安室奈美恵初となる5大ドームツアー<namie amuro 5大ドームTOUR 2012 ~20th Anniversary Best~>のファイナルとなる東京ドーム公演が12月20日と21日の2日間で行なわれた。安室にとってドーム公演は1997年に実施された4大ドームツアー以来、約15年振り。今回は、福岡を皮切りに、大阪、札幌、名古屋、東京の5カ所8公演を行ない、約34万人を動員。このファイナル公演をもって、ドームツアーとしては女性ソロアーティストの公演数・動員数で最多記録を更新したことになる。

◆安室奈美恵 <namie amuro 5大ドームTOUR 2012 ~20th Anniversary Best~> 画像

開演前から客席のあちこちで発生する奈美恵コール。最前列付近は、まだ客電がついているにもかかわらず、すでに立ち上がって、照明のついていない暗いステージに向けて歓声を送る。安室奈美恵のツアーファイナル公演は、東京ドーム内の気圧を変化させてしまうのではないか、と思ってしまうほどに、開演を待つファンの熱気が高まっていた。

今回のツアーは、過去、何度も安室奈美恵のライブに足を運んだファンからすると驚きと奇跡に溢れた公演だった。オープニングを飾ったのは「Body Feels EXIT」。<~20th Anniversary Best~>と題されたツアーで、さらにセットリストはファンのリクエストで決定するという趣旨だっただけに、安室の20周年を彩る数々の名曲やヒット曲が披露されるであろうことは推測できた。それでもツアーで小室哲哉プロデュース楽曲を披露すること自体、5年ぶりであり、さらに1曲目に持ってきた、ということは大きな驚きと言わざるをえない。

映画『黄金を抱いて翔べ』主題歌になっており、映画の映像をバックに歌唱した話題の新曲「Damage」(自身初の配信限定リリース)など、安室奈美恵らしいハードでダンサブルな楽曲が続く序盤。いつもどおり、安室奈美恵は実にストイックに自身のパフォーマンスだけに集中する。それはまるで、安室奈美恵という作品の最高到達点、自分自身の限界に挑んでいるかのような姿。ただ時折、安室は少しだけ“隙”も見せる。つまり、曲の終わりにニコリと微笑んだり、少しだけ手を振ったり。そんな、ステージ上でファイティングポーズを少し緩める瞬間が訪れると、ファンはそんな安室の姿に大熱狂する。

ただ、今回のツアーは、普段のそれよりも安室奈美恵が笑顔を見せる機会が明らかに多かった気がする。

確かに、彼女自身の照れもあったのかもしれない。特に昔の曲を披露している最中、安室が、パフォーマンスは完璧ながらも、どこか照れくさそうに映る場面があった。そしてファンは、そんな彼女の反応を見逃すはずもなく、大きな歓声を返す。するとさらに照れる安室ちゃん……。こんなスパイラルが各所で細かく発生していた。

しかし、それ以上にこのツアーが安室奈美恵の20周年を記念するメモリアルなものであったこと。ツアー前に安室は、「いつもは自分のやりたい事を観に来て頂いていたのですが、今回は観に来てくれたお客さんが楽しんでくれているのを観て私も一緒に楽しみたいです。」とコメントを発表していたが、まさにその言葉通り、“メモリアルな時間を一緒に楽しみたい”という安室自身の想いが、普段のツアーより多めな笑顔につながった、と言ったほうが正しいかもしれない。

ツアーグッズのポンポンを安室奈美恵自身が身につけファンと一緒に盛り上がる「スズキ ワゴンR」CMソング「In the Spotlight(TOKYO)」、そしてレコチョク年間ランキングで4部門1位を獲得した「Love Story」も熱唱。特に「In the Spotlight(TOKYO)」の途中には、「C'mon Tokyo Dome!!」とシャウトも飛び出す。MCを一切挟まない、ノンストップな安室奈美恵のライブにおいて、ラストでの「今日はどうもありがとうございました。また遊びに来てね! バイバイ!」以外に言葉を発することは極めて異例。突然のシャウトに不意を突かれてしまった会場では、まさに割れんばかりの大歓声が東京ドームを揺らす。

