【BARKS編集部レビュー】BOSS、新技術MDP搭載の新世代エフェクター3機種/空間系「TE-2」・歪み系「DA-2」・ピッチ系「MO-2」

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BOSSのエフェクターやローランドのアンプといえば、楽器やアンプの材質や回路の物理的な特性をモデリングするCOSM技術が有名だが、今度はMDPと呼ばれる同社独自の新技術を搭載したエフェクターが登場した。MDPとはMulti-Dimensional Processingの略称。入力信号を様々な角度から解析して各要素に分解し、それぞれの要素に適した多次元的なエフェクト処理を同時進行で行ない、入力信号に応じて動的に変化させることも可能になっているという。レベルや音程など一つの要素を解析して処理を行なうエフェクターはこれまでにもあったが、MDPでは複数要素の解析を行なって処理する点が新しい。さらに入力信号の変化に対応して、それらのエフェクトのかかり方をリアルタイムに変化させることが可能になっているというわけだ。

MDP搭載エフェクターとして今回新たに登場したのは、“テラ・エコー”こと「TE-2」、“アダプティブ・ディストーション”の「DA-2」、そして“マルチ・オーバートーン”の「MO-2」の3機種だ。「TE-2」は、ディレイともリバーブとも異なる広がりを生み出す空間系エフェクトで、ユニークな残響音が特徴。「DA-2」は、バッキングからソロ演奏までセッティングを変えなくても理想的な歪みを得られるディストーションで、強く歪んでいても音の分離がよく明瞭な音が得られる。「MO-2」は原音に倍音を付け足し、厚みと広がりを得られるピッチ系エフェクターだ。今回はこれらの3機種を試してみた。

【幻想的なエコーを生み出す空間系“テラ・エコー”「TE-2」】

まず試したのは“テラ・エコー”と名付けられた新しい残響エフェクトの「TE-2」だ。1977年のOD-1に始まったBOSSブランドのコンパクト・ペダル・エフェクター、その記念すべき100号機となったのがこれだ。ルックスはデジタルディレイのDD-7にも似たメタリックなホワイトだが、つまみのある部分はシャンパンゴールドのパネルになっていて、より高級感が感じられる。つまみは、エフェクト音の音量を調整するE.LEVEL(エフェクト・レベル)、エフェクト音の明るさを調整するTONE(トーン)、エフェクトの減衰の長さを決めるFEEDBACK(フィードバック)、そしてエフェクト音の長さを決めるS-TIME(スプレッド・タイム)の4つ。ではさっそくギターをつないで弾いてみることにしよう。

“テラ・エコー”とはいったいどんな残響音が出るのか、ワクワクしながら弾いてみると、謳い文句のとおり確かにディレイともリバーブともちょっと違う。幻想的で不思議なエフェクト音だ。第一印象は深いエコーという感じなのだが、エコー音をよく聴くと、シンセで言うレゾナンスでクセを付けたような音になっている。“ジャンッ”と弾くと、“モワン”とか“ミュワン”といったうねるようなディレイ音が返ってくるのだ。大きなホールのようなリバーブ音も感じられ、しかも減衰するにしたがってフィルターが閉じていくようなトーンの変化もある。全体の雰囲気としては、トンネルや大きな教会のように響きやすく、しかもクセのある場所のエコーをたっぷりかけたような感じなのだが、E.LEVELをかなり上げても、原音がまったく埋もれることはない。アタックはもちろん、原音の音の長さも明瞭にわかるところがスゴい。これがMDPの効果なのだろう。ピッキングのニュアンスにもよく反応していて、強く弾くと、よりエッジの効いた強力なエコーが返ってくる。普通が“ミュワン”だとすると、強く弾いたときのエコー音は“ギュワン”とか“ジュワン”といった感じだし、弱く弾けばおとなしい感じのエフェクトになる。このエフェクト音の基本的なトーンはTONEつまみで変えられる。

■ニュアンスをコントロールできるユニークなエコー、ホールド機能も搭載


▲「TE-2」サンプル・セッティング
TE-2の特徴的な残響のニュアンスを大きく変えられるのが、FEEDBACKとS-TIMEのつまみだ。FEEBACKは一般的なディレイのフィードバックと同様に、エコー音が返ってくる回数を変えるもの。小さい設定、すなわちつまみを左寄りに設定しておくとスッキリしたエフェクトになるし、大きく設定すると深いエコーになる。右いっぱいにすると“ジュワジュワ…”と発振して、最後には混沌としたノイズになるが、そこでペダルを踏んでオフにすると再び“…ジュワジュワ”とテラ・エコーが戻ってきて消える。これは曲のエンディングなどで特殊な効果として使えるかもしれない。そしてS-TIMEは、ディレイタイムやリバーブタイムではなくて、エフェクト音1回分の長さを決めるもの。文字で伝えるのは難しいのだが、短くしておくと“ジュワッ”だが、長くしておくと“ジジジューゥアアー”という感じ。それがFEEDBACKで決めた回数だけ返ってくるというわけだ。長く設定するほど、エコー音のトーンが徐々に変化していくのがよく聴こえるようになるから、このエフェクターのユニークなトーンを目立たせたいなら長めの設定もいいだろう。逆に短めの設定だと、エコーというよりはアンビエンスという感じの効果になる。

