IGGY POPの名曲「RAW POWER」の名を背負ったイベントが福岡・BEAT STATIONで開催された。今回はギターウルフのニューアルバム『野獣バイブレーター』のレコ発も兼ねており、出演者もかなりの強者揃い。ギターウルフ、少年ナイフ、KING BROTHERS! 日本を超えて世界各地でライヴ経験を持つ、最強で最狂のジャパニーズ・ロックンローラー3組が舞台を越えて凄まじいパフォーマンスを魅せてくれるとあり、会場には外国人の観客が多く見受けられ、開演前から沸々と熱気を上げていた。

◆<RAW POWER>@福岡・BEAT STATION 2013・03.17~拡大画像~

“KING BROTHERS、やります”と、1番手に登場したKING BTOTHERSは「KILL YOUR IDOL」からぶっといロックンロールでステージを盛り上げた。のっけからタイチの激しいビートが気分を高揚させ、マーヤはギターをかき鳴らし、叫び続け、観客を煽り続ける。ニトロの爆発が延々と続いていくようで、楽曲を披露するごとにフロアの熱気はどんどんと上昇する。単に音がでかいんじゃない、核の濃いブルースが腹の底からガンガンと響き渡ってくる。4曲目、「マッハクラブ」では狂犬さながらに目を見開いたマーヤが「今日はロックンロールしか鳴らないぜ!!」とダイブ。スタッフが彼をステージに戻す手を払いのけ、延々とフロアを泳ぎ続ける。その間もケイゾウのギターは心地良く身体を揺さぶり、シンノスケのベースが踊らせ、マーヤのダイブの波を途切れさせない。続く「BLOOD&SOUL」はこの日から発売開始となった会場限定シングルだ。ブルースが持つギリギリの美しさ、危うさがタイトルのままに血となり魂となり、オーディエンスにぶつかっていく。その後も次々に楽曲を放ち、ラスト曲「ルル」では最後までフロアへ降りるかを悩んだというフロアライヴをぶちかまし、観客を巻き込んで極悪で最狂のガレージサウンドで踊らせてくれた。最後に、マーヤが「ロックレジェンド2組がこの後に待っている!」と、先輩バンドへのリスペクトを叫び会場の期待度をさらに上げてくれた。

2番手に登場した少年ナイフは、“ロックレジェンド”だなんて仰々しい表現を払いのける、直感的に“ロックンロールは楽しい”と感じさせてくれるステージで観客を魅了した。1曲目「Welcome To The Rock Club」でパーティーをスタートさせると、続く「バナナチップス」「Twist Barbie」と、ポップで緩やかな雰囲気だけど妙に癖になるサウンドで会場一体となって弾ける。福岡でのライヴが3年ぶり(前回はドラムのEmiが加入して初のライヴだったとか)ということもあり、2012年リリースされたアルバムの表題曲「Pop Tune」では、Naokoのギターがかき鳴らされた瞬間、“待ってました”と言わんばかりに歓声が飛び出す。ドラムのEmiがボーカルを担当する「Psychedelic Cafe」ではガラリと雰囲気を変えた怪しげなサウンドで、「Sunshine」ではベースのRitsukoもボーカルを取って憂いを感じさせるベースラインを聴かせる。三人三様のスタイルはキャンデイみたいに甘くてポップなだけでなく、ヘビークラスのパンチの効いたサウンドでぶつかってくる。ステージ後半の「ジャイアント キティ」で女の狂気がロックンロールの音となって攻撃してくる。可愛い顔して尖った爪で襲ってくる…黒髪を振り乱し、豪快なロックンロールを打ち鳴らすと、ラスト「Cobra versus Mongoose」でズシリとしたロックサウンドで“畳み掛ける”という表現がぴったりの高速ビートでモッシュを巻き起こし、全14曲でステージ終了。同性から見てカッコいいバンドが屈強な男たちから賞賛の拍手を受ける姿は、いつも以上に気持ちがよい。

この日最後のステージはギターウルフ。3月6日に最新アルバム『野獣バイブレーター』を発売したばかり。舞台幕にはレコ発を記念するように新作PVが次々と流され、テンションがどんどん上がっていく。正真正銘、この日最強で最狂のステージが待っているのはわかっている。それでも興奮が抑えきれないのはメンバーも同じなのか、いつものようにセイジはガソリン代わりに缶ビールを丸々一気飲みし、1曲目「野獣バイブレーター」から爆音が耳をつんざく勢いでぶち当たってくる。狼がギターをかき鳴らし、ベースが轟き、ドラムが体中を打ち抜く。爆音は次々に降り注ぎ、もう無我夢中でついていくしかなく、そのスピードの加速は止まることを知らない。

3コードの至ってシンプルな構成に、トオルのピッチの速いドラムにU.Gの野太いベースがのっかると、豪快でビンッビンに尖った狼サウンドとなり観客を襲う。「ジェットジェネレーション」「ケンカロック」と、マグマが沸きっ放しのテンション高い楽曲を放ったかと思いきや、「バッティングセンター」ではギターをバットに見立ててイチロースイングでボールを打ちまくる。さらに、Puffyに楽曲提供したポップでクレイジーな「女マシンガン」をオリジナルで披露。その後も、フロアに飛び降りたと思いきやオーディンスをステージに引っ張りギターを弾かせたり、そのギターを奪い合ったり。もう常識なんて通用しない、いや必要ない。とにかく直感で拳を上げて楽しむのみ。

本編11曲はあっという間で、オーディエンスはまだまだ物足りないとダブルアンコールに突入。「高校生アクション」ではステージで観客を巻き込み、まさかの組体操でピラミッドが誕生。てっぺんで歌うセイジはまさに王者そのもので、ラスト「ハカタ大作戦」まで全16曲、あっという間にステージは終了した。

キャリアやジャンルは違えど、確実に今の日本の音楽シーンにとって“本物”と言えるロックレジェンド3組による、鼓膜の痺れさえも心地よい、最初から最後までロックンロール漬けだった今回のイベント。ぜひとも博多だけではなく全国ツアーとして行脚し、その伝説を作り上げて欲しいと強く願った。そんな最高の一夜だった。

取材・文●黒田 奈保子
撮影●Chiyori

●KING BROTHERS
1.KILL YOUR IDOL
2.BIG BOSS
3.×××××
4.マッハクラブ
5.BLOOD&SOUL
6.FUCK ME BABY
7.GET AWAY
8.ルル

●少年ナイフ
1.Welcome To The Rock Club
2.バナナチップス
3.Twist Barbie
4.Flying Jelly Attack
5.Pop Tune
6.Ghost Train
7.Psychedelic Life
8.Sunshine
9.ラバーバンド
10.Bear Up Bison
11.Rock’n’Roll High School
12.ロケットにのって
13.ジャイアント キティ
14.Cobra Vs. Mongoose

●ギターウルフ
1.野獣バイブレーター
2.メソポタミアロンリー
3.ガソリン子守歌
4.ジェット ジェネレーション
5.ケンカロック
6.バッティングセンター
7.女マシンガン
8.ワイルドゼロ
9.火星ツイスト
10.キックアウトジャムス
11.ランブル
EN 1
1.マグマ信長
2.ミサイルミー
3.オールナイトでぶっとばせ!!
EN 2
1.高校生アクション
2.ハカタ大作戦

◆KING BROTHERS オフィシャルサイト
◆少年ナイフ オフィシャルサイト
◆ギターウルフ オフィシャルサイト