【インタビュー】ハンサムケンヤ、他に類を見ない個性と世界観の3.5次元系アーティストがGAINAXのジャケットワークで登場

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ハンサムケンヤという名前のインパクトも相当だが、彼が生み出す音楽も名前同様に独特だ。アマチュア時代の楽曲「これくらいで歌う」のミュージックビデオが数々の映像コンペティションで受賞を果たしたり、「知る人ぞ知る」という感じでジワジワと彼の名前も知れ渡るようになってきた今、メジャーから二枚目のミニアルバム『ブラックフレーム』がリリースされる。このジャケットワークは、あのアニメーション制作会社GAINAXが担当。また「テヌート」のミュージックビデオは椙本晃佑監督が担当するなど、ビジュアル面でも話題になりそうな作品となる。

◆ハンサムケンヤ~拡大画像~

■僕の歌詞は結局何も結論を付けていないんです
■モヤモヤしたままで終わって何も答えは出ていない


――曲を聴いてて、ルーツは何なんだろうという疑問が浮かびました。

ハンサムケンヤ(以下、ケンヤ):何か一つのアーティストをのめりこんで聴いたことってあまりないんですよ。昔から聴き続けているのはビートルズぐらいですかね。あとはクラスで話題になっている流行の音楽をかいつまんで聴いてましたね。

――音を聴いてて、それをすごく感じました。雑食的に色んなものを吸収してきたのかなぁと。だから、ルーツがわからないなと思ったんです。

ケンヤ:あぁ、なるほど。いつも好きなアーティストは誰?って聞かれたときに困ることが多いんです。ビートルズ以外にも、好きなアーティストや曲はたくさんあるんですけど、本気で追っかけていたり聴きこんだりしているかと言われるとそうでも無いので、胸を張ってこのアーティストが大好き!って言えないんです。

――音を聴いていて、もしかしてケンヤくんはクリエイター先行なのかなと思ったんです。誰かに憧れて音楽を始めるとかではなく、音楽を作るほうに興味がある人なのかなと。

ケンヤ:そうかもしれないです。ミュージシャンには色んな仕事があると思うんですが、例えばこうやって取材を受けたり、ミュージックビデオの撮影をしたり、ライヴしたり、レコーディングしたり、曲作ったり。その中でもダントツに曲を作っているのが楽しいんです。

――最初はピアノを習ってたんですよね。

ケンヤ:そうです。でも当時はイヤイヤ習ってたので。習字や公文と同じような位置でピアノがあるっていう感じで。中学でビートルズと出会ったあとは、ギターとかベースを弾き始めて。そのときにギターやベースと同じような趣味としてピアノがまた浮上してきたんです。それからはギターで曲を作ったり、ベースで曲を作ったり、ピアノで曲を作ったりするようになってきたっていう感じですね。

――楽器に目覚めてから曲作りをはじめたの?

ケンヤ:そうですね。楽器が弾けるようになってからは、それまでなんとなく聴いてたビートルズも、曲はどうなってるのかっていうほうに興味が湧いてきて。もちろん、ライヴで演奏したりもしてたんですが、楽譜を買ってきて、自分で全部のパートをカバーして、マルチトラックレコーダーで録音してみて初めてわかるビートルズの曲の構造もあったりして。どんどん曲作りに対して興味深くなってったんですよね。そういう意味でもビートルズの曲の影響って大きいです。それが高校くらい。

――歌を唄い始めたのは?

ケンヤ:曲作りや作詞はたくさんやってたんですが、自分が人前で歌うってことはほとんどなかったんです。実家に住んでたんで、実家で大声で歌うわけにはいかないし。カラオケにもそんなに行かなかったし。だから、歌に関してはずっと無頓着でしたね。

――その状態からパフォーマーになっていく過程は?

ケンヤ:単純に唄う人がいなかったから自分が唄うしかなかったっていうのもあります。歌詞も自分の主観でしか書いてないんで、僕が歌わないと変な感じになる。あと、唄いたいっていう気持ちももちろんあるんで。

――ケンヤくんの場合、何かを伝えたいから歌詞を書くというのともまた少し違う気がしますけど、どうですか?

ケンヤ:歌詞を書くのは現状としては、ストレス発散ですね。それしかないです。

――脳の中のグチャっとしたところまで描きますよね。整理整頓されていない思考のモヤモヤしているところまでも語っている歌詞が多い。

ケンヤ:人って、わかりやすいものが好きだったりしますよね。自分がモヤモヤしていたり、悩みを抱えていたら、決め付けてしまいたがって楽になりたがる。確かに僕の歌詞は、結局、何も決定付けていない。モヤモヤしたままで終わって、何も答えは出ていない。

――聴いていると、そういうモヤモヤしたものだからこそ感じるものがありますよね。そこから先の答えは聴く人の自由。

ケンヤ:自分で自分の歌詞を見直したら、何も答えが出ていないモヤモヤ感がそのまま描かれてるけど、そのモヤモヤした自分の思考の道筋みたいなものが見えてて、僕自身そういうものにたまに救われるんです。だから、その歌詞を聴いて、「感じるものがある」って言われたり、自分なりの答えを出してくれると嬉しいなって思うんですよ。100人いたら100通りの解釈ができるような曲がかけたらいいなと思います。

――新作の『ブラックフレーム』に収録されている「テヌート」には、恋をした自分の負の要素までも正直に出していて。

ケンヤ:これは初めて作ったラブソングなんですよ。25年生きてきて。でも、ラブソングに聴こえないって言われたりもします。

――ちょっと屈折してますよね(笑)。

ケンヤ:僕は人の恋愛の歌を聴いても、何の興味も抱けなかったんです。だから、自分の恋愛の歌を作っても誰の興味も引かないだろうって決め付けていたんです。でも、友達と飲みに行っても、仕事の話か恋愛の話。それほど恋愛って大きい存在なんだなぁと。一回作ってみるかと思って。どうせ作るなら生っぽい歌を意識したんですが、書いてて恥ずかしいし、照れ隠し的な部分が出てきてしまうんですよね。最初はスローバラードみたいな感じで作ってたんですが、みんなでスタジオで音を出したらロックチューンでいこうということになり。そうやって完成していった曲なんです。

――へぇ~。ちなみに「テヌート」って音楽用語ですよね。初めてのラブソングになんでこのタイトルをつけたの?

ケンヤ:一音一音保つって意味ですよね。最初、作ったときは、そういうイメージで曲を作ったんです。でも、ロックチューンになってからはその意味は少なくなってしまったんですけど。単純に意味を除いても、「テヌート」っていう言葉の響きや「テヌート」っていう言葉を音的に捕らえたらイメージが湧くじゃないですか。保って音を鳴らすという意味を知らない人でも、ラブソングで「テヌート」ってなんとなく柔らかいイメージっていうか(笑)。そういうイメージを大切にしたいなって思って、そのままタイトルにしちゃったんです。

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