「スペース」…それは音楽であり、考え方であり、生き方でもある。KREVAの6thアルバム『SPACE』は、ダンス・ミュージックのトレンドを取り入れつつ、あくまでKREVA流に料理した斬新なトラックをずらりと揃え、なおかつ理屈抜きで盛り上がれる陽性のパワーあふれる作品だ。ラップのスキルの高さは言うまでもなく、高純度のヒップホップ作品でありながら親しみやすいポップ・ミュージックとしてのクオリティもハンパない、KREVAでしかありえない最新傑作。聴けばあなたの中できっと何かが変化する、そんな力を持った音楽がここにある。

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──2月20日、まずインスト盤『SPACE Instrumentals』を出して、1週間後2月27日にアルバム『SPACE』が出る。面白いアイディアですね。

KREVA:インストを出すのは理由があって、理由1は、タイトルが『SPACE』なんで、自分(の声)がいなくなることによって、スペースが空いた盤が出ると面白いかなと思ったこと。理由2は、普段はスタッフにトラックだけを聴かせて、「これに言葉が乗るとどうなるかな」と想像して楽しんでもらっているので、それをファンのみなさんにも感じてもらえたらいいかなと。理由3は、気合の入ったラッパーだったらタイトルも発表されていて1週間あればいかようにもできると思うから、「オレより先に自分なりのスペースを確保しろ」ということ。

──我こそはと思わんラッパー、チャレンジせよと?

KREVA:うん、でもそれだけじゃなくてオレが期待してるのは、たとえば写真家の人がトラックを聴いて15枚の写真を撮って、それを発表するのも、その人なりのスペースを確保するということだと思うし。「ピアノで弾いてみた」とか「ギターで弾いてみた」とかでもいいし、踊ってみたとか、短い映像をつけてみたとか、インスト盤を出すことによってそういう可能性がもっと広がるかな?と思ったので。興味ある人は、ぜひともトライしてみてほしいと思います。

──トラックメイカー・KREVAとして、今回の注目ポイントは?

KREVA:今回は、流行ってるEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のサウンドをどう自分なりに取り入れるか?という感じですね。たとえばダブステップや四つ打ちの上でラップしてる自分は、想像してもあんまり面白くないんですよ。音が主役の音楽だから、ラップの入るスペースがない。でもものすごく流行ってるし、自分も聴くし、どうしたら取り入れられるかな?って考えたんですよ。ヒップホップってどん欲に何でも飲み込むものだから。そこで自分なりに、レコードからサンプリングしたビーツで、いわゆるEDMで使っているシンセサイザーが鳴ってる音楽はあんまりないから、それを核にしようというのはありましたね。

──なるほど。

KREVA:音色的な話はそれで、方法論的には、確実に盛り上がるものをやりたいと思ったんですよ。そのために、ほぼコードがないところから急にコードがあるところに開けるものにこだわって、そればかりやりましたね。ワン・ループがずっと続いたところからパッと開けると、絶対来るとわかってるけど盛り上がるじゃないですか?

──ですね。「来た来た!」と。

KREVA:それがほしかったんですよ。それこそEDMが何で盛り上がるかといったら、盛り上がるパターンがあるんですよ。レゲエもそうで、知らない人でも「ここが騒ぐとこなんだ」っていうのがわかるじゃないですか。ロックでも、静かなところから始まって、徐々に上がって行って、ジャンプしながらギターをジャン!と弾くと、わかってるけど盛り上がる。ヒップホップって、それがないなと思ったんですよ。ループの音楽だから。

──盛り上がり曲線は違いますね、確かに。

KREVA:最初からマックスか、ずっとあわあわとしたテンションでクールに行くか。それも好きなんだけど、今回は盛り上がりたい気持ちがあったから、両方合わせてみた。ミニマムなループから開けて行くみたいな、今回はそこにこだわりましたね。

──それって、何かヒントになるようなことがあったんですか。

KREVA:なんだろうな…何年か前にELLEGARDENを見たんですよ。あんまりロックは聴かないけど彼らは好きで、ライヴを見た時に、方法論としてこれはアリだなと思ったんですよ。歌がいい、音がカッコいいというのは絶対条件ですけど、あの爆発力がほしいなと思ったんですよね。ただ自分がやっている音楽でその爆発力を出そうと思っても出るもんじゃないし、かといってバンドでやればいいってもんでもない。何かないかな?とずっと思っていて、これが出てきたって感じですね。

