【ザ・ローリング・ストーンズ50thスペシャルインタビュー】キース・リチャーズ「なんて言うかな、磁力みたいなものに引き寄せられるんだよ」

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止まらず、惑わず、流されず、50年にわたり歴史を牽引してきたザ・ローリング・ストーンズ。偉大なる50周年を記念し、ミック・ジャガーに続き、キース・リチャーズへのスペシャルインタビューをお届けしよう。

◆ザ・ローリング・ストーンズ画像

──あなた方の新曲「Doom And Gloom」は、同じく最新のアルバムに当たる『GRRR!~グレイテスト・ヒッツ1962-2012』に収められていますね。バンド全員で再びレコーディングのためにひとつの部屋に集まったとき一番強く感じたのはどんなことですか?

キース・リチャーズ:それはやっぱり、一緒にやらなくなってからかなり長い間経っていたっていうのが…いやはっきり言ってしまえば5年間もツアーに出ないでいたから俺はかなり苛立っていた。今回、ミックと俺一緒に書いた曲のひとつが「Doom And Gloom」だったんだが、50周年を記念して出すにはちょっとふざけたタイトルじゃないかと、初めて聴いたとき、俺はミックに言ったんだ(笑)。でもまあストーンズだからな、"お約束"のっていうのはまるで俺たちらしくないから。まあとにかく、あいつは抜群に楽しくい曲を書いてきたよ。歌詞がいい。それで1ヶ月くらい前にパリで何曲か、「Doom And Gloom」や「One More Shot」なんかを一気にレコーディングしたんだ。面白かったよ。ストーンズがレコーディングをこんなに速く済ませたことはなかったと思うからね。3テイクくらいやったらできあがり。お互いに顔を見合わせて、「ほかの曲もやってみるか」ってそんな感じだったよ(笑)。まったく驚異的なスピードだった。全員が集まったときのエネルギーとか、化学反応みたいなものは、さすがにストーンズだって思ったね。なかなか集合しないっていうのが厄介なんだがね。だけどひとつところに全員が集まって、それぞれがそれぞれの持ち場にについて…何本か並んだギターとドラム・キットの向こう側にチャーリーが座ってさ、凄いんだよ。何年やってきても特別な気持ちになるね。ミック、俺、チャーリー、そしてロンが揃うとその場をワクワクさせる何か別の存在がいるような気分になるんだよ。それを何と呼べばいいのか俺にはわからないけどね(笑)。

──なぜザ・ローリング・ストーンズというバンドはこんなにも長く続いているのでしょう?

キース・リチャーズ:それは俺たちが文句なしにすばらしいバンドだからだよ。自分たちのやっていることを本気で愛しているからね。自分たちのためにならないことはやらないし、カネがどうこうの問題じゃない。もちろん貰えるならそれに越したことはないけれども、それがバンドをやっている理由じゃない。たまにこんな風に考えることもある。「なあ、キース、本当にやりたいことは何なんだ?家にずっといたっていいんだぜ。絵を描くとか本を書くとか、そんなことをしてみるのも悪くないかもしれないだろう」とね。だけど、なんて言うかな、磁力みたいなものに引き寄せられるんだよ。結局のところいつも、チャーリー・ワッツやミックやロンと演奏したいって思ってしまうんだな(笑)。何かそういう…うまく言葉にできないけど何かがモチベーションになっているんだな。

──『GRRR!』に収録されている楽曲の中で、何度演奏しても決して飽きないだろうと思うような曲はありますか?

キース・リチャーズ:「Jumpin' Jack Flash」はいつやっても最高だね。自画自賛はあまり趣味じゃないけど、ロックの史上最も偉大な曲のひとつなんじゃないかと思うな。俺とミックとのあいだでマジックが生まれたんだよ。何て言うか、二人でギターを抱えて腰かけて、「こんなのどうだ」とか言い合いながら作ったんだ。「こんな感じのリフはどうかな」「いいなそれ」なんて具合にね。「(I Can't Get No) Satisfaction(サティスファクション)」は理想的なソングライティングの成果だ。何たって寝ているあいだにできたんだからね(笑)。本当にすんなりできた。そういうことはめったにないし、実際、俺はあの曲でしか体験していない。

──あなた個人が『GRRR!』のようなベスト・アルバムに入れたいかったと思う曲を教えてください。

キース・リチャーズ:すべての曲の中から何曲かを選ぶっていうのはえらく大変なことなんだ。わかるやつにはわかるみたいな曲とか、個人的なお気に入りとか、そんなものまで選び始めたら収拾がつかないんだよ(笑)。たとえば「jigsaw Puzzle」なんかがそうだ。俺たち全員めちゃくちゃ気に入っていた。ところが結構あれが退屈なんだよな(笑)。まあ誰だって間違いのひとつやふたつは犯すってことだよ。

──ザ・ローリング・ストーンズのショーに匹敵し得るロックン・ロールのコンサートはあると思いますか?

キース・リチャーズ:リトル・リチャードとボ・ディドリーのロックを観たことがある。そう、あれこそロックン・ロールってやつだ。あの場にいることができて、しかも彼らと一緒に仕事までできたんだからもう最高に名誉なことだよな。どんなミュージシャンだって同じだ。自分より先に活躍していた人たちに憧れているはずだ。「ああいう風に演奏できたらいいのに」とか、「俺が彼らなら」とかね。モーツァルトだってきっと同じだったろうね。その人たちを超えるとか超えないとか、そういう話とは別なんだ。要するに、自分が"誰"になりたいのかってことだな。自分を目覚めさせてくれたものにとにかく近付きたいっていうか…。仮に何年か経って、そのミュージシャンを超えたり、自分がもっと有名になったりしても、絶好調のチャック・ベリーのステージを観たら、理屈抜きに「こいつがロックン・ロールだ」って熱くなるわけだ。
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