【インタビュー】UNCHAIN、ポップにブルーアイドソウルする渾身のカバーアルバム『Love & Groove Delivery』

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「Love & Groove Delivery」と題して配信限定でリリースしてきたカバー楽曲を集め一枚にまとめたアルバム『Love & Groove Delivery』をリリースするUNCHAIN。一年前に配信開始した椎名林檎のカバー「丸の内サディスティック」がいまだに話題になっているなか、今作では新たに4曲のカバー楽曲を追加。YEN TOWN BAND、キリンジ、少女時代、スティーヴィー・ワンダーなど、“なるほど!”という選曲、“意外!”という選曲、UNCHAIN節で聞かせてくれる。バンドを代表して、ヴォーカルの谷川正憲に話を聞いた。

■女性ヴォーカルの曲って不変的でグローバルなので
■アクが強かったりするとちょうどいいんです

――『Love & Groove Delivery』が集大成として、ついにアルバムになりましたね。

谷川正憲(以下、谷川):はい。もともとは去年リリースした『Eat The Moon』っていうアルバムを聴いてもらうため、「今回はこんな感じで行きます」って知ってもらうために、配信でカバー曲をリリースしたっていうのがきっかけだったんですけどね。それがめっちゃ楽しかったというのと、評判も良かったというのと、自分たちが新しい作品を作っていく中で、アルバムへの流れが良い感じでできたので、もう一回やってみたいと思ったんですね。

――それで新しいカバー曲も4曲追加されてるんですね。

谷川:はい。それも次のアルバムに向けてっていう意味合いが強いです。『Eat The Moon』からの流れももちろんありますが、また次の作品を匂わせられたらいいなと。

――「丸の内サディスティック」がものすごく評判になってるじゃないですか。結局カバーって、いくら原曲が素晴らしくても、カバーしたものが良くなければ、そこまでの評価は得られないと思うんですよね。

谷川:確かにそうかもしれないですね。僕らの場合は、女性ヴォーカルの曲でも男性が唄うということと、斬新なアレンジっていうのが特徴的なので、そこが伝わっているならばいいですね。

――新しくカバーした「あいのうた~ SWALLOWTAIL BUTTERFLY~」にしろ、「MR.TAXI」にしろ、原曲は女性が唄っていますもんね。でも、それをあえて男性の谷川くんが唄うことも面白みだなと思います。

谷川:僕が草食男子だからっていうわけじゃないですけど、BLUE HEARTSとかエレファントカシマシみたいな歌詞や楽曲が好きでも、歌ったときの説得力には欠けるんですよ。なんだか似合わない(笑)。でも、女性ヴォーカルの曲って、女性の視点だけではなく、不変的でグローバルだったりするんです。あと、椎名林檎さんみたいにアクが強かったりすると、女性ヴォーカルの曲でもちょうどいいんですよ。

――谷川くんは、声も男っぽくなく、どちらかと言えば中性的ですものね。今作で新たにキリンジの曲をカバーをしてるけど、キリンジも中性的だからまったく違和感なかったですね。

谷川:まさに。歌詞の内容も違和感なかったです(笑)。キリンジさんの音楽性も僕らと通じるものがあったので、勉強させてもらいました。キリンジさんって、コードの乗せ方、メロディへの歌詞の乗せ方がすごく印象的でカッコいいんです。メロディに言葉を乗せるのは当たり前だけど、一個ずらしてくるような感覚があるんですよね。ちょっとイレギュラーなんです。その聴こえ方がオシャレで面白かったですね。

――「あいのうた」はどうでしたか?

谷川:CHARAさんの曲はとてもファンキーだって感じてたんですけど、歌詞が女の子っぽいんですよね。一度、CHARAさん名義の曲をカバーしてみようかと思ったんですが、どうしても乙女すぎて、僕が歌うとオネエみたいになっちゃうんです(笑)。でも、YEN TOWN BANDはちょっと角度が違うんですよ。そこらへんがしっくりきて。文句なしの名曲だと思うし。

――佐藤くんのギターソロがかなりカッコいいです。ガラッと雰囲気が変わる。

谷川:ここは「ちょっとソロ弾いてみて」って弾いてもらったら、すごく良くてそのまま採用。感覚でやったみたいなんですけど。アドリブの良さってあると思うんですが、佐藤くんは考えて考えて音を出すタイプの人なんです。でも、レコーディングになると、どんどん自分自身に追い込まれて行くみたいなんで(笑)。結局、一番最初に弾いたやつが一番いいって人。それがこの曲では顕著に出たんでしょうね。

――谷くん、吉田くんのリズム隊はどうなの?

谷川:今回はテンポが遅い曲が多かったので、リズム隊の二人は苦労してましたね。

――テンポが遅くてもグルーヴを出さなきゃならないもんね。

谷川:そう。グルーヴっていうのは前回も今回も課題だし、挑戦だったから。いかにテンポが落ちた状態でも、聴いている人を躍らせるか、身体を揺らせるかっていうのは、リズム隊にかかってくるので。「あいのうた」はそこらへんでかなり難しかったです。いつもレコーディングの前に、「これは正解です」っていう打ち込みのリズムパターンを作っておくんですよ。ドラムは最初、それを聴きながらやるんです。ジャッジはしやすいと思うんですが、正解しかない音で聴いてるから、正解しか正解じゃないから、難しいと思うんですよね。

――あぁ。その正解を頼りに、どこまで自分の色を足していくかっていうことですもんね。

谷川:そうなんです。しかも谷くんがめっちゃ正確なベースを弾くので、少しぐらいずれたとしても大丈夫だと思いきや、下手くそに聴こえちゃうんですよね。そこはドラムの吉田くんは頑張ってました。

◆インタビュー続きへ
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