──発明ですね。

KREVA:いや、そんなことはないと思います。音楽としてはあったけど、ヒップホップとしてやってる人がいなかっただけで、だからフレッシュに聴こえるんだと思うんですよ。

──あと、ラップの乗せ方と声の出し方も、今回すごくバラエティ豊かじゃないですか。まるで1曲の中に3~4人のKREVAがいるような。

KREVA:楽にやったらそうなったって感じ。3~4人に聴こえるのは、変な声が聴こえるからじゃないかな。たとえば「Link」っていう曲だったら、「面倒」っていう歌詞があるんですけど、それを「メンドウ!」って、いかにも面倒そうに言ってみるとか。ここはガナる、ここは苦しそうに歌う、ここはヘンな声を出すとか、そういうのはちゃんとコントロールしてやってますね。ミニマムな感じのビーツでラップものぺっとしちゃうと面白くない。フロウだったり、声色だったり、声の表情で変化をつけないと、こっちが面白くないんですよ。で、結果こうなったという感じ。

──音も含めて、今だからできる手法って感じですか。たとえば5年前じゃ無理だったなとか。

KREVA:無理ですね。震災があって、『GO』を出して、やっとオレはこっちに来たという感じ。一回シリアスなことをひたすら歌って…『GO』はけっこうシリアスなアルバムだったから。状況を無視しては絶対作れないし、作るつもりもなかった。それを経て、次はみんなで楽しくなれるようなものにしよう、自分もね、みたいな、そういうことですね。

──そういう開放感はすごく感じます。

KREVA:ただ楽しくやるために、スタジオで酒飲んでとか、そういうことではなく。どうやったら楽しくなるか?をひたすら考えてやる。思いきりふざけるためにちゃんと考えとく。自分で土台をしっかり作った上で遊ぶ。そのための場所を作るという感じですね。あ、“そのためのスペースを作る”っていう感じですね。

──言い直した(笑)。

KREVA:今の、全部含めて使ってほしいですね。言い直すところまで(笑)。

──で、その「スペース」なんですけどね。すごくいい言葉だと思うんですけど、隙間であったり、余裕であったり、宇宙にも通じるいろんな意味があって。

KREVA:歌詞でも言ってるんですけど、脳にスペースができるということを、身をもって感じたんですよ。この歳で水泳を始めたんですけど、水泳をやってる時間は水泳のことしか考えられないんです。徹底的にフォームから教えられて、頭の角度、足の角度、手の挙げ方、息継ぎのタイミング、目線とか、注意することがいっぱいあって、水泳のことしか考えられない。頭の中が水泳で埋まって、音楽を忘れられる。そうすると、また音楽に戻った時に脳にスペースができて、そこから新しい風が入ってきて、新しい考えが生まれて歌詞がするっと書けたり、いい曲ができたり、そういうことが何度もあったんですよ。

──ああ~、それはすごく面白いです。

KREVA:でもそれを、「運動するといいよ」って、ひとことで言ったら面白くないから、アルバム全体で言おうと思った。それが『SPACE』にしたきっかけですね。歌詞でも言ってますけど、何かを針の穴ぐらいに突き詰めたその先には無限の広がりがあると思ってるから、小さなスペースの向こうに宇宙のスペースがあるということも言えてるんじゃないかなと。

──ちなみになぜ水泳を?

KREVA:トレーニングの一貫ですね。腰が悪いから、それを直しつつトレーニングしようということでジムに行ってたんですよ。そのジムにはプールがあって、自分は水泳に苦手意識があったから、トライしてみたんですよね。で、ちゃんと習ってやると、どんどん上達するんですよ。この歳でまだこんなに伸びしろがあることって、なかなか見つけられないし、すごくいいチョイスだったなと思います。ずっとスタジオで音を聴いてるけど、水の中に耳栓して入っていると音がほぼ聴こえないから、それも良かったのかなという気がしてますね。そうやって何か夢中になることがあると、そのあと脳にスペースが生まれるような気がする。そういうものをみんな、自分から見つけに行くといいんじゃないかなと思います。

──役立つ言葉です。

KREVA:それともうひとつ言いたかったのは、誰もがみんな常にいっぱいいっぱいなわけじゃなく、「やることねぇな」っていう時もあったわけじゃないですか。人生振り返ると。それと、東京にいるといっぱいいっぱい感があるけど、むしろ東京以外に住んでる人が多いわけで、そこで「何もねぇな」と思っている人には、このアルバムが、スペースを埋めるフィラーになるものだと思っているんですけどね。それも歌詞で言ってますけど。この音楽が、一回頭の中をいっぱいにするものだとして、聴き終わった時にそのスペースに何があるの?という感じですね。

──いいアルバムができて、3月からツアーも始まります。2013年の目標は?