TE-2にはもうひとつ、ホールド機能がある。ペダルスイッチを踏み続けると、インジケータが点滅してホールドモードになり、その時のエフェクト音が持続して鳴り続ける。TE-2のユニークなエコー音に乗せて演奏を重ねることができるわけだ。コードをホールドしてソロを弾けば、幻想的な雰囲気に包まれる。これはライヴで一人パフォーマンスする際の飛び道具になりそうだ。

ちなみにTE-2はステレオ仕様になっている。ステレオで出力すれば当然ながら音の広がりが増すし、残響が立体的になる。軽くかけるだけでもかなりの効果を得られるだろう。出力だけでなく入力も2系統あるので、ステレオ信号にかけることもできる。

<TE-2 主な仕様>
規定入力レベル:-20dBu
入力インピーダンス:1MΩ
規定出力レベル:-20dBu
出力インピーダンス:1kΩ
推奨負荷インピーダンス:10kΩ以上
コントロール:ペダル・スイッチ、E. LEVELつまみ、TONEつまみ、FEEDBACKつまみ、S-TIME(スプレッド・タイム)つまみ
インジケーター:CHECKインジケーター(ホールド表示、バッテリー・チェック兼用)
接続端子:INPUT-A(MONO)端子、INPUT-B端子、OUTPUT-A(MONO)端子、OUTPUT-B端子、ACアダプター端子(DC9V)
電源:アルカリ電池(9V形)またはマンガン電池(9V形)、ACアダプター(別売)
消費電流:53mA
連続使用時の電池の寿命(使用状態によって異なります):アルカリ電池=約6時間、マンガン電池=約1.5時間
付属品:保証書、取扱説明書、チラシ(安全上のご注意、使用上のご注意、サービスの窓口)、アルカリ電池(9V形);本体に接続済み
別売品:ACアダプター(PSA-100)
外形寸法 / 質量:73mm(W)×129mm(D)×59mm(H)、質量 435g

【どのポジションでも最適な歪みを作れる“アダプティブ・ディストーション”「DA-2」】

「DA-2」は、“アダプティブ・ディストーション”と名付けられた新しいディストーションだ。これにもMDP技術が搭載されていて、低域から高域まで、どのポジションでも最適な歪みを作ることができるのが、これまでの歪み系エフェクターとは大きく異なるところだ。オーバードライブ、クランチといったナチュラルな歪みから、過激なハイゲインサウンドまで、様々な歪みを作り出せるのも利用価値が高そうだ。

BOSSの歪み系ディストーション・ペダルというと、DS-1やDS-2、MD-2などのオレンジ系のカラーを想像する人も多いだろうが、このDA-2もオレンジ系。とはいえその色はDS-1のようなソリッドなオレンジではなくて、若干渋め、そしてラメを散らしたようなギラついたメタリックな仕上げになっている。コントロールは4つで、オンのときの音量を決めるLEVEL(レベル)、トーンがLOWとHIGHの2つ、それと歪み具合を決めるA-DIST(アダプティブ・ディストーション)。シンプルなディストーションだから使い方もシンプル。LEVELとA-DISTで歪み具合とレベルを決め、2つのトーンで音色を微調整すればよい。

と、軽い気持ちで弾き始めたのだが、A-DISTつまみで歪み具合を色々と変えてみると、本当に幅広い歪みを出せるのに驚いた。A-DISTつまみを左いっぱいから少しずつ上げていくと、最初はあまり歪まず、時計で言う9時くらいの位置で軽めのオーバードライブ、11時から12時くらいでクランチ系のサウンドになる。このあたりだと本当にナチュラルな軽い歪みで、倍音にまとまりがあるサウンドはコンボ・アンプのような雰囲気。低音弦の枯れた味わいも心地よい。ところが、A-DISTを12時から右に回すと様相は一変して、激しく歪むようになる。12時から2時くらいは強めのディストーションという感じで、かなりザクザクに歪む。コードでもリフでも、単音のソロでも使える音だ。そしてそこから先はモダンなハイゲイン、過激な歪みになってくる。歪みは強いけれど、アタックはつぶれすぎず、サスティンにはコシがあって伸びやか、すごく“立つ”音だ。