ライブ中盤くらいから、今回のライブが従来のものとは明らかに異なったものであることがわかってくる。なにより、安室奈美恵が楽しそうなのだ。いや、楽しい気持ちをクールな表情に隠してパフォーマンスを続けるのが、これまでの安室奈美恵のライブだったように思うのだが、今回は、楽しいという気持ちが強すぎて隠し切れなくなっている、と捉えるべきだろう。

そして「a walk in the park」。ステージに設置された超大型スクリーンに映しだされたのは、1997年のドーム公演<mistio presents namie amuro SUMMER STAGE 1997 Concentration 20>の安室奈美恵の映像と、ステージ上の安室奈美恵の映像。そして曲が始まった瞬間、奇跡が起こる。ダンサーの人数はもちろん、歌っている時の仕草、髪をかきあげるタイミングまで、すべてが15年前のドーム公演の映像とシンクロし始めたのだ。もちろんこれは、安室奈美恵の遊び心と粋な計らいから生まれた演出なのだが、表現を選ばずに言葉にするなら、“安室奈美恵がここまでするライブが過去にあっただろうか!”といった驚きで、ドーム中が大興奮となったのは言うまでもない。

一方で、昔の映像をスクリーンに流す演出からあらためてわかるのは、過去の大ヒット曲を、当時と変わらない激しいダンスで歌い踊る安室奈美恵が2012年のステージ上に立っている、ということ。それはあたかも、東京ドームという空間がひとつの大きなタイムマシーンとなり、時間を超えているかのような錯覚すら覚えてしまう。「Chace the Chance」では、アスリート並みの身体能力を発揮して、ステージの端から端の約80mを全力疾走。その直後に息を切らすことなく歌い上げるなど、まさに圧巻の一言だ。さらにソロデビューからの大ヒット、そして転換期を経て、自分のスタイルを信じ、追求し、再び日本を代表するアーティストの頂点へと上り詰めた安室が歌う<夢なんて見るモンじゃない / 語るモンじゃない / 叶えるものだから>のフレーズには恐ろしいほどの説得力がプラスされていく。

福岡公演では感極まった姿を見ることもできた「CAN YOU CEREBRATE?」では、客席に一緒に歌おうとジェスチャーで呼びかけ、これまでの道のりとファンへの感謝を噛みしめるように大合唱が巻き起こる。観客もこの曲をめぐる思い出に浸りながら、安室の20周年を祝福しているようで、歌い終わったときにはひときわ大きな拍手が起こった。

<会いたい人がいる>、<数えきれない / やさしさが支えてる>と、観客をぐるりと指差しながら歌った安室奈美恵。<この場所から未来へ>と拳を突き上げた安室奈美恵。終わってみると、デビューから最新曲まで、これまでリリースしたすべての楽曲の中からファン投票により決定した往年のヒット曲25曲と最新曲5曲の計30曲を安室は披露。20周年を飾るにふさわしいスペシャルな5大ドームツアーは無事に終幕となった。

ステージ終了後にはファンからの楽曲投票の結果もオフィシャルサイトで公表。レコチョク年間ランキングの4冠を達成した「Love Story」が、楽曲投票での1位となったことが明らかになっている。なお、福岡公演初日からの演出として、「Love Story」歌唱前の映像演出の時に流れていたオルゴールバージョン「Love Story (Xmas Music Box Ver.)」は12月22日より配信がスタートしている。また、安室奈美恵は、2013年にはアジア3カ国(台湾、香港、シンガポール)でのツアーも決定している。

最後に、12月21日の東京公演最終日、ラストの一言には、普段の「今日はどうもありがとうございました。また遊びに来てね。バイバイ!」に、「とても素敵な20周年になりました。またこれからもがんばるので応援してください。」といった言葉が加わっていたことを付け加えておく。

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
◆BARKSかわいこちゃんねる
◆安室奈美恵 オフィシャルサイト