KREVA:すでにこのアルバムが2013年のベストアルバムだと言ってくれる人がいて、まだ1月なのに。ありがたいなと思うんですけど、1月に出たアルバムが年間ベストに入ることってまずないから、年末ぐらいにもう1枚出してやろうかなと思ってますけどね。2枚出したら、「今年もう1枚出てたよな」って思い出して、こっちが1位みたいな(笑)。2枚目は楽な感じで作って、『SPACE』が上位に来る。

──期待してます。もし出なくても文句は言わないので(笑)。

KREVA:あと、6月から(ソロデビュー)10年目に入るから、10周年(2014年)に向けて、さらにもう一回り成長したいですね。だから2013年は「10年目です」って、自分から言わないようにしている。2014年の10周年を派手に迎えるために、しっかりやりたいと思います。

──ライヴ、楽しみにしてます。水泳で鍛えた身体を見に行きますよ。

KREVA:水泳帽かぶって出てくるかもしれない。耳栓して、聴こえねぇよ!って(笑)。

『SPACE Instrumentals』
2013年2月20日(水)/ PONY CANYON
¥1,892(tax in)/PCCA-06000

『SPACE』
2013年2月27日(水)
完全限定生産盤(6,908セット限定)【スペシャルBOX+CD+DVD+オリジナル壁掛け時計】¥6,908(tax in)/PCCA-06908
初回限定盤【CD+DVD】¥3,300(tax in)/PCCA-06909
通常盤【CD only】¥2,800(tax in)/PCCA-06910

『908 FESTIVAL』
2013年3月20日(水)
Blu-ray ¥5,800(tax in) / PCXP-51908
DVD ¥4,800(tax in) / PCBP-57908

<KREVA CONCERT 2013「SPACE TOUR」>
3/29(金)埼玉三郷市文化会館 大ホール / ディスクガレージ 050-5533-0888
3/30(土)栃木栃木県総合文化センター / ディスクガレージ 050-5533-0888
4/05(金)鹿児島 鹿児島市民文化ホール 第二 / キョードー西日本 092-714-0159
4/07(日)佐賀鳥栖市民文化会館 / キョードー西日本 092-714-0159
4/13(土)北海道 札幌市民ホール / WESS 011-614-9999
4/20(土)兵庫神戸国際会館こくさいホール / 夢番地大阪 06-6341-3525
4/21(日)愛知日本特殊陶業市民会館フォレストホール(名古屋市民会館大ホール) / サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
4/23(火)神奈川 神奈川県民ホール 大ホール / ディスクガレージ 050-5533-0888
4/27(土)香川サンポートホール高松 / デューク高松 087-822-2520
4/29(月・祝)静岡 静岡市民文化会館 大ホール / サンデーフォークプロモーション 054-284-9999
5/03(金・祝)新潟 新潟県民会館 / キョードー北陸 025-245-5100
5/05(日・祝)青森 青森市民ホール / キョードー東北 022-217-7788
5/06(月・休)宮城 仙台サンプラザホール / キョードー東北 022-217-7788
5/11(土)大阪オリックス劇場 / 夢番地大阪 06-6341-3525
5/12(日)大阪オリックス劇場 / 夢番地大阪 06-6341-3525
5/25(土)東京東京国際フォーラム ホールA / ディスクガレージ 050-5533-0888
5/26(日)東京東京国際フォーラム ホールA / ディスクガレージ 050-5533-0888
6/01(土)沖縄ナムラホール / PMエージェンシー 098-898-1331
6/11(火)石川金沢エイトホール / キョードー北陸 025-245-5100
6/13(木)長野長野CLUB JUNK BOX / キョードー北陸 025-245-5100
6/15(土)広島上野学園ホール / 夢番地広島 082-249-3571
6/16(日)福岡福岡サンパレス / キョードー西日本 092-714-0159

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