは30年というまさに大トリにふさわしいSMAの顔役の一組・すかんちだ。この日のメニューは、彼らの長い歴史をひもとくかのようなプレミアムな逸品。ROLLY、小畑ポンプ、ドクター田中、小川文明に、shima-changのピンチヒッターとしてマルコシアス・バンプの佐藤研二が加わった強力ラインナップが鳴らす、「ウルトラロケットマン」の大音響。「Mr.タンブリンマン」もパワフルなサウンドを奏でながら、ROLLYの独特なボーカルワークで魅せる甘いメロディが胸をくすぐる。さらに、ドクター田中がハイテンションにリードボーカルを務めた「恋人はアンドロイド」、「15年ぶりくらいに演奏すると思います」とROLLYが曲紹介した「OK! Baby Joe」、etc……。そして、ラストは再び手拍子で埋め尽くされたZepp DiverCityに「レターマン」と、ROLLYの投げキッスをプレゼントして颯爽とステージを後にした。

プレミアムなシーンはまだまだ続く。アンコールでは、自前(!)の赤ブレザー&白スラックスで登場した綾小路 翔が全出演者を呼び込む。そして、「ダウンタウンのごっつええ感じ」のオープニング・テーマとして記憶に残っている方も多いに違いない、すかんちの名曲「恋のマジックポーション」をオールキャストでセッションだ。齊藤ジョニー~渡辺大知~アヴちゃん~綾小路 翔~ROLLYの豪華ボーカル・リレーも実現した心踊らせるロックンロール・ナンバーで、正真正銘の大団円のエンディングを飾った『Zepp!Step!SMA!』東京編。「本日は本当に、素敵な一日でございました……。この思い出は、30年後、40年後も語り継がれることでしょう!」(ROLLY)。綾小路 翔いわく“音の総合商社”、そして“ロックンロール・デパートメントストア”SMAの個性豊かな面々が、日本のエンターテインメント・シーンをこれからも盛り上げてくれるはずだ。

取材・文:道明利友
この記事をポスト

この記事の関連情報