■つぶれず明瞭な音、リードもリフも同じ設定でOK


▲「DA-2」サンプル・セッティング
この12時から先、つまりディストーションからハイゲイン系の、強めに歪ませたときのサウンドが、MDP技術を搭載したDA-2ならではの音だと言えるだろう。試しに従来タイプの人気ディストーションであるDS-1も使ってみたのだが、並べて聴き比べてみるとDS-1は確かにエフェクターでつぶしたという感じがする。それに比べ、DA-2はチューブ・アンプのように自然な歪みだし、もっとナチュラルな軽い歪みも作り出せる。また、DS-1では強く歪ませると全体にジャーッとつぶれてしまう(もちろんそのつぶれ方、塊のような力強さがDS-1のよいところでもある)。これに対し、DA-2は強力に歪ませても音がつぶれたりコードが濁ったりせず、分離がよい。たとえば9thのような複雑なコードを弾いても、構成音の一つ一つがよく聴こえてくるのだ。

さらに、前述のとおり、低域から高域まですべての音域に最適な歪みを作り出していることもよくわかる。たとえば従来のディストーションでは、低音弦を中心としたリフに合うようタイトな歪みを作ったりトーンで高音を上げたりすると、ソロで高音域を使ったときに音ヤセが気になることがある。逆にソロ用の力強い歪みの設定では、リフやコードを弾くと音がつぶれてしまうこともある。しかしこのDA-2ではそんなことはない。一つの設定で、ソロもリフもコードも、すべてこなすことができるのだ。とくにライヴでは、頻繁にエフェクトを切り替えたりペダルを踏んだりする必要がなく、演奏に集中できるし、なにより心地よいと思う設定ですべて弾き続けられるのは気分がいい。

もうひとつ、DA-2を使っていて面白かったのは、クランチでもディストーションでもハイゲインでも、ピッキングのニュアンスに対する反応がとてもいいことだ。弾く強さに応じて歪み方も微妙に変化するから、上手いプレイヤーならとても表情豊かな演奏ができるに違いない。

<DA-2 主な仕様>
規定入力レベル:-20dBu
入力インピーダンス:1MΩ
規定出力レベル:-20dBu
出力インピーダンス:1kΩ
推奨負荷インピーダンス:10kΩ以上
コントロール:ペダル・スイッチ、LEVELつまみ、LOWつまみ、HIGHつまみ、A-DIST(アダプティブ・ディストーション)つまみ
インジケーター:CHECKインジケーター(バッテリー・チェック兼用)
接続端子:INPUT端子、OUTPUT端子、ACアダプター端子(DC9V)
電源:アルカリ電池(9V形)またはマンガン電池(9V形)、ACアダプター(別売)
消費電流:45mA
連続使用時の電池の寿命(使用状態によって異なります):アルカリ電池=約9時間、マンガン電池=約2.5時間
付属品:保証書、取扱説明書、チラシ(安全上のご注意、使用上のご注意、サービスの窓口)、アルカリ電池(9V形);本体に接続済み
別売品:ACアダプター(PSA-100)
外形寸法 / 質量:73mm(W)×129mm(D)×59mm(H)、質量 420g

【オクターブ上下の音を追加する“マルチ・オーバートーン”「MO-2」】

3つ目は“マルチ・オーバートーン”のMO-2。いわゆるピッチ系のエフェクターだが、原音のピッチを変えるようなものではなく、原音に倍音を付け足すことで厚みと広がりを得られるエフェクターだ。というと、コーラスっぽいエフェクターをイメージするかもしれないが、それとはちょっと違う。MO-2は基本的には1オクターブ上、1オクターブ下の音をデチューン(微妙にピッチをずらすこと)しながら付け足すことで、今までのギターとは異なる響きを生み出すエフェクターなのだ。

これもコントロールは4つで、左からBALANCE(バランス)、TONE(トーン)、DETUNE(デチューン)、MODE(モード)となっている。BALANCEは原音とエフェクト音の音量バランスの調整で、原音のみ、またはエフェクト音のみに設定することも可能だ。TONEはエフェクト音のトーン調整で、右に回すほど明るく硬いサウンドになる。DETUNEはエフェクト音のピッチを微妙にずらすもので、右に回すほどピッチのずれが大きくなり、音の揺れが大きくなる。そしてMODEで3つのモードを切り替え、付け足す倍音の種類を決める。ちなみに出力はステレオにも対応している。

