世界初ガラスでできた演奏用クラシックギターが東日本大震災を乗り越え完成!ハリオ「ガラスのギター」を村治佳織が奏でる

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▲装飾には手書きのペイントが施され、繊細でありながらガラスの美しさを引き出したデザイン。
耐熱ガラスのトップメーカーHARIOが、東日本大震災の復興のシンボルとして「ガラスのギター」を完成させた。都内で記者会見が行われ、人気ギタリストの村治佳織がこのガラスのギターの演奏を披露した。

日本最大手の耐熱ガラスメーカーとして歩んできたHARIOは、今年9月にハリオグラス株式会社からHARIO株式会社に社名変更。「耐熱ガラスにこだわるが、とらわれない」をコンセプトに総合家庭用品メーカーに生まれ変わった。また、2011年の東日本大震災により被害を受け、稼働を休止していた茨城県古河にあるHARIO工場のガラス窯が復帰したことを受け、これを記念して「ガラスのギター」を製作。そのお披露目が音色の監修にあたった村治佳織を招いて11月29日に行われた。

同社は、ガラス製品の可能性、芸術性を高める1つの方向性としてさまざまな芸術分野とのコラボレーションを行い、ガラスの楽器を発表してきた。今回の「ガラスのギター」は、2010年以来2年ぶり12作目。10名の熟練した職人が作り上げたこのギターの総製作費はなんと約1,000万円。とはいえ、これは1本の値段というわけではなく、設備や金型にかかる費用も含めてのもの。ガラス製のボディにアクリル製のネックを組み合わせてあるのだが、演奏者が指で音程をコントロールできるチェロやバイオリンなどと異なり、ギターはフレットが存在するので、演奏できる楽器にするには製作時点で正しい音程を出すための調整が不可欠。さらに音程だけでなく弦高なども含めて村治佳織とともに、長い時間をかけて微調整が行われたという。

「ガラスのギター」のサイズは、19世紀のヨーロッパの原型をもとにしたもので、近年のクラシック・ギターより少し小さめなのだが、その重さは3.7kgとかなり重い。長時間の演奏では足がしびれてしまうと村治佳織。ガラスでできたギターの音については、「最初は古楽が合うんじゃないかと思ったんですが、出来上がってきたらどんなジャンルでも弾ける」「音量はやや抑え目な感じですが音の伸びはいいなと思いました」という感想。さらに「子供のころに弾いていた小さいサイズのギターの音を思い出す懐かしい、素朴な音」と続け、元々の音質は硬質な感じだが、「自分でもっと柔らかめの音を出そうとコントロールしている」とも語られた。さらに「持った感じは、もろさは感じない。逆にがっしりと力強い、安心感がある」とも。また、木製のギターと異なり季節の温度変化による音への影響もないとのこと。

HARIOの村上達夫専務は「復興の窯の記念碑的な楽器になりました。この音色はまったく新しい音色だと思います。希望の音を奏でる楽器としてお役に立てれば」と語り、村治佳織は「いつも使っている木のギターにとっては、いとこのような存在。それが競い合うのではなく、違うものとしてそれぞれのよさが確認できるよう、コンサートで弾いてみたい」「ガラスのギターを東北の人にも見ていただいて、生で見たい、聞きたいとおっしゃってくだされば、ガラスのギターといっしょに旅をしてみたい」と語った。

HARIOのウェブサイトでは、村治佳織が工場を訪ねる「ガラスのギター」のメイキング映像も公開されている。そちらもあわせてご覧いただきたい。


▲ボディの中央には強度を保つための柱が通っている。ガラスのボディは吹いて作ってあるので空洞なのはもちろん、アクリル製のネックの中も空洞。使用弦は村治佳織が普段使っている木製ギターと同じで、弦長も65cmで同じとのこと。

◆「ガラスのギター」メイキング映像
◆HARIO
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