1999年に17歳でデビューし、その溢れる感性とギターテクニックで世界を驚かせた木村大。彼がレコード会社を移籍した第一弾『HERO』をリリースする。これは木村大の音楽的な素養を培ったギターヒーローの名曲を選りすぐったトリビュート・アルバムだ。英国三大ギタリストとして名高いエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、そしてジミ・ヘンドリックス、ランディ・ローズ、エドワード・ヴァン・ヘイレンというそうそうたるギタリストの楽曲のほかに、EL&P、スティングなどなど、垂涎の名曲の数々を木村大の研ぎ澄まされた感性で聴かせてくれる。クラシックギタリスト木村大を育て上げたロック。その思いを存分に語ってもらった。

■僕自身がギターヒーローになりたいという気持ちとロックの名曲をクラシックギターで弾きたい気持ちが一致してきた

──前アルバム『INFINITY mugen-DAI』から約3年半ぶりのアルバムリリースとなりますが、制作にあたって構想はありましたか?

木村大(以下、木村):『INFINITY mugen-DAI』をリリースしてから、約1年半くらいかけてアルバムをベースにしたコンサート活動をしていたんです。そこで全国各地で取材を受けたときに、「尊敬できるアーティストは?」とかよく聞かれるんです。普通、音楽やギターを始めるきっかけは、誰々に憧れてコピーをしたという経験が絶対にあると思うんですけど、僕の場合、父親がギターの先生だったので。

──誰かに憧れたからという入り口ではなかったという?

木村:そう。そこで僕にとって良いと思える音楽って何なのかって改めて考えて。クラシックやポップス、ロックから自分が尊敬できるアーティストが、やっぱりいろいろと溢れ出てきたんです。それを自分のギター1本で、ひとつのカタチにしたいという想いが徐々に強くなって、トリビュート・アルバムを作るという発想に至りました。

──改めて、自分のヒーローを意識するなかで再発見するものもありましたか?

木村:これから僕はどういう風にギターを弾いていきたいんだって考えると、僕自身もギターヒーローになりたいという気持ちと、僕のなかで輝いているアーティストの作品をクラシックギターで弾くっていうところが、どんどん一致してきたんですよね。

──5歳の頃からクラシックギターや音楽理論を学ばれていたそうですが、それと並行して、ご自身の趣味としてよく聴いていた音楽はどんなものでした?

木村:実は中学校のときに聴いていた音楽は全部ロック。それこそメタリカからロックに入ったんです。『KILL'EM ALL』を聴いて、当時の僕はぶっ飛んでいたという(笑)。それから、イングヴェイ・マルムスティーンやポール・ギルバート、クリス・インペリテリとか、すごいスピードで弾く人たちを聴くようになって、どんどんテクニック志向の方向へ。でも自分のなかでロックの世界がわかってくると、やっぱり1970年代のツェッペリンとかディープパープルとか原点と言われるものを聴くようになるという、その典型的パターンみたいなキッズでした。

──そうなると、エレキギターは?

木村:兄貴がエレキを弾いていたので、彼がいない間にこっそり弾いたりしてたんですが、スチール弦はガット弦とグリップ感が違うという印象があって、僕はやっぱりガットの人間だと。左手の繊細さでいえば、エレキギターのほうが細やかさがあると思うんです。ガットギターの場合、力強く弦を押さえても弦が揺れることがないんですが、僕がエレキギターを弾くとウネウネして思うような音にならない。自分のやりたいことが完全にガット弦のプレイなんです。だから、いくらそれをエレキギターのプレイに持ち込んでも、音がシャープだのフラットだのしちゃう(笑)。

──それは幼少期から耳が鍛えられて、中学生にして成熟していたからこその話でしょうね。

木村:カッコよく言えばそうなのかもしれませんが、当時はただただショックを受けたっていうかね。挙げ句の果てに、ガットギターによる指弾きで、速弾きとか始めちゃたという(笑)。イングヴェイのフレーズをクラシックギターで指弾きしたりして、当時は日々のトレーニングに採り入れてましたね。

──現在の木村さんのプレイの源流を感じさせるような話ですね。たとえば、ヘヴィメタルはもちろん、ポップスを聴いてもギターに耳がいくようなキッズだったんですか?

木村:そうです。僕はJポップでもロックでも、歌詞が一切聴こえない人で。やっぱりどんな曲を聴いても、ギターをどういうふうに弾いているかとか、ソロはどうなったとか、そういう耳でしか聴いてないんです。普通は歌詞が聴こえると思うんですが、僕は歌詞なんか全然わからないんですよ、ギターしか聴こえていないっていう(笑)。

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