【インタビュー】ジャンク フジヤマ、「10年、20年と残っていく音楽を作って自分自身の活動を続けていきたい。明日終わって良いなんてちっとも思っていないんです」

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音楽を聴きながら、雄大な空へ舞い上がっていくようなスケール感……。ジャンク フジヤマという人間が奏でるあまりにもしなやかな音色は、音楽を聴いている瞬間ぐらいは、世知辛い日常から解き放たれて自由になろうよというメッセージが伝わってくるかのよう。シングル「あの空のむこうがわへ」「PROUD/EGAO」「シェダル」に続いてついに完成した『JUNK SPACE』。その12編の物語で描かれる、ジャンク フジヤマ流新時代の“シティ・ポップス”の背景を様々な角度からひもといてみよう。

■音楽の対話がちゃんとあった中ででき上がった曲に
■僕が歌で命を吹き込んでいくという作業だった

──メジャーデビューから現在までに作ってきた曲がこうやってアルバムとして並んだのを見ると、どんな思いですか?

ジャンク フジヤマ(以下、ジャンク):そうですね……。例えば、楽曲作りの面では、僕の人間性を分かってる人が曲を書いてるんですよね。自分で書いた曲はもちろんですが、ソング・ライティングで関わってくれたのは僕の人間性を分かってる人なんで、どの曲もジャンク フジヤマらしい匂いがするというか。音楽の対話がちゃんとあった中ででき上がった曲に、僕が歌で命を吹き込んでいくという作業だったからこそ、一つひとつの楽曲に“ポップス”だけで語れない何か裏打ちされるものが感じられるんじゃないかなって。

──“ポップス”へのこだわりは、これまでのインタビューでもたっぷり話していただきました。と同時に、ジャンクさんの色々な思いを反映させた曲達である、と。

ジャンク:だと思います。僕は、これまでの人生を勘で生きてきたような人間なので(笑)、「こいつはここでこんな曲を書いて欲しいと思ってるんだろうな」っていう勘を感じ取ってくれたというか。例えば、「あの空の向こうがわへ」なんかは、歌詞の部分に現れていますが、自分はこれから何かがつかめるんじゃないかっていう……。「ここから自分は始まっていくんだ!」っていう前向きな意志みたいなものが込められている曲が実際にメジャー・デビューシングルにもなって、CMのタイアップ(東芝エレベーターCM「東京スカイツリー開業」篇)もいただけて。で、そこへ繋がったのはやっぱり、自分自身のイメージが曲にしっかり反映させられたからじゃないかと思うんですよね。メジャー・デビューが決まったときにも、自分はこれからどうなるんだろうっていう不安がまったくなかったかと言ったら嘘になりますが、この1枚目を出したあとにも2枚目「PROUD/EGAO」、3枚目「シェダル」とすぐ続いていくっていうサイクルでやっていこうっていうのが決まっていましたから。その土台をスタッフみんなが作ってくれているので、自分はあとは歩むだけっていう。ドドドドドドッ! と(笑)。そういう前向きなイメージは反映されていると思いますね。

──そういうジャンクさんの作品の前向きなイメージを、永井博さん(大瀧詠一「A LONG VACATION」のジャケット等を手掛けた名イラストレーター)の手で爽やかに描いたアートワークも話題になっていますね。これまでの作品のイラストは続き絵で、アルバムのジャケットで、リゾート地の空港からプールサイドへ行き着くストーリーを描いた最終編として描いているっていう。

ジャンク:「あの空のむこうがわへ」は、自分自身の中で“飛行機”とか、“旅行”のイメージがあって。夏の沖縄とかシンガポールに行こうかな、そんなイメージを曲にしたら面白いんじゃないかな、みたいな感じもあるし(笑)。で、それは、僕の中では“高い”というイメージとも繋がるようなものでもあって。“高さ”といえばスカイツリーもまさにですし、「シェダル」は宇宙まで行っちゃってますから(笑)。要は、空を越えて何かを眺めるっていう……。僕らは普段、地面で生きているわけですから、空の世界を長時間体験することはできないわけですよね。それを想像する美しさ、というか。空と同じ高さにいる自分、それは飛行機に乗らなきゃ体感することは基本的には無理なわけで。でも、もし、自分の身体一貫でそれができて下を見下ろしたら、どんな思いがするのかなっていうような想像力ですよね。「この突き抜ける感じが良い」とか、逆に「この混沌とした部分が良い」とか、メロディからサウンドから色んな想像力を働かされる楽曲ばかりだと思います。

──空に舞い上がるようなイメージの爽やかな曲が印象的な中で、“混沌”っていうイメージが当てはまりそうなのは「Wandering Again」だと思います。こういうディープな雰囲気もジャンクさんの世界観の中にはあるんだなっていうんが見えたのも、今回のアルバムは新鮮でした。

ジャンク:こういう世界観も、僕の中には普通にありますよ。僕は元々東京生まれの東京育ちで、基本的には都会にしかいないので。だから、その都会の空気感というか、グジャグジャした感じを見てるわけですよね、常日頃。下町なんかはそういうのは全然ないですが、例えば新宿とか池袋とかあの辺を夜中ウロチョロしたりすると、グチャッとしてるじゃないですか(笑)。

──(取材場所の窓から見える景色を指して)色んな建物とかネオンが混在してる都会の景色、確かにグチャッとしてると思います(笑)。

ジャンク:(笑)昼間だからまだ良いですけどね。この時間帯はまだ爽やかに映りますけど、真夜中なんかに歩くと本当にグチャッとしてるところがありますからね。ああいうのを見ると、「うーん……」って感じるところもあるし……。ベロッベロに酔っ払って、人生投げ出したような感じでフラフラしてる人がいたりして(笑)。そういう情景みたいなものを切り取って、そこに孤独な都会で生きる男一人っていうイメージがパッと浮かんで書いたんです。

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