まだ興奮はさめやらない。

<LIVE TOUR 2012-2013 The End of the Dream>ツアーの東京公演の前半戦。
1月11日(金)から13日(日)まで3日連続で、LUNA SEAは日本武道館のステージに立った。

◆LUNA SEA 画像

バンドは生き物だ。そして、そのことを最も肌で感じられるのがオーディエンスと共に創っていく空間、すなわちライブであることは言うまでもない。RYUICHIはMCで「昨日を超えていくライブをする」と言っていたが、まさにその言葉どおりの前半3デイズ。会場の熱気、興奮を吸い取っていくがごとく、日を追うごとにLUNA SEAのライブは強力になり、数値化されない記録を更新していった。結成24年。数えきれない人たちの人生を変えてしまうほど影響を与えたこのバンドに、いまだ限界というワードは存在しない。熱く走り抜けた3日間のもようをレポートしよう。

1月11日(金)、初日【FUTURE ERA -SHINING NEW CHAOS-】。

客電が落ち、大歓声の中、幾筋もの青色がステージと客席を照らす幻想的な光のショーの中、SE「月光」が響きわたる。やがてメンバーが登場し、オープニングは時が満ちたことを告げる「Time Has Come」。

1997年の活動休止期間を経て、リリースされた復活第1弾アルバム『SHINE』の1曲目を飾る象徴的なナンバーだ。マントをはおったRYUICHIはサングラスをかけている。ステージに置かれたミラーボールが白くまばゆい光を放ち、武道館がLUNA SEAの鳴らす音に一瞬にして包みこまれていく。

3日間異なるセットリストの中から、この日は2000年の終幕前の後期の楽曲が中心だが、未来へと向かう現在進行形のLUNA SEAの想いも含まれている。

2曲目の「Dejavu」ではINORANとJが下手に、SUGIZOが上手スロープで煽り、INORANは早くもステージを360度取り囲む花道のバックヤードに走って、サイドで見ている客席を煽る。ステージ上方にはハイヴィジョンモニターが左右に吊るされているが、映像に気をとられていると、ステージのあちこちで起こっていることを見逃してしまう。JとRYUICHIのボーカルのかけあいがスリリングな「Unlikelihood」では、SUGIZOのトリッキーで凄まじいソロにJのシャウトがさらに火をつけ、「END OF SORROW」では、JとINORANが昔と同じように対峙して回りながら演奏し、真矢のタフなビートに息をのむ。五感をフル稼働させられるのがLUNA SEAのライブだ。

ひときわ強い光を放つポップチューン「SHINE」では、向かい合ってギターを弾くSUGIZOとINORANをJが指差し、天空まで届きそうな飛翔する旋律を奏でるSUGIZOをRYUICHIが後ろから抱きよせるようにして歌い、熱狂する武道館――。最新シングル「Rouge」、「The End of the Dream」を含め、LUNA SEAが現在に至るまで生み出してきた楽曲のパワー、スケール感にあらためて感服したのが初日のライブでもあった。

アッパーな曲も「gravity」のように各パートが繊細に絡みあうバンドアンサンブル命のバラードも、大ホールをすっぽり包みこむ説得力があり、そのメロディは色あせない。そして艶のある低いトーンから甘い響きのファルセットまで、自らの声を自由自在に操るRYUICHIにしか、LUNA SEAの楽曲の振り幅の大きさは表現できない。

「日本武道館! 初日から最高だな! インディーズ時代からここを目指してやってきたので、俺達にとって武道館は聖地であり、かけがえのない場所なので、みんなもそうだけど、俺たち自身が楽しんでいきたいと思います。俺たちが作ってきた世界はかけがえのないものだと年末のツアーで思い知らされたので、今日はあのZeppツアーを超えていきたいと思います」

これまでとは違うスタイルでJと真矢のソロパートがはさみこまれていたのも驚きであり、新鮮でもあった。後半戦はライブのテッパン曲が続き、「東京! オマエら、全員でかかってこい!」とRYUICHIが叫び、本編ラストでは銀テープが放たれた。そして、アンコールは、REBOOT後の5人の誓いの曲でもあるバンドのストーリーを紡いだ壮大な組曲「THE ONE-crash to create-」。食い入るようにステージを見つめ、静かに聴きいるオーディエンス。

