陸上自衛隊中央音楽隊による吹奏楽作品『この国は』が心に響くと話題に

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2011年3月11日、未曾有の大震災が発生。全てのものを飲みこんでしまった大津波、見たこともないがれきの山・・・。次々と報じられる信じがたい光景。そんな中、命がけで人命救助する自衛隊の活躍ぶりに日本人の視線は注がれ、これまでに自衛隊に対して持っていたイメージに変化をもたらした。また、前代未聞の福島第一原発の大事故、不況、そして政治の混迷により、日本全体が“国を憂うこころ”に覆い尽くされ、新たな“祖国を想うこころ”が芽生えた。

かつて日本人が戦争を乗り越え、復興を成し遂げてきた歴史の中に、いつも軍楽隊が奏でる音楽はあった。このアルバム『この国は~陸上自衛隊中央音楽隊 吹奏楽作品集』には、そんな復興の象徴でもあり日本の再生を問う楽曲たちに加え、映画「二百三高地」やドラマ「坂の上の雲」の主題歌、震災後に話題となった「あすという日が」などを含む、陸上自衛隊中央音楽隊にしか無し得ない全13曲を収録している。

なかでも「七彩の奥羽国~美しき故郷を護る最後の砦」は札幌大谷大学の田中 賢 音楽部教授による作曲の大作。第1楽章では奥羽地方の豊かな自然に恵まれた静かで温かな家庭を表現した「愛と慈しみの賛歌」。第2章は秋の収穫を終え心待ちにしていた祭りに人々の表情は明るく輝き、自然と一体にだれもがエネルギーを発散する「祭り」。第3楽章では祭りで賑わっている街に侵入者が暴動を起こし攻めてきて街は大混乱。自衛隊が駆けつけ戦闘となり激しい戦闘の末に勝利して平和が戻る「戦いと平和」。以上の3章にわかれたストーリー性のある曲。奇しくも震災に照らし合わせ“震災=侵入者”ととらえることができると話題になっている。

これを聴いた人がたとえば、東日本大震災で「あすという日が」を歌ってなぐさめたと、それは事実として知っているんだけど、同じように日露戦争の時にもいろんな歌を歌って苦しい時を乗り越えた、という事実はあったわけです。それは同じ日本人なんです。同じ線の上にいるんですよね。それは別の国でできた過去のことではない、それは考えなきゃならない。それを考えるきっかけに、この作品がなってもらえばほんとに嬉しいですね
―――武田 晃(中央音楽隊 隊長)

『この国は~陸上自衛隊中央音楽隊 吹奏楽作品集』
2013年2月6日発売
/KICC-1054/¥2,800(tax in)
1. 陸軍分列行進曲(作曲:シャルル・ルルー)
2. 祝典序曲「輝ける勇者たち」<防衛庁・自衛隊50周年記念委嘱曲>(作曲:渡辺俊幸)
3. 行進曲「祖国」<中央音楽隊創隊30周年委嘱作品>(作曲:黛 敏郎)
4. 行進曲「凱旋」<陸上自衛隊創隊50周年記念行進曲>(作曲:堀 滝比呂)
5. 君が代行進曲(作曲:吉本光蔵/編曲:三戸知章)
6. 交響曲第5番「フェニックス」より第4楽章<中央音楽隊創隊50周年委嘱作品>(作曲:ジェイムズ・バーンズ)
7. この国は<自衛隊創隊10周年記念選定歌>
(作詞:大関民雄/作曲:古関裕而/補作詞:西沢 爽/合唱:隊員有志による)
8. 勇者達の夢(陸上自衛隊のために)(作曲:真島俊夫)
9. 防人の詩<映画「二百三高地」主題歌>(作曲:さだまさし/編曲:本澤なおゆき)
10. Stand Alone <ドラマ「坂の上の雲」主題歌>(作曲:久石 譲/編曲:高橋宏樹)
七(なな)彩(いろ)の奥羽(おう)国(こく)~美しき故郷を護る最後の砦<陸上自衛隊東北方面隊創隊50周年記念曲>(作曲:田中 賢)
11. 第1楽章「愛と慈しみの讃歌」
12. 第2楽章「祭り」
13. 第3楽章「戦いと平和」
14. 故郷(作曲:岡野貞一/編曲:真島俊夫)
15. あすという日が(作詞:山本瓔子/作曲・編曲:八木澤教司/合唱:大嶋愛美指揮:石巻好文館高等学校音楽部)

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