【ライブレポート】ザ・ローリング・ストーンズ・オフィシャルカメラマン有賀幹夫が語る、ロンドン2公演とミック・ジャガー・ベストショット

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ザ・ローリング・ストーンズ5年ぶりのライブ再開は予想を超える充実度、事前に高額チケット批判をしていたメディアからもこぞって絶賛されたわけで、改めてバンドの持つ底力を確認することができたO2アリーナ2回公演。各メンバーに目を向けると、以前と変わらない安定感のチャーリーに対し、変わったミック、キース&ロニーと言えるだろう。

チャーリーはストーンズの活動がオフの時期は必ず彼のルーツ・ミュージックと向き合い気心のしれた仲間とジャズやブギウギ・バンドで公演を行っており、キースの言葉を借りれば(ドラマーとして)錆び付かないからだ。ミックはこの公演に向けてアスリートのように調整をしてきたのは明白で、その声と共に「ミッドナイト・ランブラー」はじめ、それぞれの曲でファンから期待されるワン&オンリーなパフォーマンスは健在。

では何が以前と違うのか?それはバンドとファンとの50年に渡るつながりや軌跡への感謝の言葉等、記念公演ならではのMC。あるサイトのレビューではこれらミックのMC内容を中心に書かれているほど。これまで過去を振り返り讃えるような発言は多くない彼なので、これはファンにはたまらないボーナスだったはず。ミックのMC効果とバンド演奏の説得力により、開演中次第に神聖な空気感が会場全体を包み込んだほど。

ここ数年プライベートでは大激震、しかし傑作ソロ・アルバム発表にフェイセスの一員として各国でのフェス参加と、音楽家としては大充実のロニーは以前と別人のようなシャープなプレイ。長年彼を苦しめて来た飲酒問題も解決したのが見てとれたのが嬉しい。今回のロニーの豊かな表情と演奏中のノリは時にキースを凌ぐほど!本来はこれ位のバランスがバンドのセカンド・ギタリストとして相応しいはずだ。

そしてキース…前回のツアー終了以降彼だけは他のメンバーのように自身やユニットでのアルバム制作、もしくは積極的なライブ活動はなかったわけで、久しぶりの大きな舞台での演奏への注目度は高かった。

2012年初めの「昔の曲の構成を憶えてない」といった本人の発言から多少の不安視を持つ人もいた。正に期待と不安が入り交じったファンに対し徹底的に演奏に集中する、という新たなキース像を提示。以前ならノリのいいオープニングから数曲ではミック同様、ファンに大きくアピール、煽っていたキースが、チャーリーの前からほとんど動かず演奏中の笑顔もなく真剣そのもの。

また昔からバンドの頭脳がミックならハートはキースと言われるが、ライブ中彼のバンドマスターぶりは健在だったのもよくわかった。長いバンドマン人生において過酷なクロスファイヤーハリケーンを体験してきたキースが、ひたすらギターを弾く姿とひとつひとつの出音に、その壮絶な生き様が見えてくるようでひときわ感動した。

最後にステージ自体の仕掛けは至ってシンプル、唯一の特別な演出は元メンバーや大物アーティストとの共演。2時間半に渡り時に現メンバーといつものサポート・メンバーと、時にゲストを迎えてひたすらザ・ローリング・ストーンズとは?その音楽の深みとは?を提示してくれた今回の50周年記念公演、アメリカに場所を変えて行う残り3回はどう変化~進化していくのかとても楽しみだ。

撮影・文:有賀幹夫

<ザ・ローリング・ストーンズロンドン公演第2夜 2012年11月29日@O2アリーナ>
1.一人ぼっちの世界
2.彼氏になりたい
3.ラスト・タイム
4.黒くぬれ!
5.ギミー・シェルター (W/フローレンス・ウエルチ)
6.レディー・ジェーン
7.シャンペン&リーファー(W/エリック・クラプトン)
8.リヴ・ウィズ・ミー
9.ミス・ユー
10.ワン・モア・ショット
11.ドゥーム・アンド・グルーム
12.イッツ・オンリー・ロックン・ロール(W/ビル・ワイマン)
13.ホンキー・トンク・ウィメン(W/ビル・ワイマン)
14.ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン
15.ハッピー
16.ミッドナイト・ランブラー(W/ミック・テイラー)
17.スタート・ミー・アップ
18.ダイスをころがせ
19.ブラウン・シュガー
20.悪魔を憐れむ歌
アンコール
21.無情の世界
22.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
23.サティスファクション

『生中継!ザ・ローリング・ストーンズ 50周年記念ライブ ONE MORE SHOT』
2012年12月16日(日)午前11:00~ WOWOWにて放送
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