「5人の中から、どんな曲が生まれるか、どんな物語が生まれるかわからないけれど、必ず、みんなの想像を超えていきたいと思います」とRYUICHIは締めた。

1月12日(土)、【RISING ERA -UNENDING LOVE & HATE-】。

「ドキドキする!」「やばい!」。興奮をおさえきれない声が客席のあちこちから聞こえ、暗転したとたんに絶叫&大歓声。オープニングは、アルバム『MOTHER』発売後のツアーの幕開けを幾度となく飾ってきた「LOVELESS」だ。INORANがアコースティックギターでアルペジオを奏で、SUGIZOがトリプルネックギター。切なくも深い旋律に“待ってた!!”と言わんばかりの声が上がる。

初日もそうだったが、コンセプトは同じでも出だしからZeppツアーとは異なる曲を持ってくるとは。「PRECIOUS」のイントロで“ウォー!!”という声が上がり、1曲目にして360度、埋めつくされた客席はテンションマックス状態だ。REBOOT後に男性ファンがかなり増えたことは変化の1つだが、生の彼らを見たことがなくても、映像で何度も繰り返して見て参戦しているのではないかと思うほどの一体感。

Jがベースを高く掲げた「G.」は武道館にさらに火をつけることになった。バネのようにしなやかで強靭なビートは、まぎれもなく、今のLUNA SEA。【RISING ERA】はメジャーデビュー以降、次々に大ヒットを飛ばしていった黄金期の楽曲を中心にセットリストが組まれているが、「END OF SORROW」も「TRUE BLUE」も、あの頃の勢いやみずみずしさを失うことなく、今の5人のスキルで演奏されるのだから、これは本当に奇跡的なことだ。たぶん、彼らの中には過去のヒット曲を演奏するという意識はないのだろう。つねに曲の中に“今この瞬間”を鮮やかに焼きつけていく。その緊張感こそがLUNA SEAのライブバンドとしての生命線だ。

RYUICHIがアジアツアーのことに触れる。

「今の俺たちはアジアNO.1のバンドになっていきたいと思ってます。今のシーンはアイドルやダンスミュージック全盛で、俺たちみたいなオトナのロックは空席だと思うんだけど、どう?」

過去を塗り替えるエネルギッシュで艶やかな最新シングル曲「Rouge」が披露され、中盤はLUNA SEAのコアな魅力が堪能できる楽曲が続く。シングルのカップリングながら名曲として今でもライブで人気の高い曲や、SUGIZOの儚くも美しいバイオリンの音色に大歓声が上がる「Providence」だ。

RYUICHの説得力のカタマリのようなボーカル、真矢、J、INORAN、SUGIZOの楽器陣の絶妙なアンサンブル。LUNA SEA美学の結晶とも言える中盤の内省的なセクションが、後のビジュアル系と呼ばれるバンドに衝撃をもたらしたことは間違いない。つねに自分たちのやり方で道を切り開いてきたアティテュードも含めて――。

「この会場に集まってくれた仲間の中には、20数年、俺たちを応援してくれる人もいます。10年も休んでいる中、支えてくれた人たちには俺たちの夢が、よりリアルに伝わっていると思います。成功したバンドだと思っている人もいると思いますが、成功は永遠じゃないから。自分たちは成功という頂を目指すのではなく、作っていきたいと思います」

そんなRYUICHIの言葉を証明する“熱”を放出していたのが、この2日目のライブだったように思う。数々の伝説を残していることは事実だが、LUNA SEAは決して敷居の高いバンドではない。オーディエンスの反応が火をつけ、その日にしか味わえないマジックを生む生粋のライブバンドだ。まだ全速力で走るほど足の骨折が回復していないSUGIZOをフォローするかのように、INORANが走り回っていたのも印象的だった。

Jのラップに大歓声がわき、「行くぞ! 武道館!」と派手にマイクスタンドを放り投げた「ROSIER」、イントロのINORANのキレのあるカッティングに“出た!!”と言わんばかりの歓喜の声が上がった「TONIGHT」で本編終了。

