摩天楼オペラ【インタビュー】シンフォニックな王道チューンに籠められた力強いメッセージに胸打たれる「Innovational Symphonia」

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合唱を主題に掲げた“喝采と激情のグロリア”という一大テーマの下、年を跨ぐ長いスパンでのリリース&ツアーを展開中の摩天楼オペラ。10月に発売された第一弾「GLORIA」は栄光の“光”にあふれ、オーディエンスとの合唱により既にライヴでも感動的な光景を生み出している。対照的に、12月5日リリースの第二弾シングル「Innovational Symphonia」は、栄光を掴むまでの努力や葛藤といった“影”を歌った1曲。摩天楼オペラのシンフォニックな王道チューンに籠められた力強いメッセージに、胸打たれること必至だ。さらに2013年3月6日のアルバム『喝采と激情のグロリア』リリースと、6月8日のZepp Tokyoワンマンも発表。革新の音色を奏でながら、栄光への道を5人は進む。

■「Innovational Symphonia」は栄光の“影”を歌っている
■シンフォニック+好きなバンド・サウンド+合唱で構成した

――悠さんの腕の療養のため休止していたライヴ活動も、10月の<GLORIA TOUR-sceneⅠ->で再開されましたが、久々のステージはいかがでしたか?

悠:当たり前なんですけど、すごく緊張しました。5ヶ月もステージに立たないなんて、個人的なキャリアの中でも今までに無かったことでしたし、前作の『Justice』(3月発売1stアルバム)から、もう一段上に行かなければいけない!という気持ちもあったので、よけいに。ただ、なにより“やっぱりステージはいいな”と、すごく思いました。

彩雨:バンドとしても4ヶ月ライヴができなかったからこそ、ステージに立てる有難味を改めて感じられたんですよ。それがファンの声援や笑顔に対する有難さにも繋がって、すごく自分たちは恵まれているなと実感できました。

燿:本数を重ねるごとにライヴ感も戻ってきましたし、僕個人としても左手の中指が使えない状態のなか、3本でも満足のいくプレイをすることができて。ファンのみんなにも安心してもらえたんじゃないかと思います。

――今回のツアーでは、新曲「GLORIA」でのオーディエンスの合唱も素晴らしかったですね。現在、摩天楼オペラが進めているテーマ“喝采と激情のグロリア”の“喝采”を見事に表現していたと思います。

苑:その歌声の音量も、ツアーが進むにつれて、どんどん大きくなっていったんですよ。最後には僕らのバンド・サウンドも超えるくらいの合唱が聞こえてくるようになりました。

Anzi:もう、回を重ねるごとに、バンドとオーディエンスの一体感が増していって。次は、頭からそうなったら最強でしょうね。

――その次を担うシングル「Innovational Symphonia」は、前作とは逆に“激情”パートを担った曲で、聴き手の胸を強く抉るようなメッセージが印象的でした。

苑:“グロリア=栄光”の“光”の部分を書いたのが「GLORIA」なら、その栄光を掴むためには自分自身の強い覚悟が必要なんだということを、この曲では歌っているんです。つまりは栄光の“影”ですね。Cメロに“ひとりきり泣いていた 私へのシンフォニア”という歌詞があるんですが、この“私”というのは僕自身のことであって、X JAPAN、LUNA SEA、ハロウィン、ラプソディ・オブ・ファイアー、アングラ……そんな音楽に助けられていた学生時代の僕への贈り物というか。そうやって身体に蓄積されたものを今度は僕自身が発信する側になろうと、昔から好きだったシンフォニックなもの+好きなバンド・サウンド+合唱で曲を構成しました。

彩雨:僕もこの仕上がりを中学生のころに聴いてたら、絶対バンドやりたくなったと思うから、ぜひバンドキッズたちにも聴いてほしいですね。

――タイトルは直訳すると“革新の合奏曲”?

