伊藤真澄【インタビュー】自分の中で感じている色んな「Wonder」がいっぱいになった「Wonderful」を表現したい

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伊藤真澄の4作目のアルバム『Wonder Wonderful』が完成した。アニメ「人類は衰退しました」「あずまんが大王」、映画「涼宮ハルヒの消失」等の主題歌やテーマソンングなどで、「この声知ってる!」という人も多いとだろう。ファルセットの柔らかな歌声は、聴いていると日常から心を解き放ち、心地よいファンタジーワールドへといざなってくれるようだ。今作でも、そんな独自の世界に彩られた13曲で聴く人を癒してくれる。伊藤真澄のルーツとアルバム制作秘話を語ってもらった。

■『Wonder Wonderful』というタイトルが先に決まったんです
■そこから曲が急にできていって歌詞も世界が決まりました

――武蔵野音大のピアノ科卒ということは元々はクラシックから音楽に入ったわけですか。

伊藤真澄(以下、伊藤):そう。バリバリのクラシック。最初はクラシックのピアニストになるつもりだったんですけど、YMOと出会ってカルチャーショックを受けて。こんな音楽があるんだってビックリして。YMO自体、坂本龍一、細野晴巨、高橋幸宏の三人のすごい個性的な集まりで、それぞれみんな影響を受けたジャンルが違うじゃない? 坂本さんからは現代音楽を学び、細野さんからは民族音楽、高橋さんからはポップス、ブリティッシュロックを学び、その時に彼らのバックで演奏していたギタリストの渡辺香津美さんからはジャズとかフュージョンとか。YMOに出会ったことで、私の音楽的な扉がバーン!と急に開いて、「クラシックってつまんないじゃん」って思って、そこから不良になったんです(笑)。両親が嘆き悲しむ……みたいな。

――やはりずっとクラシックをやってらっしゃると、それ以外は不良なんですか。

伊藤:両親はそう思ったと思います(笑)。私にとっては目からウロコが落ちて、こんなに自由な音楽があったんだってショックでしたよね。音楽だけじゃなく、ファッションからすべてが衝撃的で、カッコいい!って。ずっと教授(坂本龍一)を追いかけてました。

――ソロの他にもたくさんのユニット活動を経てらっしゃいますね。

伊藤:うん。自分がヴォーカルをやっていたmidoriがあったり。アルバムも何枚か出しましたね。あとはエレクトロニカをやってたHeart of Airがあったり、さねよしいさ子さんとのユニットもありましたね。マリアリアっていう。不思議な賛美歌ユニットでしたけど。

――賛美歌ユニットって珍しいですね。

伊藤:そうですね。さねよしさんとお仕事で何曲かご一緒したときになんやかんやで仲良くなって、何かやろうよってことになって。彼女は素晴らしい歌詞を描かれるんですね。それで、賛美歌のメロディに、さねよしさん独特の感性で日本語の歌詞を乗せるっていうね。

――賛美歌の歌詞をそのまま唄うんじゃなくて、別の歌詞をつけちゃうんですか!?

伊藤:そう(笑)。

――それまたユニークな! 本当に色んな活動と並行しながら個人としての活動もやられてきた感じなんですね。

伊藤:やっぱり色んなことをやりたいですよね。

――音楽は自由だっていうことに目覚めたからですね。

伊藤:うん。だからジャンルにもぜんぜんこだわらないし。良いものは良いっていう。音楽は人との出会いによって生まれるんですよね。仕事を通してさねよしさんとも出会ってマリアリアができたようにね。

――今作『Wonder Wonderful』は、もうソロでは4作目になりますね。コンセプトを決めてから作りはじめたんですか?

伊藤:もちろんそうです。何年か前から「Wonder」っていう言葉が大好きで。「Wonder」って驚きとかときめきとか、「これって不思議、なんだろう?」とか、そういう感じじゃないですか。だから、自分の中で感じている色んな「Wonder」をここに表現したいなと思っていて。で、「Wonderful」という言葉を見たときに、「Wonder」がいっぱいになると、「Wonderful」になるんだ!と。で、「Wonder Wonderful」っていいかもしれない!と、アルバムのタイトルが先に決まったんです。そこから曲がバァーっと急にできていった感じがありますね。歌詞も世界が決まっていきましたし。

◆インタビュー続きへ
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