アンコールではウエーブが起こり、メンバーはグッズのタオルを持って嬉しそうに登場。 「最高の景色を見せてくれて本当にありがとう」と感謝の言葉を述べ、名バラード「I for You」を演奏。メンバー紹介をはさんで、「IN MY DREAM」ではSUGIZO、Jがバックヤードで演奏し、光をまき散らすようなプレイを届けた。

「最高でした! 今夜、集まった1万2000人と1つになりたいと思います」と最後は手をつないで全員でジャンプ。Jはモニターにタオルを飾るようにかけ、真矢はバックヤードを走って1周し、最後に残ったSUGIZOは手を大きく広げ、センターで深々と頭を下げた。

1月13日(日)、【BEGINNING ERA -IMAGINE FOR MY NEW MOON-】。

この日の開演は15時。3日間連続のライブでエネルギーを消耗していないか、多少、心配だったが、それは全くの杞憂だった。オープニングはインディーズ時代のアルバム『LUNA SEA』の1曲目「FATE」。いきなりのシャウトナンバー。続く「Dejavu」で武道館はヘドバン続出。

「まだ夜と呼ぶのは早いけど、あえて言わせてもらいます。今夜も盛り上がって行こうぜ!」

割れんばかりの歓声が飛んだ「JESUS」では、その気迫、集中力に圧倒される演奏が繰り広げられた。イントロでRYUICHIが叫んだ「SLAVE」では、オーディエンスも最初から歌い、バクハツ的エネルギーが会場に充満する。

「LUNA SEAが落ち着くのは30年後かな(笑)。時代は変わっても音楽は変わらない。どんな時代でも夢は叶うと思うから、一緒にどでかい夢を見ようぜ!」

ステージに設置されたLEDの照明が燃え盛る火のように見えた「Rouge」から、インディーズ時代の「SANDY TIME」に移行する流れもタイムラグをまったく感じさせない。大地を感じさせる真矢とJのでかいグルーヴとINORANの繊細なフレーズ、SUGIZOの時空を超えていくギターが絡みあい、イマジネーションをどこまでも広げてくれる。中盤ではZeppツアーでは演奏されなかった神秘の名曲「MOON」が武道館に鳴り響いた。

まるで光の芸術のような照明が曲の魅力をさらに際立たせる。LUNA SEAの原風景のようなこの美しいナンバーがなかったら、「THE ONE-crash to create-」は生まれていなかったかもしれない。

キャッチーなメロディとフックのあるギターサウンドが何度聴いてもカッコいい「The End of the Dream」で熱い演奏を届けたあと、センターでJが煽り、ワイルドなベースソロで1万2000人を揺らし、「行くぜ!」と叫び、「BLUE TRANSPARENCY」で加速して、真矢の強力ドラムソロへと移行する間髪入れずの構成(曲順は日によって違うが)は今回のツアーの見所の1つだ。LUNA SEAの始まりの曲でもあるテッパン曲では、INORANがバックヤード、Jがスロープに、SUGIZOはカメラの前でわざと腰を振ったかと思うと渾身のソロを響かせ、RYUICHIの歌は信じられないことに曲を追うごとにパワーを増していった。ロックボーカリスト、RYUICHIの本領発揮だ。

【BEGINNING ERA】は初期の楽曲を中心にセットリストが組まれているが、まぎれもなく今のLUNA SEA。限界の先にあるものに到達したようなステージに鳥肌が立った。

この日は、観客みんなが歌う真矢への“ハッピーバースデイソング”がアンコールがわり。真矢は照れまくりながらステージに登場し、投げキッスを前後左右に送り、泣くポーズでみんなを笑わせた後、メンバーが登場。