苑:はい。こういった様式美系の曲だったり世界観の中で、摩天楼オペラは革新を起こしてみせる!という決意が、そこに籠められているんですよ。だから栄光の“影”と言いつつ、歌詞は未来に向かっている。

Anzi:僕ら自身、闇に向かってバンド活動をやってるわけじゃありませんからね。光を目指しつつ、ひそかな努力……頑張っている姿を表に見せるのは僕はカッコ悪いと思っているんで、そんな陰の努力も重ねながら、必死にいま進んでいる。そういう意味では今の自分たちを歌っている曲でもあるし、今まで通りの摩天楼オペラらしい曲になっているのも納得だなと。

悠:“激情”の部分を示す曲だから、もっと混沌とした暗いものが来るのかなと思ってたんですけどね(笑)。でも、逆に良かったなと思うんですよ。前作の「GLORIA」は明るさという意味で革新的でしたし、今回はわかりやすいサウンドの方が伝わりやすいんじゃないかと、ドラムも今までの自分らしいスタイルでやりました。そもそも暗いだけで光の見えない曲では、そこで道が終わってしまうじゃないですか?

――サビ始まりというところからしても、ある意味、攻めてますよね。

Anzi:その歌い出しの“命を照らされても 輝きは生まれない”というワードは、結局、本人自体が輝ける素材でないかぎり、どんなにスポットライトを当てられても輝かないというメッセージだと思ったので、僕も普段通り自分らしいギターを弾きました。ライヴのギター・ソロでスポットライトを浴びたとき……きっと僕は輝いていると思います!

――輝ける素材を持っているからこそ、そういったメッセージを歌えるわけですからね。

苑:そういうことです。

燿:僕は曲調に合わせて基本ルートに徹してるんですけど、この速さで16分音符をツーフィンガーで刻むっていうのはすごく難しくて、今まではできなかったんです。ただ、今回左手の運指が限られてくるということで、そのぶん右手でいろいろ試してみようと練習したら、思いのほか上手くできて。

Anzi:それが陰の努力ってやつですよね。結果、栄光のツーフィンガーを得たわけですよ!(一同笑)

燿:まぁ、今、できることをやろうと自分的な革新を積み重ねていってるんで。そこで左手が100%復活したときに……俺のグロリアが爆発するんじゃないかと!

彩雨:いいね!(笑)僕は「GLORIA」ではサビに入れていたクワイアの考え方を変えて、イントロから使ってみたり、ド頭にデジタル音を入れたところも、自分らしくヒネったポイントではありますね。単なるシンフォニックバンドで終わらず、いろいろな音を出していくのが自分のプレイ・スタイルかなと思うので、その延長でCメロも割とデジタル音重視で行かせてもらいました。

――ラストのサビから大サビの合唱への盛り上がりにも、気持ちが高まりました。

苑:その合唱部分でディレクターから“普段の感じよりもオペラ風に、声の下の成分を意識して極力ビブラートを無くして歌ってみて”と言われて、やってみたらすごくハマッたんですよ。本物の様式美にちょっと近いというか、だから感情的な歌い方ではなく、音圧とか音量で激情を表しているような印象です。

悠:一緒に歌うことを提示した「GLORIA」に対し、壮大に魅せる!といった雰囲気も激情を表しているように僕は思いますね。

燿:個人的にはAメロの“与えて欲しいなら その対価を払え”というフレーズが、いちばん耳に残りました。これは常日頃から僕も思っていることで、音楽を作っている人間は時間や労力と引き換えに、より良い音楽を生み出せるという意味合いも感じつつ。あとはダウンロードの違法化が最近施行されたのもあり、リスナーにもちゃんとCDという対価を払って聴いてほしい……っていう意味もあるのかなと。

彩雨:ずいぶんな深読みだね!

――まぁ、歌詞なんて聴く人間の数だけ正解があるものですから。ちなみに私は、その次の“手を差し伸べるなら 盲目を貫け”というワードに引っかかりましたね。

苑:僕たちステージからオーディエンスに手を差し伸べるとき、自信がなかったりブレていたらカッコ悪いじゃないですか? つまり、自分のやりたいことに盲目になって突き進めと、そういう意味ですね。

◆インタビュー続きへ
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