■12弦はもちろん、ハモンドオルガンのような音も作れる


▲「MO-2」サンプル・セッティング
まずはモード1で弾いてみよう。最初にBALANCEを右いっぱい、エフェクト音のみにして弾いてみると、このモードでは1オクターブ上の倍音が付け足されることがわかる。BALANCEを徐々に上げながら弾いてみると、予想どおりピッチシフターやオクターバーなどに似たサウンド。BALANCEを12時くらいまで上げると、アタックは12弦ギターのようなにぎやかな感じになる。同時に、高音弦のサスティンがよく伸びるように聴こえるので、コードを白玉で弾いたときのサスティンは、まるでハモンドオルガンのようにも感じる。DETUNEを上げていくと効果が大きくなるが、あまり右に回すとチューニングのずれが大きくなるので、とくにコードを弾く場合は10時から2時くらいの範囲が適当かもしれない。

モード2は、原音と1オクターブ上の両方が付け足される。最初は、原音ならBALANCEの調整で出せるじゃないか、と思ったのだが、それとはちょっと違うのだ。エフェクト音として出すことで、原音と同じ音程の音にもTONEやDETUNEがかけられる。だから、比較的さわやかな雰囲気のモード1に比べて、さらに厚みと広がりが増してくるのだ。12弦のような使い方もできるし、単音のリードに使うと、パット・メセニーがギターシンセを使ったときのような雰囲気になって面白い。そしてモード3は、さらに1オクターブ下の音も追加される。音の厚みはさらに増して、重みも出てくる。まさに重厚感あるサウンドだ。TONEを大き目(2~4時など)、DETUNEを10時くらいの控え目に設定すると、荘厳な雰囲気の重々しい12弦ギターといった雰囲気になる。逆にTONEを控え目、DETUNEを大き目にすると、より迫力のあるオルガンのようなサウンドも出せる。

MO-2は、他のエフェクターと組み合わせるとさらに面白い。オルガンのような音ということで、すぐに思いつくのは歪み系エフェクト。前述のDA-2と組み合わせて歪んだ音にMO-2をかけてみると、ジョン・ロードのようなチリチリと歪んだハモンド・サウンドにもかなり近づける。「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフを弾いてみると、まるでギターとオルガンが一緒に鳴っているみたいで面白い。さらにフェイザーやロータリーなど、回転スピーカーのエフェクトがあれば完璧だろう。ディレイなどの空間系エフェクトとの相性もよさそうだ。TE-2と組み合わせれば、幻想的な雰囲気はさらに深くなって独特の空気を作り出すことができるだろう。

<MO-2 主な仕様>
規定入力レベル:-20dBu
入力インピーダンス:1MΩ
規定出力レベル:-20dBu
出力インピーダンス:1kΩ
推奨負荷インピーダンス:10kΩ以上
コントロール:ペダル・スイッチ、BALANCEつまみ、TONEつまみ、DETUNEつまみ、MODEつまみ
インジケーター:CHECKインジケーター(バッテリー・チェック兼用)
接続端子:INPUT端子、OUTPUT-A(MONO)端子、OUTPUT-B端子、ACアダプター端子(DC9V)
電源:アルカリ電池(9V形)またはマンガン電池(9V形)、ACアダプター(別売)
消費電流:40mA
連続使用時の電池の寿命(使用状態によって異なります):アルカリ電池=約10時間、マンガン電池=約3時間
付属品:保証書、取扱説明書、チラシ(安全上のご注意、使用上のご注意、サービスの窓口)、アルカリ電池(9V形);本体に接続済み
別売品:ACアダプター(PSA-100)
外形寸法 / 質量:73mm(W)×129mm(D)×59mm(H)、質量 430g

■新たな可能性を生み出すMDP搭載の新世代エフェクター

TE-2とMO-2は、今までにないユニークな響きを生み出せるし、DA-2は、同じ設定でソロにもリフにも対応し、強く歪ませても音がつぶれないなど、従来のディストーションとは一線を画している。いずれもこれまでにない特徴を備えているわけで、いわば新世代のエフェクターと言える。これらMDP搭載エフェクターは、音がユニークなだけではなく、新しい表現を生み出す可能性も秘めているのだ。しかもそれが、大掛かりなラックシステムなどではなく、簡単に使えるコンパクト・ペダルに最初に搭載されたところに大きな意義があると言えるだろう。

なお、今回紹介した3製品をはじめ、BOSSのコンパクト・ペダル・エフェクターは、BOSSの公式サイト内の「What's EFFECTOR?」ページ(http://www.roland.co.jp/BOSS/what/)で各製品を実際に演奏したムービーが掲載されている。ぜひ自分の耳でその音を確かめてほしい。

text by BARKS編集部 森本

◆TE-2
価格:オープン(予想実売価格 16,000円前後)
発売:2月16日◆DA-2
価格:オープン(予想実売価格 13,000円前後)
発売:2月16日◆MO-2
価格:オープン(予想実売価格 14,000円前後)
発売:2月16日
◆「TE-2」製品詳細ページ
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