「真ちゃん、おめでとう。やっと真ちゃんの誕生日にライブができました。涙もろいからね」とRYUICHIが振り、無言で何度もうなづく真矢。メンバー紹介では、INORANがSUGIZOの十八番の「007」のテーマをわざと弾くお茶目な場面も飛び出した。SUGIZOはギターを弾くかわりにマイクを通さずに「東京! 愛してるぜ!」と叫び、RYUICHIを「我がLUNA SEAを牽引する宇宙一、おナルなボーカリスト」と紹介。RYUICHIが苦笑しながら「もうおナルはやめておナスにしよう」とジョークを飛ばす。が、サプライズはまだまだ終わらなかった。「IN MY DREAM」の演奏が途中で止まり、困惑する真矢の表情がスクリーンに映し出されると、SUGIZOが「ハッピーバースデイ」のフレーズを弾き、ステージに特注のケーキが登場。

「なんか言葉も出ないです。高校のとき、SUGIZOに相談してドラムセットを買って、あれから何十年もたって、みんなに祝ってもらうなんて。みんなホントにありがとう」

感きわまる真矢に見ている人たちは、変わらないLUNA SEAの強い繋がりを感じたに違いない。

「みんなのおかげで今夜は最高の夜になったぜ!! かかってこい!! かかってこい!!」

RYUICHIがあの頃のように叫び、計4曲を演奏したアンコールのラストナンバーは、至福の「WISH」。

「18日から始まる後半の3日間も、さらに上を目指して突っ走りたいと思います!」

全員でジャンプした後も名残りおしそうにステージに残っていたメンバー。SUGIZOが写真を撮っていると、INORANがカメラマンになって客席をバックにSUGIZOを撮ったり、Jが真矢のために作ったファンの垂れ幕を受け取って、真矢の肩にかけたり。そして、いつもならSUGIZOが最後まで残って挨拶するのだが、今夜の主役は誕生日のドラマー。みんながいなくなったことに気づいてキョロキョロする真矢だったが、最後は垂れ幕をマントのように広げて挨拶。温かい拍手と歓声はいつまでも鳴り止まなかった。

楽曲の素晴らしさはもちろん、今のLUNA SEAはスキル、ロックバンドとしてのポテンシャルの高さ、エンターティメント性をすべて兼ね備えている。成熟と初期衝動がありえないバランスで同居している。後半の3デイズは、さらにとんでもないことになりそうな予感がする。

取材・文●山本弘子

⇒Live review English-language version





◆New Single
「The End of the Dream / Rouge」
2012年12月12日発売
※両A面シングル
【初回限定盤 A】2CD(SHM-CD)+Blu-ray
The End of the Dream / Rouge
UPCH-9820  ¥2,980 (税込)
【初回限定盤 B】CD+DVD
The End of the Dream / Rouge
UPCH-9821  ¥1,890 (税込)
【初回限定盤 C】CD+DVD
Rouge/ The End of the Dream
UPCH-9822 ¥1,890 (税込)
【通常盤】 CDのみ
The End of the Dream / Rouge
UPCH-5780  ¥1,260 (税込)

◆LIVE DVD
『LUNA SEA CONCERT TOUR 2000 BRAND NEW CHAOS~20000803大阪城ホール~』
2012年12月19日発売
POBD-20054 ¥6,000(税込)

◆LUNA SEAユニバーサルミュージック復帰記念 Original Canvas CD 6title
2012年12月28日発売
I「IMAGE」  PDCJ-1025 ¥16,800(税込)
II「EDEN」 PDCJ-1026 ¥19,800(税込)
III「MOTHER」PDCJ-1027 ¥19,800(税込)
IV「STYLE」 PDCJ-1028 ¥19,800(税込)
V「SHINE」 PDCJ-1029 ¥19,800(税込)
VI「LUNACY」 PDCJ-1030 ¥19,800(税込)

<LUNA SEA LIVE TOUR 2012-2013 The End of the Dream>
12/23(日)大阪城ホール
1/11(金),12(土),13(日),18(金),19(土),20(日)  日本武道館
1/26(土) ,27(日) 台湾 Neo Sttudio
2/2(土)香港 Asia World Expo Arena
2/5(火)タイ Impact Arena Muang Thong Thani
2/8(金) シンガポール The Star Theatre

<SLAVE限定GIG 2013>
2/17(日)NHKホール

◆LUNA SEA オフィシャル・サイト